28 / 29
16
しおりを挟む
あの時のことは、夢だったのでしょうか。
「━━旦那様?」
フィオナは鏡の奥にアランの姿を見つける。
後ろを振り向くもそこにはいない。だが、目の前の鏡の中には確かにアランの姿が見える。
鏡にフィオナは手を伸ばすと、あろうことかスーッと鏡の中に手が吸い込まれていった。
「え!」
驚愕して目をぎゅっと閉じる。
「フィオーリ嬢?どうしてここに?」
恐る恐る目を開けると、フィオナは鏡の中に入っていた。
「え、今、鏡の中に吸い込まれて、もしかして旦那様も?」
「いや、違うんだ。私のせいかもしれない。すまない」
「どういうことですか?」
「全ては、この腕輪のせいなんだ。これは我がロシュフォール家の家宝。というか、呪いだ」
「呪い?」
「この腕輪は、大昔ここエルモア王国のユリア王女様がわがロシュフォール伯爵家に降嫁された時に持ち込まれたものだ。
王女が輿入れするには爵位が低かったが、叙爵の話は断ったそうだ。
その代わりに王家の秘宝の一つとして賜ったものだ。だが、この腕輪は簡単に外れないのだ。そして、不定期にこのように鏡の中に閉じ込められる。どの鏡にも行き来は自由だが、外に出ることができるのも不定期だ。三日だったり、1ヶ月だったり、4時間のこともあった。秘宝というよりも呪具だよ。」
「魔法でも外れないのですか?」
王族や上流貴族の中には、魔法が使える者がいる。
「ある程度の魔法が使える私でも無理だった。何度か王家に相談したのだが、魔道具に関することはメリッサ王女が専門だと。」
「メリッサ王女様……?あの、失礼ですが、どなたでしょうか」
「エルモア王国にメリッサ王女などいない。王族の名前は決まっている。亡くなったらその名前を代々受け継いでいく。だがいくら調べても、メリッサ王女と命名された王族はいない。何百年も前に存在しているけれど、死亡記録もない。まるで生きているかのような話ぶりだった。王族に関することなので、深く追求できなかった。専門家がいないのなら、延々と後継者へと引き継いでいかなければならない。腕輪を放置すると災いが起きるのだ。」
「そんな……」
「あぁ、大丈夫だ、ここにいる時はお腹がすくことも生理現象も止まっている。そのうち外へ出られるだろう。巻き込んですまない」
「いえ、あ、あの、旦那様、こんな時に失礼ですが、どうしてフィオ、いいえ、私に結婚の申し入れをされたのですか」
アランはフィオナにみつめられて、ほんのりと耳が赤くなる。
「いやっ、色々とすまない、実はルークに代筆を頼んだんだ。金髪でない人をと。聞き間違えたのだろう。あの時名前を伝えるべきだった。だが、なぜかどうしてもあなたを見ると、クリスティナ嬢に見えてしまう。あの時、私のことをヒーローだと言ってくれた人に。」
「もしかして、あの時の鏡の中の男の子なんですか?私を出口に案内してくれた?」
「あ、あぁ、あなたを?」
「ごめんなさい!旦那様、私がクリスティナです!」
フィオナはこれまでの経緯を説明し、謝罪をした。
「━━旦那様?」
フィオナは鏡の奥にアランの姿を見つける。
後ろを振り向くもそこにはいない。だが、目の前の鏡の中には確かにアランの姿が見える。
鏡にフィオナは手を伸ばすと、あろうことかスーッと鏡の中に手が吸い込まれていった。
「え!」
驚愕して目をぎゅっと閉じる。
「フィオーリ嬢?どうしてここに?」
恐る恐る目を開けると、フィオナは鏡の中に入っていた。
「え、今、鏡の中に吸い込まれて、もしかして旦那様も?」
「いや、違うんだ。私のせいかもしれない。すまない」
「どういうことですか?」
「全ては、この腕輪のせいなんだ。これは我がロシュフォール家の家宝。というか、呪いだ」
「呪い?」
「この腕輪は、大昔ここエルモア王国のユリア王女様がわがロシュフォール伯爵家に降嫁された時に持ち込まれたものだ。
王女が輿入れするには爵位が低かったが、叙爵の話は断ったそうだ。
その代わりに王家の秘宝の一つとして賜ったものだ。だが、この腕輪は簡単に外れないのだ。そして、不定期にこのように鏡の中に閉じ込められる。どの鏡にも行き来は自由だが、外に出ることができるのも不定期だ。三日だったり、1ヶ月だったり、4時間のこともあった。秘宝というよりも呪具だよ。」
「魔法でも外れないのですか?」
王族や上流貴族の中には、魔法が使える者がいる。
「ある程度の魔法が使える私でも無理だった。何度か王家に相談したのだが、魔道具に関することはメリッサ王女が専門だと。」
「メリッサ王女様……?あの、失礼ですが、どなたでしょうか」
「エルモア王国にメリッサ王女などいない。王族の名前は決まっている。亡くなったらその名前を代々受け継いでいく。だがいくら調べても、メリッサ王女と命名された王族はいない。何百年も前に存在しているけれど、死亡記録もない。まるで生きているかのような話ぶりだった。王族に関することなので、深く追求できなかった。専門家がいないのなら、延々と後継者へと引き継いでいかなければならない。腕輪を放置すると災いが起きるのだ。」
