間隙のヒポクライシス

ぼを

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4章:仮死451

第15話

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「は~い、みんなみんな、聞いてください。明日から夏休みに入るので、活動予定について周知します」
「桜先生!」
「はい鳴海くん」
「締め切りまであと10日もないのに、まだ1文字も書けていません」
「鳴海くん…。そろそろ、あたしも心荒ぶるかもしれないよ…」
「や、やばい…」
「その他のみなさんの進捗はどうですか~?」
「わ、わた、私は、締め切りに少し、よ、よ、余裕をもって、てい、て、提出できそう。い、い、今、すい、す、推敲中だから」
「オレもギリギリになるって事はないな~。今は、タマネギを短時間で飴色にする方法について書いてるのさ」
「あ、ボクも無事に書き始めてるよ。上手ではないけどね…。内容は、内緒」
「鳴海くん以外はみんな優秀ですね~。あ、あと、今日は堀田さんにも参加してもらっています」
「一応。アタシは文藝部に入る予定はないから、それだけはみんな、認識よろしくね」
「堀田よ。案ずるな。俺も文藝部員ではないし、これからも文藝部員ではない」
「え~っと、豊橋せんぱい、ありがとうございます。もう自由律俳句の作品を提出済みですね」
「なんだと? 豊橋…いつの間に完成させたんだ? そうか。10文字だな? 本当に10文字だけを提出したんだな?」
「鳴海くん、豊橋さんが提出した俳句は、全部で15作品だよ」
「15作だと…! 豊橋…文藝部員の鑑じゃないかよ…」
「まあまあ。という訳で、アタシはコスプレの手伝いだけだから、勘違いしないでね」
「堀田さん、大丈夫ですよ。豊橋さんがいれば、文藝部として部活動を存続できますから」
「ふん…」
「今月末までに作品が完成したら、次はコスプレ製作を本格化させるので、みなさんそのつもりでお願いしますね~」
「ま、まさか、僕が一番遅れをとることになろうとは…」
「今から、夏休みに文藝部で集まる日程を黒板に書くので、各自、写真にでも撮っておいてくださいね~」

「神宮前」
「あ、ボクの元彼氏の鳴海先輩」
「…返答に困る呼び方をするなよな」
「あはは。ごめんなさい。でも、正直、まだドキドキしてるんスよ? ボク。あの時の事を思いだすと、ため息がでますもん」
「そ、そ、そうだよね…」
「こんな事言うの、本当は恥ずかしいんスよ。自分がもうすぐ死ぬとわかっているから、勇気を出して、頑張って声に出して伝えてるんですからね」
「も、元彼氏なのに…」
「…本当は、次のデートに誘いたいくらいなんだもん…」
「ん? 何か言ったか?」
「い、いえいえ。なんでもないです。で、元彼女のボクに、何のご用スか?」
「いや、夏休みの文藝部の活動の事だよ。本星崎の手前、全員で集まる日程を何日か周知したけれど…できれば、集まりたくないんだ」
「国府チャンの時みたいに、みんな一斉に狙われるからスか?」
「その通りだ。学校に人が少ない夏休み期間は、ヤツらも低リスクで突入してこられる。だから、特にスキル発現が明確になっているメンバーは危険だ」
「つまり…ボクってことスね。はは。ボク、まだ自分のスキルが何なのかもわかってないのにな」
「神宮前のチームには豊橋がいるから、豊橋の指示に従って欲しい。作品の提出はメッセンジャーやクラウドストレージとかでもできるだろ。僕は本星崎と同じチームだから、神宮前を守れるとは限らない」
「うっぷす…。わ、わかりました。チームで集まる日をずらすとか、工夫した方がいいってことスね」
「その認識で間違いないよ。自分たちの命を守るためだ。よろしく頼むよ」

「は、はい。そ、その、その日が一番いいかと…。さ、さきょ、左京山さんも、と、と、登校させます。で、で、ですので、しょ、しょう、小学生メンバーを除けば、か、かん、監視対象者が、ほ、ほ、ほぼ全員、そろ、そ、揃います。え、ええ。はい。はい。あ、じ、じん、神宮前さんです。ど、ど、どうやら、こ、こ、来ないように、い、い、いわ、言われていたようです。は、はい? あ…そ、そう、そうですか…。いえ。え? そ、それ、そ、それは困ります…。で、で、でも、あな、あ、あなたたちも、困るんじゃないですか? は、はい。はい。…わか、わ、わかりました。じん、じ、神宮前さんもですね。な、な、なんとか、やってみます。た、た、ただ、じ、じん、神宮前さんのスキ、ス、スキルは、よ、よ、よくわからないんです。…そ、そ、そうかもしれません…。い、いえ。が、頑張ります。おや、おや、お役に立てるように…。だ、だから、これ、こ、これ、これからもよろしくお願いします…。あ…あ、あ、あと、な、なる、鳴海くんにスキルが発現しました…。は、は、はい。た、た、対象のスキルです。…そ、そ、そうですか。わか、わ、わかりました…」

「神宮前よ。明日、夏休みに入って1回目の文藝部の全員集会の日だ。わかっていると思うが、お前は欠席しろ」
「ええ、わかってます。鳴海先輩にも言われたんで」
「そうか。ならばよい。で、お前の作品は進んでいるのか? 今日の俺の役目は、お前の作品進捗の確認と管理だ」
「ちぇっ。鳴海先輩がペアだったらよかったのにな」
「ほう。その様子だと、鳴海とはうまくやったようだな。残せそうなのか。GENEは」
「ほんっと、豊橋先輩ってデリカシーないっスよね」
「褒め言葉と受け取っておこう」
「はいはい、そうですか。残念ですけど、ボクはまだ処女っスよ~だ」
「目的を果たせなかったという訳だ。任務失敗といった体か」
「もともと、子供を産むことが目的じゃないですもん。だいたい、赤ちゃん産まれても、ボクがすぐに死んじゃうかもしれないじゃないスか…。子供が可哀想ですよ」
「それに対する回答としては、お前が死なずに生きれば良い、といったところか。だが、俺は楽観主義者の鳴海ではない。俺たちを信頼しろ、とは絶対に言わんから安心しろ」
「複雑な気分っスよ…」
「とにかく、明日は学校に来るな」
「はいはい、わかったっスよ」
「よし…。では改めて、お前の作品の進捗確認だ」
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