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5章:ある少女に花束を
第10話
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「あ、ありがとうございます。本星崎さん。また買ってきてもらっちゃって…」
「よ、よ、よかったわね。こ、こん、今度は、て、手から離さないように、よ、よ、よ、用心してね」
「はい。じゃあ、いただきますね」
「あれ? 鳴海先輩。それでボクたち、何の話をしてたんでしたっけ?」
「神宮前がコーヒーが苦手だって話」
「あ、そうそう。そうでした」
「そういえば…コーヒーの好き嫌いについて、豊橋くんも、なんか似たような事を言っていた気がするわね…」
「豊橋がですか? 豊橋はコーヒーはブラック派だと思ってましたけど」
「うふふ。あれは、豊橋くんが格好つけてるだけよ。あ、これ言うと怒られるかな」
「え? 堀田先輩、それホントですか? あはは、豊橋先輩の弱みをみつけちゃったかも。もしかして、あの人もコーヒー苦手なんスか?」
「苦手…というか、好きじゃないのは確かね」
「さんざんボクの事を子供扱いしておいて、自分だってお子ちゃまじゃねースか。あれ? もしかして、お蕎麦が好きっていうのも無理してたりして~」
「ふふ。お蕎麦が好きなのは本当だと思うわよ。それでね、神宮前さん。豊橋くんがコーヒーが好きじゃないのには理由があってね」
「理由…。続けて下さいっス」
「豊橋くん、一時期、凄くコーヒーに凝っていた時期があるのよね。豆の種類、豆の挽き方、ドリップのしかた、水、温度、色々と工夫して、自分の理想のコーヒーの味や香りを追い求めていたみたい」
「あ~、あの人、凝り性っぽいですもんね」
「道具も色々試したり、ついには自分で豆を焙煎したりもしたみたいなんだけれどね」
「そういえば豊橋のやつ、去年あたり、そんな事を言っていた時期があったような…」
「で? 堀田先輩、あの人はそれで、理想のコーヒーにたどり着いたんスか?」
「ふふ。それが、ダメだったみたいでね。豊橋くんが出した答えが『俺はコーヒーが好きではないという事実の判明が、結論だ』って」
「コーヒーが好きじゃない事に気付いたってことスか? なんそれ」
「はは。豊橋らしいや。長生きするよ、豊橋のやつは」
「あ、そういえば、鳴海先輩」
「ん? どうした?」
「長生きときいて思い出したんスけど、鳴海先輩自身の寿命は、まだ大丈夫なんですか? ボク、崩壊フェイズの時に一番近くにいなきゃいけないんで、鳴海先輩の寿命をちゃんと把握しておく責任があると思うんスよね」
「あ…ああ。そうか。そう言われると…ずっと確認してなかったな。自分のだけ」
「鳴海くん。アナタの寿命が一番大切なんだから、ちゃんと把握しておいて。ほら、アタシの手鏡、貸してあげる」
「ありがとうございます。とは言え、気が進まないんだよなあ…」
「ふ、ふふ…。き、き、きも、気持ちはわかるな…。け、け、けれど、なる、なる、鳴海くんは、し、し、試験の勉強とかだって、さ、さ、さ、先送りするタイプじゃないでしょ?」
「まあ、少なくとも一夜漬けタイプじゃないな…」
「だ、だ、だ、だったら、やっぱり確認しておかなきゃ…。わ、わ、私たちは、な、なる、鳴海くんだけが頼りだし、なる、なる、鳴海くんのスキルが使えないと、ぜ、ぜ、ぜ、全員が、し、死期を見失う…。そ、そ、それ、それに…な、鳴海くんが先に死ぬと、か、か、かな、悲しむ人が、いるんじゃないかしら…。わ、わ、私だって…と、と、とても、か、かな、悲しい…。わ、わ、私が防衛省側にいたときも、あ、あ、あなたは、と、とも、友達になれるって、言ってくれた…」
「う…うん。わかった。確認するよ。ええっと、これは…鏡像だから…。僕の残りの寿命は…5…じゃなくて、2…」
「ゴクリ…。鳴海先輩、残りの寿命は? 2って?」
「…やばい」
「え? ちょっと、なんスか? ちゃんと教えて下さい。鳴海先輩の寿命、残り2日ですか?」
