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5章:ある少女に花束を
第4話
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「あ、ねえねえ、鳴海くん、ほら、あれ見て。あれじゃないかな?」
「えっと…ああ、そうだ、そうかもしれない。でも、まだ全然、つぼみにもなってないな…」
「国府ちゃん、あたしたちがやってきましたよ~」
「うむ、ヒマワリは開花までそこそこ時間がかかるんだな。なんか、もっと早く花が咲いて、しかも長く生き延びるしぶとい植物はないだろうか…」
「鳴海くん、自分が何の種を買うか、考えてるの?」
「せっかくなら、姿かたちを変えても長生きしたい…なんて俗な事を考えちゃったりね…」
「だったら葛(くず)がいいよ。海外では侵略的外来種として猛威を振るっているらしいよ」
「桜が難しい言葉を使った」
「ちょっとお、一応あたしだって、ちゃんと受験してあの高校受かってるんだからね」
「桜が、中学生時代に学年トップクラスの成績だったとか、想像つかないよなあ」
「い~だ。あたしは鳴海くんと違って俗じゃないから、キレイなお花が咲く種がいいなあ」
「だったら、名前の通り、桜の木でいいんじゃないか?」
「桜を種から育てるのはちょっと大変かなあ…。何年もかかると思うしね」
「どうせその時は自分は死んでるんだから、別に開花までの時間を気にしなくてもいいんじゃないか?」
「ま~、それはそうですな~」
「ゆっくり考えればいいよ。桜はまだスキル発現してない訳だしね」
「ま~、それもそうですな~」
「う~む。ゴブリンだったら食べられる植物にするだろうか。バナナとか…。いや、案外カカオとか…」
「そういえば鳴海くん、ゴブさんとは連絡ついたの?」
「うん…。気付いたら、何回か僕のスマホに着歴が残ってたんだ。どうやら、あの時、学校で、公衆電話から救急車呼ぼうとして、やっぱり無理で教室に戻ってきたら、もう誰もいなかったから、って感じだったらしい」
「そ、そうだったのね…。悪いことしちゃったね、あたしたち」
「でもまあ、ゴブリンも無事に自宅で生活をしていたみたいだから、それはそれでよかったよ」
「あ、鳴海くん。本星崎さん。来たみたい」
「なんだ。伊奈は一緒に来なかったのか…」
「お、おは、お花の、た、た、たね、種ですって?」
「本星崎さんも一緒に買いに行きませんか?」
「そ、そ、そうか…。そん、そ、そんな事、考えた事もなかった…」
「そこまでして自分が生きた証を残したいのか…とか、そんな深い意味ではないんだけどね。なんとなく、自分や誰かの死に対する悲しみが、薄らぐんじゃないかと思ってね」
「わ、わ、わる、悪くないアイデアだと思う…。わ、わ、私も、賛成する」
「ホントですか? やったぁ!」
「で、で? そ、そ、それだけのために、わた、わ、私を呼び出したわけじゃないでしょ?」
「うん。本星崎への用事は、種を買いに誘うこと以外に、2つあるよ」
「も、も、もう、わ、わ、私には隠す必要のあることなんかないから、なん、なん、なんでもきいて」
「ありがとう。まず、これは本星崎も気になっている事だと思うんだけれど、伊奈の寿命の事だ」
「い、い、伊奈さん…。そ、そう、そうね…」
「伊奈の寿命をまだ確認していなかったからさ。2人は防衛省にいた時も一緒だったと思うし、なにかと一緒に行動した方がやりやすいんだとは思うけれど、どちらかが先に崩壊フェイズに入った時、2人だけで解決を図ろうとして欲しくないんだ」
「…そ、そ、そうね…」
「本星崎の寿命はまだ3ヶ月弱あるのは前に確認したけど、伊奈はあまり残っていないんじゃないかと思うんだよね。だから、心配している」
「そ、それ、それで、もう1つの用事というのは?」
「誰かが崩壊フェイズに入る前に、神宮前の寿命を活用した、崩壊フェイズのパスができないかをちゃんと確認しておきたいんだ。平たく言うと、崩壊フェイズのパスの具体的な方法を教えて欲しいんだよね」
「あ、ああ…そ、そ、そういうことね。う、う、うん…。わかった」
「まず気になっているのは、寿命を分け与える、という事だ。これってつまり、崩壊フェイズに突入していなくても、いつでもスキル者同士であれば寿命のやりとりができるってことなのかな?」
「ふ、ふふ…。そ、そ、そうだったら、べ、べ、便利でしょうけどね…。じ、じ、実際は、ほ、ほう、崩壊フェイズが始まった時にしか、じゅ、寿命を分ける事はできない」
