間隙のヒポクライシス

ぼを

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4章:仮死451

第7話

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「は~い、それでは進捗会議をはじめます」
「桜先生!」
「はい、鳴海くん!」
「先生、来週から夏休みだというのに、僕はまだ1枚も原稿が進んでいません」
「あらご愁傷さま。7月末まで10日以上あるから、今日から頑張りましょうね~」
「ふっ。いつも余裕を見てテスト勉強を始めるお前が、こと文藝に関しては奥手だったとはな」
「そ、そういう豊橋は進捗どうなんだよ。自由律俳句だろ?」
「案ずるな。全ては、俺の頭の中にある」
「…つまり、豊橋もまだ何も書けていないって事だな。創作活動はアウトプットしてこそだろ? 頭の中にある物をメディアという形式を媒介して他者に伝達せしめんとするだな…」
「鳴海よ。物事はシンプルであればあるほど本質を突きやすい。オッカムの剃刀というやつだ。いざとなれば、俺の作品はたったの10文字のアウトプットで完成する」
「そ、それってなんかズルくないか…」
「鳴海くんと豊橋さんが全く進んでいないのはわかったとして、本星崎さんとゴブさんはどうですか?」
「わ、わ、私は、進捗順調よ。ちょ、ちょ、ちょっと耽美的な、ホ、ホ、ホラー小説が仕上がるから、た、たの、楽しみにしておいてね、さく、さ、桜さん」
「さすが文藝部の期待のニューフェイス! 嬉しいこと言ってくれるじゃないの…」
「桜…本星崎の方がお前より学年が上だからな…」
「オレもちょっとした物だよ。期限までには完成させるから、さっちゃん、安心してよ」
「ゴブさんは結局、何を書いてるんですかあ?」
「オレ? オレはエッセイだよ。お菓子作りに関するノウハウみたいな感じかな」
「ゴブリンよ。例示しろ。どんなノウハウがお前にあるというのだ」
「例えば、電動ハンドミキサーを使わずに、メレンゲを秒で角レベルにする方法だよ。泡だて器1本と、この両手だけでだぞ?」
「ゴブリン…それって何かの役に立つのかな? 普通にハンドミキサーを使えば良くないか?」
「ぐっ…。それを言われると…。でも、役に立つか立たないか分からない知識だからこそ、エッセイにして面白いのさ」
「はいはい、2人とも進捗が芳しくて安心しました~。神宮ちゃんは?」
「ボク? ボクは…。ごめん。ボクもまだ全然進んでないや」
「そっか~神宮ちゃんもか…」
「桜よ。作品の進捗管理やアドバイスはチームで行う。神宮前の作品については、俺に任せておけ」
「うっぷす。豊橋先輩にボクの作品の生殺与奪が握られるのか…」
「あたし、不安だな~。誰一人として進捗していないチームに管理をお願いするなんて」
「そういう桜はどうなんだよ? 自分の作品は進んでいるのか?」
「もっちろん! だって、あたしは普段から少しづつ書いてるんだもん」
「へえ、さすが文藝部長だな。ちなみに、どんな作品? あの秘密のノートに概要が書いてあるのかな?」
「はい鳴海くん、秘密のノートの事はしゃべらない~。作品の内容はまだ秘密。えへへ!」
「やれやれだ。どいつもこいつも。まともに進捗しているのは、本星崎だけか」
「おいおいドヨバジ! オレだって進捗順調だぞ」
「そうか。めでたい」
「はいはい! じゃあ作品はチームでお互いに頑張って貰うとして、次回が夏休み前最後の会議になるので、それまでにはある程度書き始めていて下さいね~」

「ねえ、桜チャン、ちょっとお話してもいい?」
「あたし? いいよ。どうしたの? 深刻そうな顔をして。いつもの神宮ちゃんらしくないよ」
「結局さあ、ずっと気になってたから、もう、単刀直入にきいちゃうね。ボクもいつまで生きられるかわからないしさ」
「な、なになに? 何をきこうって言うの? き、緊張しちゃうな…」
「あのさ…桜チャンと鳴海先輩って、結局、付き合ってるの? 付き合ってないの?」
「そ…その話かあ…」
「うん。その話。ちゃんと教えてよね」
「ええっとねえ…。どうなんだろ。答えに迷うな~。うん…。えっとね、でもね…あたし…あたし、鳴海くんとは、本当はお付き合いできないんだ…」
「え? 鳴海先輩と…付き合えないって…。どうして? 国府チャンと鳴海先輩がデートした時は、あんなに嫉妬してたのに…。鳴海先輩のこと、嫌いになっちゃったの? 桜チャンのアピールにあんまりにもなびかないから、諦めたとか?」
「ううん。それは違うよ。あたしは鳴海くんの事が大好きだし…だいいち、そんなにアピールしてないしね」
「じゃ、じゃあ…どうして…」
「それは内緒。えへへ」
「う…うん…」
「だから神宮ちゃん、もし、鳴海くんを使いたいなら、使ってくれてもいいからね? 国府ちゃんみたいに、デートに連れ出してくれてもいいんだから」
「うん…。でも、それじゃあ、桜チャンにとって、あんまりじゃないかな…。それに、鳴海先輩を便利屋みたいに使うのもな…」
「いいのいいの。手頃でしょ? 鳴海くん」
「た、確かに手頃だけど…って、そうじゃなくって。ボクは別に、鳴海先輩とデートしたい訳じゃないんだよ? ただ、桜チャンと鳴海先輩の関係が気になって…。だって、国府チャンが最後、2人のために、わざわざ鳴海先輩を振ったんだよ…? 鳴海先輩が桜チャンにちゃんと告白しなきゃ、あんまりだよ…」
「そ、それは、あたしよりも鳴海くんに直接言ってくれた方がよかったかも…。でも…ありがとうね、神宮ちゃん。気にしてくれて」
「そりゃあ…桜チャンも国府チャンも、ボクにとって大切な友達だからさ…。気になるじゃん…」
「ありがとう。あたし、神宮ちゃんがそう言ってくれて、本当に嬉しいよ。でも…この事は、もう忘れてほしいな…。あたしと、鳴海くんの事は、あたしと鳴海くんでなんとかする事だから…」
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