「いや…もっと短いな、これは」
「鳴海くん、アナタもしかして…2時間とか?」
「もっと短い…」
「鳴海先輩…まさか…」
「ああ。残り2分だ。はは…。どうしよう。国府の事バカにしておいて、国府に笑われちゃうな、僕…」
「ちょっと! こうしてはいられないじゃないの。ええっと…どうすればいいのかしら。本星崎さん、伊奈さん、こういう時にはどう対処すればいいのかしら?」
「ここでは、他のお客の人たちが多すぎますわ。この場所で崩壊フェイズに入り、爆発した場合、少々の騒ぎでは済まなくなります。まずは、どこか閉鎖的な空間に移動しましょう」
「鳴海先輩、トイレです! トイレに行きましょう」
「…みんな、僕の話を、よくきいてくれ。まず、伊奈の言う通り、僕はこの店内で爆発する訳にはいかない。奴らに行動が見張られているとしたら、爆発した時点でこのカフェごと防衛省が吹き飛ばしにくる可能性すらある。最低でも除染車が来るだろう。そうなったら、みんなも危ない。だから、僕は神宮前が言う通り、トイレに移動する。幸い、このカフェのトイレは男女1つずつで、完全個室の閉鎖空間だ。あと、崩壊フェイズに突入した人間がいることすら、奴らに気づかれてはいけない。だから、もし僕が爆死したら、洗浄なんか気にせずに、何食わぬ顔で全員がカフェを出て、すぐに逃げてほしいんだ」
「わかった、わかったっスから、そんなこと話している間に時間がきてしまうでしょ! 早く行きましょう」
「個室だから何人も入れない。役割を指定させてくれ。まず、神宮前は崩壊フェイズのパスの試行をしなければいけないから、僕と一緒に来てほしい。それから、伊奈にも同行して欲しいんだ。伊奈は崩壊フェイズを何回か見てきただろうから冷静でいられるだろうし、神宮前にパスの方法をアドバイスできるだろう。それに、もし崩壊フェイズの爆発にも伊奈のスキルが使えるなら、爆発時のエネルギーを他のエネルギーに変換して、できるだけ目立たないようにして欲しいんだ。それ以外のメンバーは、上小田井くんを頼む…。あと…万一の時は、豊橋と桜に、みんなの事を頼む、と…」
「わかりましたわ。じゃあ、神宮前サン、行きましょう」
「よ、よ、よかったわね。こ、こん、今度は、て、手から離さないように、よ、よ、よ、用心してね」
「はい。じゃあ、いただきますね」
「あれ? 鳴海先輩。それでボクたち、何の話をしてたんでしたっけ?」
「神宮前がコーヒーが苦手だって話」
「あ、そうそう。そうでした」
「そういえば…コーヒーの好き嫌いについて、豊橋くんも、なんか似たような事を言っていた気がするわね…」
「豊橋がですか? 豊橋はコーヒーはブラック派だと思ってましたけど」
「うふふ。あれは、豊橋くんが格好つけてるだけよ。あ、これ言うと怒られるかな」
「え? 堀田先輩、それホントですか? あはは、豊橋先輩の弱みをみつけちゃったかも。もしかして、あの人もコーヒー苦手なんスか?」
「苦手…というか、好きじゃないのは確かね」
「さんざんボクの事を子供扱いしておいて、自分だってお子ちゃまじゃねースか。あれ? もしかして、お蕎麦が好きっていうのも無理してたりして~」
「ふふ。お蕎麦が好きなのは本当だと思うわよ。それでね、神宮前さん。豊橋くんがコーヒーが好きじゃないのには理由があってね」
「理由…。続けて下さいっス」
「豊橋くん、一時期、凄くコーヒーに凝っていた時期があるのよね。豆の種類、豆の挽き方、ドリップのしかた、水、温度、色々と工夫して、自分の理想のコーヒーの味や香りを追い求めていたみたい」
「あ~、あの人、凝り性っぽいですもんね」
「道具も色々試したり、ついには自分で豆を焙煎したりもしたみたいなんだけれどね」
「そういえば豊橋のやつ、去年あたり、そんな事を言っていた時期があったような…」
「で? 堀田先輩、あの人はそれで、理想のコーヒーにたどり着いたんスか?」
「ふふ。それが、ダメだったみたいでね。豊橋くんが出した答えが『俺はコーヒーが好きではないという事実の判明が、結論だ』って」
「コーヒーが好きじゃない事に気付いたってことスか? なんそれ」
