間隙のヒポクライシス

ぼを

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5章:ある少女に花束を

第18話

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「鳴海よ。桜と何かあったのか」
「ん? どうして?」
「ふと、気になってんな」
「人間関係に鈍感な豊橋がそんな事を言うなんて、珍しいな」
「いや…。何もないのであれば、俺がこれ以上気にする事ではない」
「あ…そうか。もしかして、堀田さんから何か聞いた…とか?」
「堀田からか? あいつがそんなに口が軽い女だと、お前は思うのか」
「さあ…。でも、口が軽いのは、豊橋の方かもしれないだろ?」
「度し難いものだな。人の信頼などというものは」
「で、堀田さんから何を聞いたんだ?」
「お前と桜が直接どうこうという話ではない。俺が堀田から聞いたのは、ただ、桜の様子がおかしいという話だけだ」
「桜の様子が…? まあ、確かに、おかしいと言えばおかしいんだよな…」
「鳴海よ。お前は、いつから桜の行動や感情表現に違和感を覚えている?」
「行動や感情表現? いや、そこには別に違和感は感じてないけど…。あるとしたら、別のところかな…」
「ほう、何だ。言ってみろ。感情表現ではなければ、どこに違和感がある」
「まあ、もう終わったことだから正直に言うけれど、シンプルに、僕が桜に振られた、ってだけの話だよ」
「振られただと? なるほど、興味深い。要因は、桜の神宮前に対する嫉妬か。お前と神宮前の仲を見て醒めたのか」
「いや…どうなんだろう。そんな事はないと思うんだけれど…明日の天気と女心だけは僕にもわからないからな…」
「少なくとも俺の認識では、国府に対する桜の嫉妬は穏やかではなかった。にも関らず、神宮前に対しては、そうではない理由があるのか」
「確かに、国府の時はそうだったよな…。ゴブリンが酷い目に遭っていたもんな。でも、ちょっと前に桜と神宮前との3人で、大阪と広島にでかけた時は、全然そんな素振りはなかったんだよね」
「であれば論理的に導き出される回答はひとつだ。桜には既につきあっている別の男がいる」
「やっぱりそうなるよなあ…。でも、桜はそれを否定したんだよね」
「ほう、否定以外の選択肢が桜にあると、お前は思っているのか。既に別の男がいるとしてな」
「いや…まあそう言われちゃうと身も蓋もないんだけどさ。ただ、僕が気にしているのはもう一つ、別の理由なんだよね」
「まだ思い当たる事があるのか。言え」
「桜、前々から体調があまりよくなかったみたいなんだよね。詳しい事は教えてくれないんだけれど、大病院で精密検査を受けた、という話だけは本人から聞いてるんだ」
「そうか。俺たちには話せないような深刻な病を患っている可能性を否定できないという訳だ、だが、それもお前のスキルを使えば明白ではないのか」
「前にも言っただろ? 国府も僕も、神宮前と桜の寿命については正しく表示できなかったって。…まあ、神宮前は正しかったのかもしれないけどさ」
「ふん。どのみち、だ。桜が俺たちと一緒にいる限りは、いずれわかる事だろう。スキル発現していない桜よりも先に、俺たちが死ななければ、という条件がつくがな」
「豊橋、お前だってスキル発現していないだろ?」
「そう思うのか。であれば、俺の寿命を確認してみたらどうだ」
「…なんだって?」
「お、お、お、おそ、遅くなってごめんなさい…。も、も、もう、みんな揃っているかしら…?」
「あ、本星崎、来てくれてありがとう。今日は伊奈と左京山さんが当番なんだけど、今、買い出しに行っている。揃ったら話を始めたい」
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