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5章:ある少女に花束を
第13話
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「金山だ。ああ、お前か。どうした。何かあったか。ん? 1162番だと。1162番がどうした。ああ。ああ。なんだと? 寿命に変化があった? ああ。ああ。ん? つまり、1162番は崩壊フェイズをパスしたという事か。へっ。マズイなこれは。理屈からいけば、1162番の代わりに誰かが崩壊した事になる。だが、そんな情報は入ってきていない。ここから導き出される推論はなんだ? 俺たちが全く気づかない程に巧妙に、誰かの崩壊をガキどもが隠したという事か? …ほう。続けろ。その話は興味深い。小惑星からアミノ酸が発見されてパンスペルミア説が現実味を帯びてきた時と同じくらいにな。ああ。ほっとけ。で? ああ。ああ。なるほど…。監視はぬかりないということか。とすると、それは俺たちが全く認知していない現象だ。俺たちが把握している自然発現のスキル者が、1162番の崩壊フェイズのパスを経てなお、ひとりも欠落していないという事は、崩壊フェイズのパスに関わるなんらかのスキルを持ったスキル者がいるということだ。まあいい。スキル発現者でありながらスキル内容が不明な人間は限られている。ああ。まあ2117番を使うさ。2173番よりは優秀なヤツだ。スキルの内容次第によっては、2155番を捕縛対象とする。へっ。例のラブホテルに全員揃ってくれるのが一番ありがたいんだがな…。お前が一人残らず誘導してくれるか? ははは。遠回りに複数の人間の命を救ったことになるぞ。ああ。なんだって? 当然だ。小学生とて例外じゃない。分散して始末すると後が厄介だ。しかしな…。まったく…やれやれだ。分別なくスキルを使いまくって崩壊しかけたバカがいるとなると、あまり長い間、泳がせておく訳にもいかんな…。さて、どうするか…。へっ。小学生…か。なるほどな」
「こっちがぼくの部屋です。どうぞ、入って下さい」
「うん。お邪魔します」
「せまいですけど、ベッドにでも腰掛けて下さい」
「部屋も机の上もきれいに整頓されていて、上小田井くんらしいね。本棚を見ても?」
「あ、もちろんです。鳴海さん」
「へえ…僕が思っていたよりもずっと、上小田井くんは科学少年なんだな。小学生なのに、ニュートンを定期的に読んでるのかぁ…。面白いよね、この雑誌。最近は、それほど科学に詳しくなくても楽しめるようになってきてるよね」
「えへ。買っているのは、ぼくが興味がある特集の時だけですけどね」
「やっぱり宇宙関連が多いかな…。ん? 上小田井くん、ブルーバックスなんて読んでるの? 量子力学だって? これは驚いた…」
「あ…ニュートンのブラックホールの特集から、ホーキング放射の話に興味がでて読んでみたんですけれど、正直…難しすぎて、途中であきらめちゃいました。でも、中学校になってもう少し勉強したら、また読んでみようと思っているんです」
「僕が初めてブルーバックスに手を出したのは中学1年生の頃だったなあ…精神分析関連と、タイムパラドックス関連。僕も、どっちもよく理解はできなかったな。はは」
「なんだ、鳴海さんもぼくとおんなじですね。えへ。安心しました」
「そうか…。上小田井くんがここまで知識を持っているのなら、スキルの話までしてしまって問題なさそうだな…」
「スキル…ですか…。やっぱり、ぼくにもスキルがあるんでしょうか?」
「やっぱり…って、どういう事?」
「いえ…。国府さんの事や、常滑さんの事、この前のみなさんの会話の内容をきいていて、その可能性もあるのかな…って思ったんです」
「何か、思い当たる事でもあるのかな?」
「そうですね…。最近、身の回りで、不思議に思う事があるんです」
「聞かせてもらっても?」
「はい。一番多いのは、いつの間にか、物がなくなっている、という現象です。例えば、ぼく1人しかいない空間で、確かにそこに置いたのに、気付いたら消えてしまっている…みたいな事です」
「気付いたら消えてしまっている…。それって、この前のバニラフラペチーノの時みたいな?」
「えっと…。そうですね。同じだと思います」
「消えてしまったものは、どうなってしまったんだろうね?」
「それが…。消えちゃったままの事もあるんですけれど、バニラフラペチーノの時みたいに、変なところで見つかる事があるんです」
「変なところ…例えば?」
「夏休み前の事なんですけれど、時間割の確認をしながら、鉛筆を削ろうとしたんです。いつものように、鉛筆削りを使おうと思ったのに、見当たらなかったんですよね…」
「鉛筆削りが消えたのか…。それで?」
「あきらめて、翌朝、登校したんです。そうしたら、通学路の途中の、道端に落ちていたんです」
「道に落ちていた…。それは、確かに上小田井くんの鉛筆削りだったのかな?」
