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5章:ある少女に花束を
第29話
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「呼続さん、顔色が悪いよ? 大丈夫? 少し休む?」
「あ、ありがとう、上小田井くん。でも、ううん。大丈夫だよ」
「呼続よ。どうした。スキル者を見つけたか?」
「あ…ううん。見つけてない…」
「そうか。では、指示をしよう。今から、お前のスキルで、会場全体の索敵をしろ。今回、防衛省が1人もスキル者を連れずに乗り込んでくる事はありえない。もし1人もいないとしたら、防衛省は今回のタイミングを見送ったという事になる。その場合、スキルが発現している者は全員3ヶ月以内に死ぬ」
「豊橋さん、伊奈さんのスキルで防げないくらいの規模の物理的な火器で襲ってくるかもしれませんよ?」
「ほう。上小田井よ。それだけの規模の銃火器と部隊を、どこに隠しておけるというのだ」
「豊橋クン…も、もしかして、この会場でコスプレをしている人たちの大多数が自衛隊員ということはありませんの? タイミングを見計らって、全方面から集中砲火されたら、あたくしでも防ぎようがありませんわ…」
「なるほど。それはいいアイデアだ。その場合は、潔くあきらめるのがよかろう」
「そんな…豊橋さん、あきらめるだなんて…」
「とにかく、だ。呼続よ。会場の索敵をしろ」
「う、うん…。ええっと…やってみる…」
「どうした。わかったか」
「呼続さん、無理しないでね…」
「ええっとね…。うん。この会場には、わたしたち以外のスキル者は、1人もいないみたい」
「そうか。それはめでたい。呼続よ。念のために確認する。『わたしたち』というのは、具体的に誰のことだ」
「ほ、堀田お姉ちゃんたちはスキル者がいないから…鳴海お兄ちゃんたちと、わたしたち…」
「そうですのね…。では、今日は少なくともスキル攻撃を受けることはない、という事ですわね…。念のために、銃火器に対する心の準備をしておいたほうがよさそうですわ…」
「伊奈よ。そう思うか」
「豊橋クン、それは、どういう意味ですの?」
「では、これを見ろ。俺は今、呼続の索敵結果と、この鳴海からのメッセージの整合性について合理的な回答を模索している」
「なんて書いてありますの…。ええっと…。なんですって? この会場に、あたくしたち以外に最低2人のスキル者がいる…。本星崎サンのスキルでの確認…」
「呼続よ。説明してもらおう。お前は、俺の指示通りに索敵をしたのか、しなかったのか。それとも、お前のスキルでは、2人のスキル者を確認できなかったとでも言うのか。鳴海は、本星崎のスキルでは範囲が充分ではないからと、呼続のスキルに応援を求めてきているぞ」
「よ…呼続さん…。き、気づかなかっただけだよ…ね?」
「……ええっとね…。ええっと…」
「どうした。何を考える必要がある?」
「ええっとお…。ごめんね! 上小田井くん!」
「ああっ! 呼続チャンが走って行ってしまいましたわ!」
「ふん。だからガキは嫌いなんだ」
「豊橋さん、追いますか? …こんな事は言いたくないですが、罠かもしれませんよ…」
「追うしかあるまい。呼続は俺たちの、唯一の交渉材料だ」
「ん? 伊奈からメッセージだ。豊橋に送ったメッセージへの返信だろうか」
「どうしたんスか? 鳴海先輩」
「いや、伊奈から連絡がきた」
「なんて言ってきてるんスか?」
「…なんだと…?」
「な、なる、なる、鳴海くん…伊奈さんは、なんて…?」
「…呼続ちゃんが、豊橋たちのチームから、急に逃げ出したらしい」
「逃げ出した…って、呼続チャンが!? それって、どういうことスかね?」
「…あまり考えたくないけれど…罠の可能性が高いな」
「…鳴海、それって、どういう事なのかしら? 呼続が私たちを騙しているってこと?」
「左京山さん、その通りだと思います。おかしいとは思っていたんだ…。呼続ちゃんがたった1人で防衛省から逃げ出してきて、それを誰も追ってこなかったなんて…」
