11 / 26
オードブル
Ⅳ.保健室に行ったら兄は思った以上に黒いことが分かった。
しおりを挟む
「っ」
「フンッ」
ダンスの授業中
私はクジでペアになった男の子と一緒に踊っていた。
大きなホールで踊っていた。
勿論、私達だけではない。
できるだけ夜会に近い形でのレッスンなので一〇組が一緒に踊っていた。
楽曲は踊っていない人が弾くことになっている。
楽器を使えるのは貴族の嗜みとされるので。
その中で、わざとなのだろう。
ミレイユ公爵令嬢は踊りながら私に近づき、足を踏みつけるのだ。
先生は他の子達を見ているのでそちらには気づかない。
思いっきり踏みやがって(# ゚Д゚)
睨みつけると彼女は素知らぬ顔をしていたが、そこには勝ち誇った表情が隠しきれずにあった。
なんてちゃちな嫌がらせだろう。
私は出そうになる溜息を何とか抑え込んだ。
そこから何度も私を踏もうと彼女は近づいてきて、足を差し向けるがタッチの差で避ける。
「ミレイユ公爵令嬢、ダンスをするには少々近すぎますが」
「あら。この程度の距離間では踊れませんの?」
「いいえ、そのようなことはありませんわ。
申し訳ありません、ミレイユ公爵令嬢は距離を取ったダンスはできないのですね。
でしたら仕方がないことですわ。
ちゃんとしたダンスというのは学校で学ぶものですから、これからよく学んで適切な距離でダンスができるようにしてくださいませ。
本番で粗相があっては恥をかくのはあなたなのですから」
「私がダンスを踊れていないと仰りたいのかしら?」
「この状況を見て、踊れていると評価できる人間は一握りでしょうね」
楽曲が終わり、私は笑顔でパートナーに一礼し、下がった。
そんな私をジュリアが睨みつけているのが気配で分かるがまるっと無視をした。
「カーティス公爵令嬢、大丈夫ですか?」
「かなり踏まれてらしたわよね」
「酷いですわ。あのような陰険なやり方」
「私は大丈夫ですわ。それより、口に気を付けなさないな。
彼女は腐っても公爵家。子爵家のあなたがどうこう言える相手ではなくてよ」
「しかし」
不満そうな顔をしている子爵令嬢に私は笑顔を見せる。
「誰にでも得手不得手はあるでしょう。
レッスンを続ければ彼女が人の足を踏む回数も減ると思いますわ」
わざと踏まれているのは明らかだが私はそれを意図的ではないとみなに言っておく。
子爵令嬢はまだ不満そうだが、公爵令嬢である私の言葉に逆らうことはなく、不承不承ながらも引き下がった。
ジュリアはかなり傲慢な態度を取っているし、自分よりも下の者を見下すような態度をいつもしているからこれを機に彼女の悪口を言いたかったのだろう。
でも、そんなものを許せばどのような火の粉が飛んでくるか分からないのだ。
そう言った手合いはできるだけスムーズに回避しなければ。
『あなたの為を思って』という言い訳を使われて何か取り返しのつかないことをされるのだけは避けたい。
ジュリアのような敵よりもそういった手合いの方が遥かに厄介だ。
貴族はよく庶民を下賎とか野蛮とか言うけれど私には貴族が最もその言葉に合っているような気がする。
「っ。私は、少し失礼しますわね」
思いっきり何度も足を踏まれたのでやはり痛みがひどく私は先生の許可を取って保健室へ行った。
「湿布を貼っておきますね。
あと、氷嚢も用意しましょう。
暫くは冷やしておいてください」
「はい」
足は赤く腫れあがっていた。
「レイラッ」
凄い勢いで保健室のドアが開いたかと思うと兄が物凄い形相で入って来た。
私もびっくりしたが、氷嚢の用意をしていた先生もびっくりしていた。
それもそうだろう。
貴族の子息令嬢が通うこの学校でそんな乱暴なドアの開け方をする人はまずいない。
「お兄様、どうなさったんですか?」
「レイラが怪我をしたと聞いてね」
兄は私の足を見るなり、駆け寄り、床に膝をついた。
「酷い、誰がこんなことを。レイラの綺麗な足が真っ赤じゃないか」
「腫れてはいますが骨に異常はありません。
十分冷やしておけば腫れは明日にでも引くでしょう」
心配する兄を見て先生は慌てて私の状態を説明した。
「そう。それでも酷いね。ダンスの授業で、足を何度も踏まれたんだって」
「授業中に起こったことなのによくご存知ですね。
それに、お兄様。今も授業の時間ですよね」
「この学校で私の耳に入らない情報はないよ。
それに授業なんか出なくても私の学力では問題ないよ」
さらりと怖いこととチートなことを言ってのけたよ。
「お兄様は私に見張りでもつけているんですか?」
「やだな。そんなわけないだろ。
ただ、親切な人が色々と教えてくれるんだよ。
特に私がレイラのことを可愛がっていると知っているからかな。
君のことを重点的に教えてくれる人がたくさんいるんだ」
成程、既に学校生ともしかしたら教師まで人心掌握済みですか。
親切な人って言っているけど、何か弱みを握って脅して色んな情報を持って来させているのかな?