「名前シールが貼ってあったから、間違いありません。それに、見つかったのは家から随分と離れた場所だったんです」
「窓から落ちた鉛筆削りを、犬が咥えて持っていった…くらいが現実的な答えだけれど、バニラフラペチーノの件を鑑みるに、そうではないのかもしれないな…」
「はい、ぼくもそう思います」
「それが…上小田井くんのスキルと関係していると?」
「わからないです。でも、みなさんにも、何か現実離れしたスキルがあるのであれば、ぼくにもスキルがあって、それが影響しているのかな…って」
「そうか…。なるほどね」
「鳴海さん、スキルについて、教えてもらえませんか? みなさん、どんなスキルを持っているのか…。そして、スキルを持っている人は、どうなってしまうのか…」
「どうなってしまう…って?」
「その…爆発…って言ってましたよね。先日のカフェでの出来事…」
「ああ…。そうだね。うん。上小田井くんがそこまでわかっているなら、全部話してしまって大丈夫そうだ」
「はい、お願いします」
「こっちがぼくの部屋です。どうぞ、入って下さい」
「うん。お邪魔します」
「せまいですけど、ベッドにでも腰掛けて下さい」
「部屋も机の上もきれいに整頓されていて、上小田井くんらしいね。本棚を見ても?」
「あ、もちろんです。鳴海さん」
「へえ…僕が思っていたよりもずっと、上小田井くんは科学少年なんだな。小学生なのに、ニュートンを定期的に読んでるのかぁ…。面白いよね、この雑誌。最近は、それほど科学に詳しくなくても楽しめるようになってきてるよね」
「えへ。買っているのは、ぼくが興味がある特集の時だけですけどね」
「やっぱり宇宙関連が多いかな…。ん? 上小田井くん、ブルーバックスなんて読んでるの? 量子力学だって? これは驚いた…」
「あ…ニュートンのブラックホールの特集から、ホーキング放射の話に興味がでて読んでみたんですけれど、正直…難しすぎて、途中であきらめちゃいました。でも、中学校になってもう少し勉強したら、また読んでみようと思っているんです」
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「なんだ、鳴海さんもぼくとおんなじですね。えへ。安心しました」
「そうか…。上小田井くんがここまで知識を持っているのなら、スキルの話までしてしまって問題なさそうだな…」
「スキル…ですか…。やっぱり、ぼくにもスキルがあるんでしょうか?」
「やっぱり…って、どういう事?」
「いえ…。国府さんの事や、常滑さんの事、この前のみなさんの会話の内容をきいていて、その可能性もあるのかな…って思ったんです」
「何か、思い当たる事でもあるのかな?」
「そうですね…。最近、身の回りで、不思議に思う事があるんです」
「聞かせてもらっても?」
「はい。一番多いのは、いつの間にか、物がなくなっている、という現象です。例えば、ぼく1人しかいない空間で、確かにそこに置いたのに、気付いたら消えてしまっている…みたいな事です」
「気付いたら消えてしまっている…。それって、この前のバニラフラペチーノの時みたいな?」
「えっと…。そうですね。同じだと思います」
「消えてしまったものは、どうなってしまったんだろうね?」
「それが…。消えちゃったままの事もあるんですけれど、バニラフラペチーノの時みたいに、変なところで見つかる事があるんです」
「変なところ…例えば?」
「夏休み前の事なんですけれど、時間割の確認をしながら、鉛筆を削ろうとしたんです。いつものように、鉛筆削りを使おうと思ったのに、見当たらなかったんですよね…」
「鉛筆削りが消えたのか…。それで?」
「あきらめて、翌朝、登校したんです。そうしたら、通学路の途中の、道端に落ちていたんです」
「道に落ちていた…。それは、確かに上小田井くんの鉛筆削りだったのかな?」
「名前シールが貼ってあったから、間違いありません。それに、見つかったのは家から随分と離れた場所だったんです」
「窓から落ちた鉛筆削りを、犬が咥えて持っていった…くらいが現実的な答えだけれど、バニラフラペチーノの件を鑑みるに、そうではないのかもしれないな…」
「はい、ぼくもそう思います」
「それが…上小田井くんのスキルと関係していると?」
「わからないです。でも、みなさんにも、何か現実離れしたスキルがあるのであれば、ぼくにもスキルがあって、それが影響しているのかな…って」
「そうか…。なるほどね」
「鳴海さん、スキルについて、教えてもらえませんか? みなさん、どんなスキルを持っているのか…。そして、スキルを持っている人は、どうなってしまうのか…」
「どうなってしまう…って?」
「その…爆発…って言ってましたよね。先日のカフェでの出来事…」
「ああ…。そうだね。うん。上小田井くんがそこまでわかっているなら、全部話してしまって大丈夫そうだ」
「はい、お願いします」
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