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「そろそろ魔王の封印に向かってもらいたい」
訓練が始まって三週間。少しではあるけど力がコントロールできるようになったヒナコは謁見室で陛下に魔王の封印を命じられた。
封印といっても一発で終わるものではないらしい。何度かに分けて『聖なる力』を魔王にかかっている封印に浴びせて、その力を強固のものにするのだそうだ。
私は何の役にも立たないけれど、なぜか私も謁見室に呼ばれた。
「わ、わたし」
陛下の言葉にヒナコは震え、目には涙が溜まっていた。はたから見ても分かるほど彼女はがくがくと震えている。そんなヒナコを陛下は哀れみを込めて見ている。だが、彼は王だ。王として国を守るためにやるべきことは決まっている。
「いよいよなんですね」
陛下の隣に控えていた殿下は喜色を浮かべてヒナコと陛下を交互に見る。彼だけはヒナコの状態が見えていないようだ。
「ミズキ。すまぬがヒナコの為に、そなたもついていってやってはもらえぬか?」
呼ばれた時点で何となく分かっていた。
私は陛下を見た。質問の体を装って入るが肯定以外の返答は受け付けないと言っているわけではないがそういう「威圧感はある。
「父上、なぜこの女も一緒なのですか。ヒナコには」
「黙れ」
自分がついているから大丈夫。おそらく殿下はそう言おうとしたのだろう。だが、陛下に阻まれ口を噤んだ。口を噤んだ彼はまたもやきっと私を睨みつける。また叱られたのを私のせいだと思っているのだろう。都合の良すぎる頭はストレスが少なそうで羨ましい。
「私は戦闘はできませんし、ヒナコのような特殊な力もありません。足手まといにしかなりませんが」
「わ、私はミズキにもついてきて欲しい。ひ、一人じゃ無理だよぉ」
こういう時だけは自分の意見をはっきりと言うヒナコは今にも泣きそうな、というかもうすでに泣いているが。目で、私を見て言った。
陛下としては怖気づいて力を使えなくなるヒナコを危惧しているのだろう。そこで、同郷であり部屋に閉じこもった彼女を部屋から連れ出すことに成功した私を一緒にさせることで少しでも不安要素を取り除こうと考えての提案だ。
「護衛も十分につける。そなたの身に危険が及ばないように配慮する」
絶対と言わないところには好感を持つべきなのか、不安に思うべきなのか迷うところだ。どんなに十分な護衛をつけていても聖女であるヒナコと聖女の同郷でしかない私。護衛が優先的に守る人間は必然的に決まっている。それを敢えて言わない陛下の腹黒さには感服する。
「・・・・・分かりました」
断ることはできない。後ろ盾のない女が王政の場で王に背けるはずがない。そこを見越しての問いかけには嫌気がさす。
ヒナコは了承した私を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
訓練が始まって三週間。少しではあるけど力がコントロールできるようになったヒナコは謁見室で陛下に魔王の封印を命じられた。
封印といっても一発で終わるものではないらしい。何度かに分けて『聖なる力』を魔王にかかっている封印に浴びせて、その力を強固のものにするのだそうだ。
私は何の役にも立たないけれど、なぜか私も謁見室に呼ばれた。
「わ、わたし」
陛下の言葉にヒナコは震え、目には涙が溜まっていた。はたから見ても分かるほど彼女はがくがくと震えている。そんなヒナコを陛下は哀れみを込めて見ている。だが、彼は王だ。王として国を守るためにやるべきことは決まっている。
「いよいよなんですね」
陛下の隣に控えていた殿下は喜色を浮かべてヒナコと陛下を交互に見る。彼だけはヒナコの状態が見えていないようだ。
「ミズキ。すまぬがヒナコの為に、そなたもついていってやってはもらえぬか?」
呼ばれた時点で何となく分かっていた。
私は陛下を見た。質問の体を装って入るが肯定以外の返答は受け付けないと言っているわけではないがそういう「威圧感はある。
「父上、なぜこの女も一緒なのですか。ヒナコには」
「黙れ」
自分がついているから大丈夫。おそらく殿下はそう言おうとしたのだろう。だが、陛下に阻まれ口を噤んだ。口を噤んだ彼はまたもやきっと私を睨みつける。また叱られたのを私のせいだと思っているのだろう。都合の良すぎる頭はストレスが少なそうで羨ましい。
「私は戦闘はできませんし、ヒナコのような特殊な力もありません。足手まといにしかなりませんが」
「わ、私はミズキにもついてきて欲しい。ひ、一人じゃ無理だよぉ」
こういう時だけは自分の意見をはっきりと言うヒナコは今にも泣きそうな、というかもうすでに泣いているが。目で、私を見て言った。
陛下としては怖気づいて力を使えなくなるヒナコを危惧しているのだろう。そこで、同郷であり部屋に閉じこもった彼女を部屋から連れ出すことに成功した私を一緒にさせることで少しでも不安要素を取り除こうと考えての提案だ。
「護衛も十分につける。そなたの身に危険が及ばないように配慮する」
絶対と言わないところには好感を持つべきなのか、不安に思うべきなのか迷うところだ。どんなに十分な護衛をつけていても聖女であるヒナコと聖女の同郷でしかない私。護衛が優先的に守る人間は必然的に決まっている。それを敢えて言わない陛下の腹黒さには感服する。
「・・・・・分かりました」
断ることはできない。後ろ盾のない女が王政の場で王に背けるはずがない。そこを見越しての問いかけには嫌気がさす。
ヒナコは了承した私を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
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