ちらりと長年この学校に居るであろう先生を見てみたら心なしか顔が引きつっている。
対して、兄はとても爽やかな笑顔だ。
ここは深く追求しないでおこう。
兄のことは知らない方が良いことの方が多すぎる気がする。
それも指摘してはいけないのだろうな。
「フンッ」
ダンスの授業中
私はクジでペアになった男の子と一緒に踊っていた。
大きなホールで踊っていた。
勿論、私達だけではない。
できるだけ夜会に近い形でのレッスンなので一〇組が一緒に踊っていた。
楽曲は踊っていない人が弾くことになっている。
楽器を使えるのは貴族の嗜みとされるので。
その中で、わざとなのだろう。
ミレイユ公爵令嬢は踊りながら私に近づき、足を踏みつけるのだ。
先生は他の子達を見ているのでそちらには気づかない。
思いっきり踏みやがって(# ゚Д゚)
睨みつけると彼女は素知らぬ顔をしていたが、そこには勝ち誇った表情が隠しきれずにあった。
なんてちゃちな嫌がらせだろう。
私は出そうになる溜息を何とか抑え込んだ。
そこから何度も私を踏もうと彼女は近づいてきて、足を差し向けるがタッチの差で避ける。
「ミレイユ公爵令嬢、ダンスをするには少々近すぎますが」
「あら。この程度の距離間では踊れませんの?」
「いいえ、そのようなことはありませんわ。
申し訳ありません、ミレイユ公爵令嬢は距離を取ったダンスはできないのですね。
でしたら仕方がないことですわ。
ちゃんとしたダンスというのは学校で学ぶものですから、これからよく学んで適切な距離でダンスができるようにしてくださいませ。
本番で粗相があっては恥をかくのはあなたなのですから」
「私がダンスを踊れていないと仰りたいのかしら?」
「この状況を見て、踊れていると評価できる人間は一握りでしょうね」
楽曲が終わり、私は笑顔でパートナーに一礼し、下がった。
そんな私をジュリアが睨みつけているのが気配で分かるがまるっと無視をした。
「カーティス公爵令嬢、大丈夫ですか?」
「かなり踏まれてらしたわよね」
「酷いですわ。あのような陰険なやり方」
「私は大丈夫ですわ。それより、口に気を付けなさないな。
彼女は腐っても公爵家。子爵家のあなたがどうこう言える相手ではなくてよ」
「しかし」
不満そうな顔をしている子爵令嬢に私は笑顔を見せる。
「誰にでも得手不得手はあるでしょう。
レッスンを続ければ彼女が人の足を踏む回数も減ると思いますわ」
わざと踏まれているのは明らかだが私はそれを意図的ではないとみなに言っておく。
子爵令嬢はまだ不満そうだが、公爵令嬢である私の言葉に逆らうことはなく、不承不承ながらも引き下がった。
ジュリアはかなり傲慢な態度を取っているし、自分よりも下の者を見下すような態度をいつもしているからこれを機に彼女の悪口を言いたかったのだろう。
でも、そんなものを許せばどのような火の粉が飛んでくるか分からないのだ。
そう言った手合いはできるだけスムーズに回避しなければ。
『あなたの為を思って』という言い訳を使われて何か取り返しのつかないことをされるのだけは避けたい。
ジュリアのような敵よりもそういった手合いの方が遥かに厄介だ。
貴族はよく庶民を下賎とか野蛮とか言うけれど私には貴族が最もその言葉に合っているような気がする。
「っ。私は、少し失礼しますわね」
思いっきり何度も足を踏まれたのでやはり痛みがひどく私は先生の許可を取って保健室へ行った。
「湿布を貼っておきますね。
あと、氷嚢も用意しましょう。
暫くは冷やしておいてください」
「はい」
足は赤く腫れあがっていた。
「レイラッ」
凄い勢いで保健室のドアが開いたかと思うと兄が物凄い形相で入って来た。
私もびっくりしたが、氷嚢の用意をしていた先生もびっくりしていた。
それもそうだろう。
貴族の子息令嬢が通うこの学校でそんな乱暴なドアの開け方をする人はまずいない。
「お兄様、どうなさったんですか?」
「レイラが怪我をしたと聞いてね」
兄は私の足を見るなり、駆け寄り、床に膝をついた。
「酷い、誰がこんなことを。レイラの綺麗な足が真っ赤じゃないか」
「腫れてはいますが骨に異常はありません。
十分冷やしておけば腫れは明日にでも引くでしょう」
心配する兄を見て先生は慌てて私の状態を説明した。
「そう。それでも酷いね。ダンスの授業で、足を何度も踏まれたんだって」
「授業中に起こったことなのによくご存知ですね。
それに、お兄様。今も授業の時間ですよね」
「この学校で私の耳に入らない情報はないよ。
それに授業なんか出なくても私の学力では問題ないよ」
さらりと怖いこととチートなことを言ってのけたよ。
「お兄様は私に見張りでもつけているんですか?」
「やだな。そんなわけないだろ。
ただ、親切な人が色々と教えてくれるんだよ。
特に私がレイラのことを可愛がっていると知っているからかな。
君のことを重点的に教えてくれる人がたくさんいるんだ」
成程、既に学校生ともしかしたら教師まで人心掌握済みですか。
親切な人って言っているけど、何か弱みを握って脅して色んな情報を持って来させているのかな?
ちらりと長年この学校に居るであろう先生を見てみたら心なしか顔が引きつっている。
対して、兄はとても爽やかな笑顔だ。
ここは深く追求しないでおこう。
兄のことは知らない方が良いことの方が多すぎる気がする。
それも指摘してはいけないのだろうな。
30
あなたにおすすめの小説
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~
翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる