キング・オブ・アウト ~半分が裏社会に呑み込まれた世界で法則の力『則』と法則のを超えた力『則獣』を駆使してマフィアの頂点を目指す!!

NEOki

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第38話 瞬発的状況判断能力

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 真っ暗な地下水路を七色の閃光を撒き散らすイナズマが目にも留まらぬ速さで突き進んでいく。

 敵則獣の能力によって地下に落下させられたルチアーノは慌てて地上に戻ろうとはせず、何故か地下空間を高速移動していた。

 そして突如ブレーキを掛けて急停止し、真上90度に進行方向を変えて分厚いコンクリートの壁を切り裂き岩盤の層を切り拓いて地面に飛び出した。



「何だとッ、、、、ブフッ!?」



 ルチアーノが飛び出してのはネイサンの真下。

 落下した穴から真っ直ぐ登ってくると思っていたネイサンはまさか自分の真下から飛び出してくるとは思わず、不意を突かれて上空に蹴り上げられた。



「イマジネーション力の差だな便所虫野郎ッ!! 思考が平面的すぎて隙だらけだぜッ!!」



 ネイサンに美しい蹴りを叩き込んだルチアーノは興奮した様にそう叫び、空中に打ち上げられた敵目掛けて斬撃を放とうと右手に力を込める。



「チャムラァープッ!! ルチアーノを止めろォォッ!」



「アラホラサッサ~ッ!!」



 ネイサンがそう叫んだ瞬間、ルチアーノに胸を切り裂かれてピクリとも動かなかったチャムラップが身体を起こす。

 そして指鉄砲を作り、巨大なエネルギーの弾丸を撃ち込んだ。



「クソッ、、、ゴキブリみたいなしぶとさだ、なッ!!」



 ルチアーノはネイサンを叩き斬る為に貯めていたエネルギーを自分に向かって進んでいるエネルギー弾に向けて放った。

 そしてエネルギー弾と斬撃が衝突し相殺された光景を見て、僅かに目を見開く。



(エネルギー弾を貫通して後ろのピエロまで切り裂こうと思っていたが、相殺された、、、)



 よくよくチャムラップを見ると、ルチアーノが斬り裂いた傷は既に塞がって赤い染みを残しているのみに成っている。

 此処で漸く、ルチアーノはチャムラップに起きている変化に気が付いた。



(あのド派手な道化師衣装に変化してから、確実に防御力も攻撃力も上昇している、、、俺の斬撃を皮一枚で防ぐ防御力、俺の斬撃と張り合う攻撃力、俺に気付かれる事無く接近する行動スピード、、、そしてアノ姿に成ってから分身は一体も出現していない)



 ルチアーノは自分がこの短い時間の間に目撃したバラバラのピースを元に、チャムラップの能力についての推理を立てる。



(恐らく奴の能力は自分の分身を作る、そしてその分身と融合する事によって身体のスペックを数十倍跳ね上げる事ができる能力、、、だとすれば、この一体を殺せば一網打尽に出来る筈ッ)



 敵の強さのカラクリを解き明かし、正体不明のピエロの輪郭がハッキリしだした。

 少なくともルチアーノからしてみれば弱い敵が大量に湧いてくるよりも、強敵一体の方が好都合で有る。



「残り時間は5分、、、クソピエロに2分、ネイサンに2分、何処かで則獣の能力を使用している奴に1分だ。充分殺れるッ」



 ルチアーノはチャムラップに狙いを定め、斬撃とエネルギー弾の衝突によって発生した煙の中に突っ込み距離を詰める。

 その殺意を感じ取って、チャムラップは紫色のエネルギーを集めてナイフを生み出し迎撃した。



「よぉーし、やつを細切れにしてやるっ!」



「やってみろよッ、クソピエロォッ!!」



 ルチアーノは同時に九つの斬撃を生み出してチャムラップに放つが、その全てを右手に逆手持ちしたナイフで切り落とされる。

 しかし其れで焦ることは無く、直ちに遠距離攻撃から近接攻撃に切り替えて斬撃を纏った右腕をチャムラップのナイフに叩き付けた。



「他の連中が俺の首を狙う理由は分かるッ、、、だが何故世捨て人のお前が強力している? お前達は基本的に中立を保つんじゃ無かったのか??」



「別に中立って訳じゃ無いよ~ん! 基本的に他のファミリーと手を結ばないだけ、一部の例外を除いてね☆」



「一部の例外?」



「流れもんのアッシを匿ってくれた、一住一飯の恩義って奴だね。お控けぇなすってぇ~!!」



 チャムラップは曖昧な返答を返してルチアーノを押し返す。

 その瞬間ルチアーノは何かを察知して側方に飛び退き、その背後から不意を突いて跳び蹴りを当てようとしていたネイサンが現われた。

 目標を失った蹴りはそのまま直進し、チャムラップに直撃する。



「グヒョーンッ!!」



「チッ、外したか、、、」



 ネイサンの強烈な蹴りを受けたチャムラップはコミカルな叫び声を上げて吹飛ばされ、ネイサンはチャムパップの身体を蹴った反動で一回転し綺麗に着地した。

 気が付くとネイサンの上半身は裸になって筋肉が隆起しており、身体の何点かが光輝いて電子回路の様に其処から光の線が体中に張り巡らされている。



「龍脈拳、、、まだお前は恥ずかしげも無くその技を使ってんのか」



「武術は自らの野望を実現する為の道具に過ぎない、、、この技術を誰に習って何に使おうとも関係は無いね。使える物は徹底的に使う、唯其れだけだ」



 ルチアーノはその姿に面識があったようで、その姿を見た瞬間顔を顰めて含みの有る言葉を放った。

 そしてネイサンもその含みの意味を理解していた様だが、一切気にする様子は無く構えを作る。



「『天龍鼓独』」



 両腕を身体の正面で真っ直ぐに伸ばしてまるで龍の頭部を表しているかの様な型を作り、胸部に有る光の点から放出された黄金色のエネルギーが腕と腕の隙間から放出された。

 そのエネルギーは地面を余波だけで削りながら、命を得た大龍の様に波打ち進みルチアーノを喰らい尽くそうと迫る。



(残り時間5分、、、敵二人が一カ所に集まっているこの場で決着を付けるッ!!)



 ルチアーノはこの大技の打ち合いで勝負を決める覚悟を決めた。

 全身のエネルギーを両腕に流し込み、胸の前でクロスして構えを作る。

 放つのは先程の戦いで確実に世界最強の防御力を誇るマダム・ベアトリーチェを葬る為に使用した一撃。



「『クサナギ・双刃十文字』」



 黄金大龍の牙が目前に迫った時、ルチアーノは空間を凄まじいエネルギーで抉りながらX字の斬撃を放った。

 しかしその瞬間、身体の力が一気に抜けてエネルギーが霧散し技の威力が著しく低下する。

 そして中途半端な威力とエネルギー制御で放たれた『クサナギ・双刃十文字』は龍の巨大な口に呑み込まれ、跡形も無く噛み砕かれた。



(しまったッ、想像よりも早く万象共鳴が切れッ、、、)



 ルチアーノは突如訪れた途轍もない脱力感と頭痛で身体の力が抜け、迫る大龍の前に膝を突く。

 そして黄金の光に包まれた光景を最後に、意識は暗転して身体の感覚は消え去った。





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