私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月

文字の大きさ
15 / 33

14

しおりを挟む
「そろそろ魔王の封印に向かってもらいたい」
訓練が始まって三週間。少しではあるけど力がコントロールできるようになったヒナコは謁見室で陛下に魔王の封印を命じられた。
封印といっても一発で終わるものではないらしい。何度かに分けて『聖なる力』を魔王にかかっている封印に浴びせて、その力を強固のものにするのだそうだ。
私は何の役にも立たないけれど、なぜか私も謁見室に呼ばれた。
「わ、わたし」
陛下の言葉にヒナコは震え、目には涙が溜まっていた。はたから見ても分かるほど彼女はがくがくと震えている。そんなヒナコを陛下は哀れみを込めて見ている。だが、彼は王だ。王として国を守るためにやるべきことは決まっている。
「いよいよなんですね」
陛下の隣に控えていた殿下は喜色を浮かべてヒナコと陛下を交互に見る。彼だけはヒナコの状態が見えていないようだ。
「ミズキ。すまぬがヒナコの為に、そなたもついていってやってはもらえぬか?」
呼ばれた時点で何となく分かっていた。
私は陛下を見た。質問の体を装って入るが肯定以外の返答は受け付けないと言っているわけではないがそういう「威圧感はある。
「父上、なぜこの女も一緒なのですか。ヒナコには」
「黙れ」
自分がついているから大丈夫。おそらく殿下はそう言おうとしたのだろう。だが、陛下に阻まれ口を噤んだ。口を噤んだ彼はまたもやきっと私を睨みつける。また叱られたのを私のせいだと思っているのだろう。都合の良すぎる頭はストレスが少なそうで羨ましい。
「私は戦闘はできませんし、ヒナコのような特殊な力もありません。足手まといにしかなりませんが」
「わ、私はミズキにもついてきて欲しい。ひ、一人じゃ無理だよぉ」
こういう時だけは自分の意見をはっきりと言うヒナコは今にも泣きそうな、というかもうすでに泣いているが。目で、私を見て言った。
陛下としては怖気づいて力を使えなくなるヒナコを危惧しているのだろう。そこで、同郷であり部屋に閉じこもった彼女を部屋から連れ出すことに成功した私を一緒にさせることで少しでも不安要素を取り除こうと考えての提案だ。
「護衛も十分につける。そなたの身に危険が及ばないように配慮する」
絶対と言わないところには好感を持つべきなのか、不安に思うべきなのか迷うところだ。どんなに十分な護衛をつけていても聖女であるヒナコと聖女の同郷でしかない私。護衛が優先的に守る人間は必然的に決まっている。それを敢えて言わない陛下の腹黒さには感服する。
「・・・・・分かりました」
断ることはできない。後ろ盾のない女が王政の場で王に背けるはずがない。そこを見越しての問いかけには嫌気がさす。
ヒナコは了承した私を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

現実的な異世界召喚聖女

章槻雅希
ファンタジー
 高天原の神々は怒っていた。理不尽な異世界召喚に日ノ本の民が巻き込まれることに。そこで神々は怒りの鉄槌を異世界に下すことにした。  神々に選ばれた広瀬美琴54歳は17歳に若返り、異世界に召喚される。そして彼女は現代日本の職業倫理と雇用契約に基づき、王家と神殿への要求を突きつけるのだった。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する

白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。 聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

処理中です...