お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀

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20話 迷宮 2/2

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【汎用スキル:酸耐性を習得しました】
【汎用スキル:打撃耐性を習得しました】
【特殊スキル:超音波を習得しました】
【特殊スキル:怪音波を習得しました】
【魔術スキル:上級の腐炎球デトリタス・ボールを習得しました】
【魔術スキル:上級の死霊召喚ハイ・ネクロマンスを習得しました】
 …………
 ………
 ……
 …

 迷宮に挑んでから、早数時間。
 俺は数々の魔物を討伐し、圧倒的に強くなった。

────────────────────

【名 前】:アルカ
【年 齢】:15(7800)
【種 族】:人間
【職 業】:奪盗術師

【汎用スキル】:剣術LvMax
        体術LvMax
        身体能力強化LvMax
        魔力増加LvMax
        魔術強化LvMax
        槍術Lv43
        必要魔力減少Lv43
        隠密術Lv34
        人情喪失Lv58
        便乗暴力Lv42
        絶倫LvMax
        病気耐性Lv30
        毒耐性Lv28
        麻痺耐性Lv27
        酸耐性Lv26
        打撃耐性Lv24
        魔術耐性Lv14

【特殊スキル】:蜘蛛糸Lv31
        蜘蛛感覚Lv23
        蜘蛛吸着Lv14
        痛覚無効LvMax
        蟻怪力Lv32
        蟻鋼鉄Lv35
        蟲統制Lv31
        蟲指揮Lv11
        灰狼牙Lv12
        灰狼爪Lv11
        灰狼鼻Lv9
        灰狼吠Lv2
        蜂毒針Lv12
        蜂毒霧Lv8
        螳螂剣Lv5
        超音波Lv25
        怪音波Lv22
        麻痺毒液Lv21
        酸毒液Lv20

【固有スキル】:天賦の才ベスト・ジーニアス

【魔術スキル】:下級の火球ファイア・ボールLvMax
        死神の柔風デス・マーチLvMax
        筋肉の唄マッスル・ソングLvMax
        飛燕の唄ソニック・ソングLvMax
        鋼鉄の唄アイアン・ソングLvMax
        魔強の唄マジック・ソングLvMax 
        下級の雷矢サンダー・アローLv39
        中級の氷槍アイス・ランスLv34
        最上級の水球ハイドロ・ボールLv16
        黒焔の祝福フレイム・ベリアルLv8
        剣聖斬Lv48
        下級の水矢アクア・アローLv12
        中級の氷槍アイス・ランスLv16
        中級の水槍アクア・ランスLv16
        下級の土球ランド・ボールLv24
        上級の砂刃サンド・ギロチンLv17
        中級の岩槍ロックランスLv3
        上級の鉄壁アイアンウォールLv2
        上級の腐炎球デトリタス・ボールLv62
        上級の死霊召喚ハイ・ネクロマンスLv51

【職業スキル】:奪盗術クリアネスLvMax

────────────────────


「自分で言うのもなんだけど、強くなりすぎだよな……」

 この迷宮には様々な魔物が棲んでいる。
 ドブネズミやコウモリのように不潔な魔物や、アンデットやスケルトンのようにホラー色の強い魔物。
 その他にもゴブリンや昆虫系など、多種多様な魔物と遭遇することが多い。

 そのおかげもあり、俺は数々の多種多様なスキルを習得できた。
 不潔な魔物たちが有する、毒への耐性スキル。
 武具を扱う魔物たちが有する、武術のスキル。
 魔術を扱う魔物たちが有する、魔術のスキル
 そのどれもが高性能であり、一線級のスキルだ。

「おそらく、この迷宮は上級の迷宮なんだろうな。最低でも、B級以上なんだろう」

 迷宮はその難易度に応じて、E~S級にランク付けされている。
 そしてB級以上の迷宮は、俗に上級迷宮と呼ばれる。
 ちなみにS級の迷宮が現れたことは歴史上ほとんどない。

 俺が挑んだこの迷宮は、習得したスキルから察するに上級迷宮なのだろう。
 出現する魔物はそれほど強く感じないが、それは俺が強くなりすぎたからだろうな。
 イリカを余裕で屠った俺にとって、B級やA級の魔物などはただのザコに過ぎない。

「ゴバャァアアアアア!!」
「ピエェエエエエエエ!!」
「オォオオオオオオオ!!」

「……また魔物か」

 現れたのは、3匹の魔物。
 1匹は筋骨隆々のゴブリン、ボブゴブリン。
 1匹は2メートルを超えるコウモリ、ブラックバット。
 1匹は腐った死体、デッドゾンビ。

「まったく、何度目だ? この迷宮に入ってから、お前らを討伐したのは」

 頭をボリボリと搔きながら、深くため息を吐く。
 初めての迷宮攻略は非常に楽しいが、出現する魔物が同じようなヤツばかりだから……少し飽きてしまった。

「ゴバャァアアアアア!!」
「ピエェエエエエエエ!!」
「オォオオオオオオオ!!」

「……鬱陶しいな。《中級の岩槍ウィンド・ランス》《上級の腐炎球デトリタス・ボール》【酸毒液】」

 2つの魔術、そして1つの特殊スキルを発動した。

「ご、ゴバァアアアア……ッッ!!」

 最初に屠ったのは、ボブゴブリンだ。
 鍛えられた身体を誇ることもできずに、俺の岩槍が頭を貫いた。
 脳漿をぶちまけ、ボブゴブリンは絶命。

「ピエェエエエエエエ……ッッ!!」

 次に屠ったのは、ブラックバット。
 空を舞って俺を翻弄することもできずに、紫色の炎に身体を焼かれる。
 ただ焼くだけではなく、同時に身体を腐らせる効果も持つ炎によって、死体さえも残さずに絶命。