「ど、どうします? 鳴海先輩。呼続チャン、どこに逃げていくつもりなのかな…」
「神宮前、呼続ちゃんはおそらく会場の外に逃げるとか、そういう事はないと思う。呼続ちゃんが、現時点でもなお防衛省からの指示を受けているのであれば、間違いなくこれは、僕たちを一箇所に全員集めるための罠だ」
「あ、あ、あつ、集めるって言っても…ど、ど、どこ、どこに…?」
「集めるに都合のいい場所は1つしかない。僕たちの文藝ブースだ」
「そ、そんな! じゃあ、堀田先輩やゴブ先輩や桜チャンが危ないじゃないスか! ボ、ボク、行かなきゃ!」
「お、おい! 神宮前、待て! お前がブースに行ったら奴らの思うツボだ!」
「…私、神宮前を追いかけようか?」
「いや、とりあえずブースにいる桜に電話する……。チクショウ、なんで桜は、肝心な時にいつもスマホの電源が落ちてるんだ!?」
「…いいわ。私が堀田に電話するから」
「ええ…。ええ…。そうなのね…。そっか…。わかった。うん。そうする。鳴海くんの指示なのね…ありがとう」
「…リタさん、今の、誰からの電話でした? なんて言ってたんですか?」
「左京山さんから。残念ながら、防衛省の罠にアタシたちは、はめられてしまったみたい。このまま、このブースにいるのは危険だわ」
「じゃ、じゃ、じゃあ、早く逃げなきゃ!」
「ええ、逃げる必要があるわね。でも、アタシはここに残る。ゴブくんと桜ちゃんは、今すぐブースから離れて」
「そんな! だったら、オレが残りますよ。リタさんを置いてなんて行けるわけが…」
「ありがとう。でも、大丈夫。彼らの目的は、アタシたちを1人残らず集めて、殺すことの筈だから。誰かが欠けている時点で、計画失敗の筈よ。だから、2人とも、つかまらないように気をつけてね」
「ねえ、ほら、ゴブさん、行こ! このままだと、全員が殺されちゃうかもしれないよ」
「さ、さっちゃん…。わ、わかった。一緒にここを離れよう。リタさん、絶対に、絶対に死なないでくださいよ!」
「うふふ。ありがとう、ゴブくん。さあ、ここは任せて、早く逃げて!」
「あ、ありがとう、上小田井くん。でも、ううん。大丈夫だよ」
「呼続よ。どうした。スキル者を見つけたか?」
「あ…ううん。見つけてない…」
「そうか。では、指示をしよう。今から、お前のスキルで、会場全体の索敵をしろ。今回、防衛省が1人もスキル者を連れずに乗り込んでくる事はありえない。もし1人もいないとしたら、防衛省は今回のタイミングを見送ったという事になる。その場合、スキルが発現している者は全員3ヶ月以内に死ぬ」
「豊橋さん、伊奈さんのスキルで防げないくらいの規模の物理的な火器で襲ってくるかもしれませんよ?」
「ほう。上小田井よ。それだけの規模の銃火器と部隊を、どこに隠しておけるというのだ」
「豊橋クン…も、もしかして、この会場でコスプレをしている人たちの大多数が自衛隊員ということはありませんの? タイミングを見計らって、全方面から集中砲火されたら、あたくしでも防ぎようがありませんわ…」
「なるほど。それはいいアイデアだ。その場合は、潔くあきらめるのがよかろう」
「そんな…豊橋さん、あきらめるだなんて…」
「とにかく、だ。呼続よ。会場の索敵をしろ」
「う、うん…。ええっと…やってみる…」
「どうした。わかったか」
「呼続さん、無理しないでね…」
「ええっとね…。うん。この会場には、わたしたち以外のスキル者は、1人もいないみたい」
「そうか。それはめでたい。呼続よ。念のために確認する。『わたしたち』というのは、具体的に誰のことだ」
「ほ、堀田お姉ちゃんたちはスキル者がいないから…鳴海お兄ちゃんたちと、わたしたち…」
「そうですのね…。では、今日は少なくともスキル攻撃を受けることはない、という事ですわね…。念のために、銃火器に対する心の準備をしておいたほうがよさそうですわ…」
「伊奈よ。そう思うか」
「豊橋クン、それは、どういう意味ですの?」