「はは。豊橋らしいや。長生きするよ、豊橋のやつは」
「あ、そういえば、鳴海先輩」
「ん? どうした?」
「長生きときいて思い出したんスけど、鳴海先輩自身の寿命は、まだ大丈夫なんですか? ボク、崩壊フェイズの時に一番近くにいなきゃいけないんで、鳴海先輩の寿命をちゃんと把握しておく責任があると思うんスよね」
「あ…ああ。そうか。そう言われると…ずっと確認してなかったな。自分のだけ」
「鳴海くん。アナタの寿命が一番大切なんだから、ちゃんと把握しておいて。ほら、アタシの手鏡、貸してあげる」
「ありがとうございます。とは言え、気が進まないんだよなあ…」
「ふ、ふふ…。き、き、きも、気持ちはわかるな…。け、け、けれど、なる、なる、鳴海くんは、し、し、試験の勉強とかだって、さ、さ、さ、先送りするタイプじゃないでしょ?」
「まあ、少なくとも一夜漬けタイプじゃないな…」
「だ、だ、だ、だったら、やっぱり確認しておかなきゃ…。わ、わ、私たちは、な、なる、鳴海くんだけが頼りだし、なる、なる、鳴海くんのスキルが使えないと、ぜ、ぜ、ぜ、全員が、し、死期を見失う…。そ、そ、それ、それに…な、鳴海くんが先に死ぬと、か、か、かな、悲しむ人が、いるんじゃないかしら…。わ、わ、私だって…と、と、とても、か、かな、悲しい…。わ、わ、私が防衛省側にいたときも、あ、あ、あなたは、と、とも、友達になれるって、言ってくれた…」
「う…うん。わかった。確認するよ。ええっと、これは…鏡像だから…。僕の残りの寿命は…5…じゃなくて、2…」
「ゴクリ…。鳴海先輩、残りの寿命は? 2って?」
「…やばい」
「え? ちょっと、なんスか? ちゃんと教えて下さい。鳴海先輩の寿命、残り2日ですか?」
「いや…もっと短いな、これは」
「鳴海くん、アナタもしかして…2時間とか?」
「もっと短い…」
「鳴海先輩…まさか…」
「ああ。残り2分だ。はは…。どうしよう。国府の事バカにしておいて、国府に笑われちゃうな、僕…」
「ちょっと! こうしてはいられないじゃないの。ええっと…どうすればいいのかしら。本星崎さん、伊奈さん、こういう時にはどう対処すればいいのかしら?」
「ここでは、他のお客の人たちが多すぎますわ。この場所で崩壊フェイズに入り、爆発した場合、少々の騒ぎでは済まなくなります。まずは、どこか閉鎖的な空間に移動しましょう」
「鳴海先輩、トイレです! トイレに行きましょう」
「…みんな、僕の話を、よくきいてくれ。まず、伊奈の言う通り、僕はこの店内で爆発する訳にはいかない。奴らに行動が見張られているとしたら、爆発した時点でこのカフェごと防衛省が吹き飛ばしにくる可能性すらある。最低でも除染車が来るだろう。そうなったら、みんなも危ない。だから、僕は神宮前が言う通り、トイレに移動する。幸い、このカフェのトイレは男女1つずつで、完全個室の閉鎖空間だ。あと、崩壊フェイズに突入した人間がいることすら、奴らに気づかれてはいけない。だから、もし僕が爆死したら、洗浄なんか気にせずに、何食わぬ顔で全員がカフェを出て、すぐに逃げてほしいんだ」
「わかった、わかったっスから、そんなこと話している間に時間がきてしまうでしょ! 早く行きましょう」
「個室だから何人も入れない。役割を指定させてくれ。まず、神宮前は崩壊フェイズのパスの試行をしなければいけないから、僕と一緒に来てほしい。それから、伊奈にも同行して欲しいんだ。伊奈は崩壊フェイズを何回か見てきただろうから冷静でいられるだろうし、神宮前にパスの方法をアドバイスできるだろう。それに、もし崩壊フェイズの爆発にも伊奈のスキルが使えるなら、爆発時のエネルギーを他のエネルギーに変換して、できるだけ目立たないようにして欲しいんだ。それ以外のメンバーは、上小田井くんを頼む…。あと…万一の時は、豊橋と桜に、みんなの事を頼む、と…」
「わかりましたわ。じゃあ、神宮前サン、行きましょう」
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