「オォオオオオオオオ……ッッ!!」

 最後に屠ったのは、腐ったデッドゾンビ。
 腐った身体で俺を蝕むこともできずに、酸液に包まれる。
 ただでさえ腐って脆い身体が、骨さえも残さずにドロドロに溶かされて絶命。

「……しまった、やり過ぎた」

 コウモリとゾンビを、死体も残さずに殺してしまった。
 これではスキルを奪盗うばうことができない。
 強すぎるスキルというのも、考えものだな。

「過ぎたことは仕方ない。さて、お楽しみの時間だ。奪盗術クリアネス

 【職業スキル:砕刃撃ブレイクを習得しました】

「……何、職業スキルだと!?」

 バカな、あり得ない!
 現代では職業というものは、その概念さえも消え失せたハズだ。
 事実、俺は前世の記憶を取り戻すまでは、その概念さえも知らなかった。

「……考えられることは、このボブゴブリンも俺と同じように前世の記憶を所持していた、くらいか」

 人間とは違い、魔物には前世の概念が存在する……という線は薄い。
 何故ならば、これまでに幾匹も魔物からスキルを奪盗うばったが、その1匹も職業スキルを有していなかったからだ。
 もちろん俺が奪盗うばえなかっただけで、実はこれまで屠った魔物たちも有していたということもあり得なくはないが……。

 だが、やはり可能性として高いのは、このボブゴブリンが前世の職業を思い出したということだろう。
 今となっては、真実を知る方法はないのだが。

「とりあえず、スキル説明を見てみよう」

 【職業スキル:砕刃撃ブレイク
 職業:戦士のみが習得可能な、攻撃系スキル。
 武器や拳に魔力を込め、防御無視の一撃を放つ。
 刃のある武器を所有していた場合、威力が1.5倍上昇する。
 レベルが上がるごとに、威力が上昇する。
 消費魔力:15

「防御無視……という言葉の意味はよくわからないが、とにかく強力なスキルだな」

 剣術スキルがレベルMAXの俺にとって、このスキルは実に相性がいい。
 今は何の得物も所持していないが、帰ったらこのスキルを試してみよう。

「このゴブリンが前世の記憶を取り戻したのだとすると……もしかすると、前世の記憶を所持する人は多いのかもしれないな」

 俺にとって朗報だ。
 職業スキルは今世では、習得不可能だと思っていたから。
 時間をかければ、前世と同じくらいの職業スキルを集められるかもしれない。

「……よし、この調子でさらに強くなろう!!」

 未来に希望を持ち、俺はさらに迷宮の奥へと進んだ。


 ◆


「ここが……最深部か」

 目の前には巨大な鉄扉。
 ここは5階、つまり目の前の鉄扉の奥はボス部屋なのだろう。

「異様な雰囲気……などは特に感じないな。俺が鈍いだけなのか、それとも……強くなりすぎたのか」

 後者であることを願いながら、扉を開く。
 すると──

「シャァアア……」

 そこにいたのは、巨大な……ヘビ。
 大蛇という言葉でさえも、とても足りない。
 蜷局とぐろを巻いた今の状態であっても、頭までの高さは50メートルを超えるだろう。
 大樹の幹のように太くたくましい身体をしており、全身を覆う漆黒のウロコは妖艶にロウソクの光を反射する。
 前世でも幾度か討伐した魔物、デーモンヴァイパーだ。
 俺の記憶が正しければ、A級に相当する強力な魔物だったハズ。

 魔物の域を超えた……強いて形容するならば、“怪獣”という言葉がふさわしいデーモンヴァイパー。
 そのデーモンヴァイパーが深紅の瞳で、俺を見つめてくる。
 まるで捕食者のような、冷たい眼差しで。

「……恐怖は感じないな」

 不思議なことに、恐怖は一切感じない。
 頭がおかしくなったのか。いや、そういう訳ではない。
 単純に、目の前のデーモンヴァイパーが……弱く見えるのだ。

「図体はデカいが……それだけだな」

 認めたくないが、イリカは現代人の中では上位に踏み入るの実力を誇る。
 俺はそんな人物を、赤子の手を捻るかの如く容易に倒したのだ。
 そんな俺がこんなヘビ如きに恐怖を覚えるなど、あり得ないことだったという訳か。

「シャァアアアアア!!」

「来い、格の違いを見せつけてやる」

 デーモンヴァイパーが吼えると同時に、俺も駆けだした。
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