「では、これを見ろ。俺は今、呼続の索敵結果と、この鳴海からのメッセージの整合性について合理的な回答を模索している」
「なんて書いてありますの…。ええっと…。なんですって? この会場に、あたくしたち以外に最低2人のスキル者がいる…。本星崎サンのスキルでの確認…」
「呼続よ。説明してもらおう。お前は、俺の指示通りに索敵をしたのか、しなかったのか。それとも、お前のスキルでは、2人のスキル者を確認できなかったとでも言うのか。鳴海は、本星崎のスキルでは範囲が充分ではないからと、呼続のスキルに応援を求めてきているぞ」
「よ…呼続さん…。き、気づかなかっただけだよ…ね?」
「……ええっとね…。ええっと…」
「どうした。何を考える必要がある?」
「ええっとお…。ごめんね! 上小田井くん!」
「ああっ! 呼続チャンが走って行ってしまいましたわ!」
「ふん。だからガキは嫌いなんだ」
「豊橋さん、追いますか? …こんな事は言いたくないですが、罠かもしれませんよ…」
「追うしかあるまい。呼続は俺たちの、唯一の交渉材料だ」
「ん? 伊奈からメッセージだ。豊橋に送ったメッセージへの返信だろうか」
「どうしたんスか? 鳴海先輩」
「いや、伊奈から連絡がきた」
「なんて言ってきてるんスか?」
「…なんだと…?」
「な、なる、なる、鳴海くん…伊奈さんは、なんて…?」
「…呼続ちゃんが、豊橋たちのチームから、急に逃げ出したらしい」
「逃げ出した…って、呼続チャンが!? それって、どういうことスかね?」
「…あまり考えたくないけれど…罠の可能性が高いな」
「…鳴海、それって、どういう事なのかしら? 呼続が私たちを騙しているってこと?」
「左京山さん、その通りだと思います。おかしいとは思っていたんだ…。呼続ちゃんがたった1人で防衛省から逃げ出してきて、それを誰も追ってこなかったなんて…」
「ど、どうします? 鳴海先輩。呼続チャン、どこに逃げていくつもりなのかな…」
「神宮前、呼続ちゃんはおそらく会場の外に逃げるとか、そういう事はないと思う。呼続ちゃんが、現時点でもなお防衛省からの指示を受けているのであれば、間違いなくこれは、僕たちを一箇所に全員集めるための罠だ」
「あ、あ、あつ、集めるって言っても…ど、ど、どこ、どこに…?」
「集めるに都合のいい場所は1つしかない。僕たちの文藝ブースだ」
「そ、そんな! じゃあ、堀田先輩やゴブ先輩や桜チャンが危ないじゃないスか! ボ、ボク、行かなきゃ!」
「お、おい! 神宮前、待て! お前がブースに行ったら奴らの思うツボだ!」
「…私、神宮前を追いかけようか?」
「いや、とりあえずブースにいる桜に電話する……。チクショウ、なんで桜は、肝心な時にいつもスマホの電源が落ちてるんだ!?」
「…いいわ。私が堀田に電話するから」
「ええ…。ええ…。そうなのね…。そっか…。わかった。うん。そうする。鳴海くんの指示なのね…ありがとう」
「…リタさん、今の、誰からの電話でした? なんて言ってたんですか?」
「左京山さんから。残念ながら、防衛省の罠にアタシたちは、はめられてしまったみたい。このまま、このブースにいるのは危険だわ」
「じゃ、じゃ、じゃあ、早く逃げなきゃ!」
「ええ、逃げる必要があるわね。でも、アタシはここに残る。ゴブくんと桜ちゃんは、今すぐブースから離れて」
「そんな! だったら、オレが残りますよ。リタさんを置いてなんて行けるわけが…」
「ありがとう。でも、大丈夫。彼らの目的は、アタシたちを1人残らず集めて、殺すことの筈だから。誰かが欠けている時点で、計画失敗の筈よ。だから、2人とも、つかまらないように気をつけてね」
「ねえ、ほら、ゴブさん、行こ! このままだと、全員が殺されちゃうかもしれないよ」
「さ、さっちゃん…。わ、わかった。一緒にここを離れよう。リタさん、絶対に、絶対に死なないでくださいよ!」
「うふふ。ありがとう、ゴブくん。さあ、ここは任せて、早く逃げて!」
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