「そうか…。まあ、そんなにうまくはできてないよな。でも、一体どういう理屈でそうなっているんだろう。何かしらの要素が、崩壊フェイズか、そうでないかを判別している、という事になるんだろうけどな」
「だ、だ、だから、ほ、ほ、崩壊フェイズが近くなったら、か、か、かな、必ず近くに、ぎ、ぎ、犠牲となるスキル者をおいておかなければならない…」
「犠牲になる側のスキル者は、気が気じゃないだろうな…」
「…あ、あ、あまり気にしないようにしてた…。な、な、中には、ひ、ひど、ひどく怯えたり、は、反抗したりする人もいたもの…」
「あ…そうだった。ごめん。無神経だった」
「…い、いいえ…。いいの。わ、わ、私が背負わなければならない十字架でもあるから…」
「本星崎が…か。本星崎だって、犠牲者なのにな」
「わ、わた、私が? ど、ど、どうして」
「どうしてって…。そう思ったからさ」
「…そ、そ、そう…」
「で、肝心な崩壊フェイズのパスの方法なんだけれど、パスするスキル者と、犠牲になるスキル者は、具体的にどういう手順をとればいいんだ?」
「む、む、難しい事じゃないわ。ほ、ほ、ほう、崩壊フェイズに入ったスキル者に、ぎ、ぎせ、犠牲になるスキル者が触れたまま、ス、ス、スキルを発動すればいいだけ」
「触れたまま、スキルを発動?」
「え、え、ええ…。こ、この、この時、じ、じ、実際のスキルは発動せずに、じゅ、じゅ、寿命だけがやりとりされるの…」
「なるほど…。例えば本星崎が崩壊フェイズに入ったとする。それをパスするためには、僕が本星崎の体のどこかに触れながら、数値化のスキルを使えばいい。そういうことか?」
「そ、その、その、その認識で合ってる」
「意外とやり方自体はシンプルだな…。問題は確かに、崩壊フェイズに入った時に近くに別のスキル者がいなければならない、というところか。でもそれは、僕のスキルで寿命をきちんと確認しておけば、さほど問題にはならないはず…。ん? でも、神宮前の場合はどうするんだ? 神宮前のスキルは自らの意志で発動させるものじゃないよな…」
「さ…さあ…。そ、そ、そのパターンの場合、わ、わ、わた、私にもわからない…」
「そうなのか…。もしかすると、神宮前のようなスキルの場合、崩壊フェイズのパスには使えないのかもしれないな。まあ、その場合は、その場合か…。ふう…」
「えっと…ああ、そうだ、そうかもしれない。でも、まだ全然、つぼみにもなってないな…」
「国府ちゃん、あたしたちがやってきましたよ~」
「うむ、ヒマワリは開花までそこそこ時間がかかるんだな。なんか、もっと早く花が咲いて、しかも長く生き延びるしぶとい植物はないだろうか…」
「鳴海くん、自分が何の種を買うか、考えてるの?」
「せっかくなら、姿かたちを変えても長生きしたい…なんて俗な事を考えちゃったりね…」
「だったら葛(くず)がいいよ。海外では侵略的外来種として猛威を振るっているらしいよ」
「桜が難しい言葉を使った」
「ちょっとお、一応あたしだって、ちゃんと受験してあの高校受かってるんだからね」
「桜が、中学生時代に学年トップクラスの成績だったとか、想像つかないよなあ」
「い~だ。あたしは鳴海くんと違って俗じゃないから、キレイなお花が咲く種がいいなあ」
「だったら、名前の通り、桜の木でいいんじゃないか?」
「桜を種から育てるのはちょっと大変かなあ…。何年もかかると思うしね」
「どうせその時は自分は死んでるんだから、別に開花までの時間を気にしなくてもいいんじゃないか?」
「ま~、それはそうですな~」
「ゆっくり考えればいいよ。桜はまだスキル発現してない訳だしね」
「ま~、それもそうですな~」
「う~む。ゴブリンだったら食べられる植物にするだろうか。バナナとか…。いや、案外カカオとか…」
「そういえば鳴海くん、ゴブさんとは連絡ついたの?」
「うん…。気付いたら、何回か僕のスマホに着歴が残ってたんだ。どうやら、あの時、学校で、公衆電話から救急車呼ぼうとして、やっぱり無理で教室に戻ってきたら、もう誰もいなかったから、って感じだったらしい」
「そ、そうだったのね…。悪いことしちゃったね、あたしたち」
「でもまあ、ゴブリンも無事に自宅で生活をしていたみたいだから、それはそれでよかったよ」
「あ、鳴海くん。本星崎さん。来たみたい」
「なんだ。伊奈は一緒に来なかったのか…」
「お、おは、お花の、た、た、たね、種ですって?」
「本星崎さんも一緒に買いに行きませんか?」
「そ、そ、そうか…。そん、そ、そんな事、考えた事もなかった…」
「そこまでして自分が生きた証を残したいのか…とか、そんな深い意味ではないんだけどね。なんとなく、自分や誰かの死に対する悲しみが、薄らぐんじゃないかと思ってね」
「わ、わ、わる、悪くないアイデアだと思う…。わ、わ、私も、賛成する」
「ホントですか? やったぁ!」
「で、で? そ、そ、それだけのために、わた、わ、私を呼び出したわけじゃないでしょ?」
「うん。本星崎への用事は、種を買いに誘うこと以外に、2つあるよ」
「も、も、もう、わ、わ、私には隠す必要のあることなんかないから、なん、なん、なんでもきいて」
「ありがとう。まず、これは本星崎も気になっている事だと思うんだけれど、伊奈の寿命の事だ」
「い、い、伊奈さん…。そ、そう、そうね…」
「伊奈の寿命をまだ確認していなかったからさ。2人は防衛省にいた時も一緒だったと思うし、なにかと一緒に行動した方がやりやすいんだとは思うけれど、どちらかが先に崩壊フェイズに入った時、2人だけで解決を図ろうとして欲しくないんだ」
「…そ、そ、そうね…」
「本星崎の寿命はまだ3ヶ月弱あるのは前に確認したけど、伊奈はあまり残っていないんじゃないかと思うんだよね。だから、心配している」
「そ、それ、それで、もう1つの用事というのは?」
「誰かが崩壊フェイズに入る前に、神宮前の寿命を活用した、崩壊フェイズのパスができないかをちゃんと確認しておきたいんだ。平たく言うと、崩壊フェイズのパスの具体的な方法を教えて欲しいんだよね」
「あ、ああ…そ、そ、そういうことね。う、う、うん…。わかった」
「まず気になっているのは、寿命を分け与える、という事だ。これってつまり、崩壊フェイズに突入していなくても、いつでもスキル者同士であれば寿命のやりとりができるってことなのかな?」
「ふ、ふふ…。そ、そ、そうだったら、べ、べ、便利でしょうけどね…。じ、じ、実際は、ほ、ほう、崩壊フェイズが始まった時にしか、じゅ、寿命を分ける事はできない」
「そうか…。まあ、そんなにうまくはできてないよな。でも、一体どういう理屈でそうなっているんだろう。何かしらの要素が、崩壊フェイズか、そうでないかを判別している、という事になるんだろうけどな」
「だ、だ、だから、ほ、ほ、崩壊フェイズが近くなったら、か、か、かな、必ず近くに、ぎ、ぎ、犠牲となるスキル者をおいておかなければならない…」
「犠牲になる側のスキル者は、気が気じゃないだろうな…」
「…あ、あ、あまり気にしないようにしてた…。な、な、中には、ひ、ひど、ひどく怯えたり、は、反抗したりする人もいたもの…」
「あ…そうだった。ごめん。無神経だった」
「…い、いいえ…。いいの。わ、わ、私が背負わなければならない十字架でもあるから…」
「本星崎が…か。本星崎だって、犠牲者なのにな」
「わ、わた、私が? ど、ど、どうして」
「どうしてって…。そう思ったからさ」
「…そ、そ、そう…」
「で、肝心な崩壊フェイズのパスの方法なんだけれど、パスするスキル者と、犠牲になるスキル者は、具体的にどういう手順をとればいいんだ?」
「む、む、難しい事じゃないわ。ほ、ほ、ほう、崩壊フェイズに入ったスキル者に、ぎ、ぎせ、犠牲になるスキル者が触れたまま、ス、ス、スキルを発動すればいいだけ」
「触れたまま、スキルを発動?」
「え、え、ええ…。こ、この、この時、じ、じ、実際のスキルは発動せずに、じゅ、じゅ、寿命だけがやりとりされるの…」
「なるほど…。例えば本星崎が崩壊フェイズに入ったとする。それをパスするためには、僕が本星崎の体のどこかに触れながら、数値化のスキルを使えばいい。そういうことか?」
「そ、その、その、その認識で合ってる」
「意外とやり方自体はシンプルだな…。問題は確かに、崩壊フェイズに入った時に近くに別のスキル者がいなければならない、というところか。でもそれは、僕のスキルで寿命をきちんと確認しておけば、さほど問題にはならないはず…。ん? でも、神宮前の場合はどうするんだ? 神宮前のスキルは自らの意志で発動させるものじゃないよな…」
「さ…さあ…。そ、そ、そのパターンの場合、わ、わ、わた、私にもわからない…」
「そうなのか…。もしかすると、神宮前のようなスキルの場合、崩壊フェイズのパスには使えないのかもしれないな。まあ、その場合は、その場合か…。ふう…」
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