その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~

ちろる

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 お昼、仕事を切り上げて、すぐに社長に連絡を入れて病院に到着した。

風間かざまくん、こんにちは。来てくれてありがとう」

 普段、一介の平社員の俺は社長になんて会う機会がないので、少し緊張したけれど、気さくに話しかけてくれて少しだけ心が落ち着く。

 社長は、つい先日、真白ましろが自殺未遂を図った日に見たばかりだけれど、顎髭を少し蓄えた歳よりもずっと精悍に見える社長たる風格を漂わせている。

 隣に連れ添う女性が、ペコリと頭を下げてくれて俺も頭を下げる。

「先日はどうも、真白の母です」

 そう挨拶してくれた奥さんは、良く見たら真白に似て色素の薄い、ふわふわした外見の女性だった。真白はお母さん似だったんだな……と、どこかに真白を重ねて切なくなった。

「行こうか、風間くん」

 俺は「はい」と返事をして、社長夫婦の後に着いて行った。
 病室はさすが社長というべきか、個室で重厚な扉を備えていて。

 社長が扉を開けると大きく息を飲んだ。
 足音を殺すように社長の後ろからベッドに近付く。真白は、もう一度、俺を見てくれるだろうか。それが怖くて仕方がなくて。

 真白は、横になったまま窓の外を見つめていた。
 社長が「真白」と名を呼ぶとこちらを振り返って、すぐに俺と目が合う。

「い……ぶき……?」

 俺は真白と視線を絡めて、そして目を見開いた。
 真白の瞳から一筋の涙がこめかみを伝った。つられるように俺の瞳からも涙がこぼれる。

「真白……ごめん、俺……」

 社長夫婦がそっと病室を後にして、俺たちを二人きりにしてくれて。
 恐る恐る、一歩一歩、確かめるように真白に近付いた。

 傍まで近寄ると、丸椅子に座って。
 何も言わず真白の管が繋がれた腕の先にある手を握ろうとして。

 だけど──。

 真白が、そっとその手を避けた。
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