「そんな……」
「あぁ、大丈夫だ、ここにいる時はお腹がすくことも生理現象も止まっている。そのうち外へ出られるだろう。巻き込んですまない」
「いえ、あ、あの、旦那様、こんな時に失礼ですが、どうしてフィオ、いいえ、私に結婚の申し入れをされたのですか」
アランはフィオナにみつめられて、ほんのりと耳が赤くなる。
「いやっ、色々とすまない、実はルークに代筆を頼んだんだ。金髪でない人をと。聞き間違えたのだろう。あの時名前を伝えるべきだった。だが、なぜかどうしてもあなたを見ると、クリスティナ嬢に見えてしまう。あの時、私のことをヒーローだと言ってくれた人に。」
「もしかして、あの時の鏡の中の男の子なんですか?私を出口に案内してくれた?」
「あ、あぁ、あなたを?」
「ごめんなさい!旦那様、私がクリスティナです!」
フィオナはこれまでの経緯を説明し、謝罪をした。
144
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
(完結)可愛いだけの妹がすべてを奪っていく時、最期の雨が降る(全5話)
青空一夏
恋愛
可愛いだけの妹が、全てを奪っていく時、私はその全てを余すところなく奪わせた。
妹よ・・・貴女は知らない・・・最期の雨が貴女に降ることを・・・
暗い、シリアスなお話です。ざまぁありですが、ヒロインがするわけではありません。残酷と感じるかどうかは人によるので、わかりませんが、残酷描写シーンはありません。最期はハッピーエンドで、ほのぼのと終わります。
全5話
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!
青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。
図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです?
全5話。ゆるふわ。
(完)大好きなお姉様、なぜ?ー夫も子供も奪われた私
青空一夏
恋愛
妹が大嫌いな姉が仕組んだ身勝手な計画にまんまと引っかかった妹の不幸な結婚生活からの恋物語。ハッピーエンド保証。
中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。魔法のある世界。
(完)お姉様、婚約者を取り替えて?ーあんなガリガリの幽霊みたいな男は嫌です(全10話)
青空一夏
恋愛
妹は人のものが常に羨ましく盗りたいタイプ。今回は婚約者で理由は、
「私の婚約者は幽霊みたいに青ざめた顔のガリガリのゾンビみたい! あんな人は嫌よ! いくら領地経営の手腕があって大金持ちでも絶対にいや!」
だそうだ。
一方、私の婚約者は大金持ちではないが、なかなかの美男子だった。
「あのガリガリゾンビよりお姉様の婚約者のほうが私にぴったりよ! 美男美女は大昔から皆に祝福されるのよ?」と言う妹。
両親は妹に甘く私に、
「お姉ちゃんなのだから、交換してあげなさい」と言った。
私の婚約者は「可愛い妹のほうが嬉しい」と言った。妹は私より綺麗で可愛い。
私は言われるまま妹の婚約者に嫁いだ。彼には秘密があって……
魔法ありの世界で魔女様が最初だけ出演します。
⸜🌻⸝姉の夫を羨ましがり、悪巧みをしかけようとする妹の自業自得を描いた物語。とことん、性格の悪い妹に胸くそ注意です。ざまぁ要素ありですが、残酷ではありません。
タグはあとから追加するかもしれません。
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・(5話完結)
青空一夏
恋愛
私(エメリーン・リトラー侯爵令嬢)は義理のお姉様、マルガレータ様が大好きだった。彼女は4歳年上でお兄様とは同じ歳。二人はとても仲のいい夫婦だった。
けれどお兄様が病気であっけなく他界し、結婚期間わずか半年で子供もいなかったマルガレータ様は、実家ノット公爵家に戻られる。
マルガレータ様は実家に帰られる際、
「エメリーン、あなたを本当の妹のように思っているわ。この思いはずっと変わらない。あなたの幸せをずっと願っていましょう」と、おっしゃった。
信頼していたし、とても可愛がってくれた。私はマルガレータが本当に大好きだったの!!
でも、それは見事に裏切られて・・・・・・
ヒロインは、マルガレータ。シリアス。ざまぁはないかも。バッドエンド。バッドエンドはもやっとくる結末です。異世界ヨーロッパ風。現代的表現。ゆるふわ設定ご都合主義。時代考証ほとんどありません。
エメリーンの回も書いてダブルヒロインのはずでしたが、別作品として書いていきます。申し訳ありません。
元お姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれどーエメリーン編に続きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる