間隙のヒポクライシス

ぼを

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4章:仮死451

第9話

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「あ…本星崎おねえちゃん」
「あ、あ、ありがとう。き、き、来てくれて。ま、また、待たせちゃったかしら?」
「ううん。大丈夫だよ。わたしも、ついさっき来たところだから…」
「も、もう、もう、何か注文した? す、す、好きな物を、ご、ご、ご馳走するわよ」
「い、いいのかな…」
「ふふ…。え、遠慮しないで」
「えっと…。じゃあ、クリームココアを…」
「い、い、いいわよ。じゃ、じゃあ、わ、私も、クリームコーヒーにしようかな…。ク、ク、クリームココア、す、すき、好きなの?」
「うん。ココアも好きだし、ソフトクリームも好きだから…。でも、いつもソフトクリームが先に溶けちゃって、氷で薄まっちゃうのが残念かな…」
「わ、わ、わかる、それ。じゃ、じゃ、じゃあ、ちょ、ちょっと特別な注文の仕方を、し、してみましょうか」
「特別な注文の仕方?」
「ふ、ふふ…。よ、よび、呼び出しボタンを押してくれる?」
「う、うん」

 ピンポーン

「は~い、注文をお伺いします」
「え、え、ええっと、ク、ク、クリームココアと、ク、クリームコーヒーを、それ、そ、それぞれひとつずつ、お、お、お願いします。ど、どち、どちらも、クリームだけ、べ、べ、別皿にしてください」
「クリームだけ別皿ですね。承知しました~」
「本星崎おねえちゃん、クリームだけ別皿って、どういうことなのかな?」
「ふ、ふふ。と、と、届いたらわかるわよ」
「ふうん…。楽しみ」
「さて…。さ、さい、最近、とこ、常滑ちゃんの様子は、ど、どう?」
「トコちゃんは、元気にしているよ。上小田井くんが凄く世話をしているし、わたしも有松くんも、変わらずに友達だよ。前とはちょっと関係は変わっちゃったけど…。でも、わたしたちにとって、トコちゃんはトコちゃんだもん」
「そ、そ、そっか…。そ、それを聞いて、あん、あ、安心した…。あ、有松くんと、か、かみ、上小田井くんの様子は、どう?」
「えっと…えっと…。そうだよね。そのお話が目的だもんね」
「え、ええ。お、お、教えてくれる?」
「う、うん。その…えっと…わたしが感じた限りだと…」
「む、む、無理しないで、ゆ、ゆ、ゆっくりでいいから」
「う、うん…。わたしが感じた限りだと、有松くんはなんともないみたい…。でも、上小田井くんは…」
「か、かみ、上小田井くんか…。ど、ど、どんなスキルか、わ、わかる?」
「多分…。でも、内容まではちゃんと確認できていないから、ちゃんと確認できたら、本星崎おねえちゃんにメッセンジャーで送るね」
「え、ええ。あ、あり、ありがとう」
「ねえ、本星崎おねえちゃん…。本星崎おねえちゃんも、わたしも、上小田井くんも、トコちゃんみたいになっちゃうのかなあ…」
「そ、そう、そうね…。わ、私と、よ、よび、呼続ちゃんは、しばらくは大丈夫だと思う…。か、かみ、上小田井くんは、す、スキル次第かしら…」
「スキル次第…。わたしたち、鳴海おにいちゃんたちに相談したほうがいいのかな?」
「な、なる、鳴海くんたちには、ひ、必要な時に、わ、わた、私から言っておくつもり。だ、だ、だから、い、今は、しん、し、心配しないで」
「う、うん…。わかった…」
「あ、あ、ほ、ほら。き、きた、来たわよ。ク、クリームココア」
「わあ! そっかあ! 別皿って、本当にソフトクリームだけが別のお皿に乗って出てくるんだね」
「こ、こ、これなら、ココアもソフトクリームも、ま、まん、満足に楽しめるでしょ?」
「うん。こんな注文の仕方ができるなんて、知らなかった。ありがとう、本星崎おねえちゃん」
「ふふ…。ど、ど、どういたしまして」
(よ、よび、呼続ちゃんのスキル発現だけは、か、かく、隠す必要があると、わか、解っていた…。ア、アン、アンケートの時、『いいえ』を心の中で強調したから、と、とこ、常滑ちゃんのスキルでも、『いいえ』になっているはず…。で、でなければ、なる、な、鳴海くんたちが、よ、よび、呼続ちゃんにアクセスしているはずだもの…)

「鳴海先輩。ちょっといいスか?」
「僕? いいけど、どうしたんだ?」
「鳴海先輩…ボク、いつ死ぬかわからないじゃないですか」
「そのリスクはあるだろうけど…。直球で言われると戸惑うな…。僕と豊橋がいる限り、そうはさせないよ」
「鳴海よ。そう言って、俺たちは国府を守れなかった。できない約束はすべきではなかろう」
「豊橋はいつも冷徹だよな…。僕は、仲間を誰一人として失いたくない」
「言葉を濁さなくっていいです。期待もさせなくていいっス。ボク、そんなに遠くない未来に、死ぬんスから」
「…それで?」
「ボク、人生に思い残しをしたくないんスよね。国府チャンだって、そうだったですよね?」
「…そうだな。僕に手伝える事があったら、なんでも言ってくれ」
「ホントに、なんでも言っていいスか?」
「まあ、僕が協力できる範囲の事だったらね」
「じゃ、じゃあ、鳴海先輩。ボクとデートしてください!」
「ほう。神宮前よ。結局、GENEを選んだか。言っておくが、コイツは童貞だぞ」
「お、おいおい。急に、何の話をしてるんだ?」
「いいんス。ボクだって、まだ処女なんスから。で、鳴海先輩、イエスですか? それともノーですか?」
「そう言われてもな…。申し訳ないけど、まだ、気持ちの整理がついてないんだよ」
「あれ? だって、鳴海先輩と桜チャンは付き合ってないんですよね?」
「う…。デ、デジャヴが…」
「いつまで優柔不断してるんですか? グズグズしてると、ボク死んじゃうぞ」
「そ、そうだな…。い、いや…まあ…別にいいけど…」
「やったあ!」
「ま、また桜に怒られるかな…」
「あ、それなんスけど、よかったら桜チャンも一緒につれて行きたいんスよね」
「桜も? それって、国府の時みたいに、みんなでどこかに行くイメージ?」
「いえ、桜チャンだけです。ボクと、鳴海先輩と、桜チャンの3人」
「いや…それって…大丈夫かな…」
「鳴海先輩、桜チャンの事は、ドンとボクに任しておいてください。鳴海先輩の悪いようにはしませんから」
「う、うん…。いいのか…。で、どこか行きたいところとかあるの?」
「ふっふっふ。ボク、デートついでに叶えたい夢があるんですよね」
「叶えたい夢…か。訊いても大丈夫?」
「もちろんです。ボク、やっぱり死ぬ前に、ちゃんとお好み焼きを食べておきたいんですよね。関西風のお好み焼きと、広島風のお好み焼きを、本場で食べておきたいんス」
「神宮前よ。やはり最後は、食い物か。俗物だな」
「豊橋先輩は黙ってて下さい。俗物でもなんでも、最後メシは重要なんスから」
「ふう。わかったよ。じゃあ、ちょっと遠出になるけれど、新幹線に乗って大阪、広島と行く感じかな。なんとか日帰りで行けるだろ」
「やった! ありがとう鳴海先輩。あ、電車賃はボクが持ちますんで、安心してください」
「いや、さすがにそういう訳にはいかないよ」
「いいんです。死後にお金を残しておいても、どうしようもないスから」
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