イジメられっ子は悪役令嬢( ; ; )イジメっ子はヒロイン∑(゚Д゚)じゃあ仕方がないっ!性格が悪くても(⌒▽⌒)

音無砂月

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オードブル

Ⅴ.ギルフォード

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 私はギルフォード・カーティス
 王家との縁戚もあり、宰相を務めている家の長男
 カーティス家は公爵家の中でも群を抜き出ていて、同じ公爵家でも格が違うと言われている。
 その家の長男である私には様々な煩わしいものが存在している。

 まず、第一に女だ。

 「ギル様」
 猫なで声を出して私に近づいてくるのはブリッジ・ロートリッチ
 伯爵家の令嬢だ。
 学校では社交界のマナーは免除される。
 勿論、それでも気にする人はいるが、女性というのは身勝手なものだ。
 自分達が下位の者に話しかけると眉間に皺を寄せ起こるくせに下位の令嬢は平気で上位である私に話しかけるのだから。
 自分達だけ社交界のマナーは適用されないと思っているのだろう。
 本当に身勝手なものだ。

 「これ、私の家の料理人に作らせたんですの。
 食べて頂けませんか」

 ブリッジが差し出して来たのはクッキーだった。
 冗談だろ。
 幾ら君の家の料理人が作ったものでも信用できない人間の物なんか食えるか。

 「折角だけど、遠慮しておくよ」
 「えぇっ!どうしてづすかぁ。ギル様の為にぃ作ったんですよぉ」

 知ったことか。

 ブリッジが更に私に詰め寄り、しな垂れかかろうとする。
 彼女のきつすぎる甘ったるい香水が鼻につく。
 それだけで気分が悪い。

 私は咄嗟に身を引き、彼女と距離を取る。

 「あん。もう、ギル様ってば、恥ずかしがり屋さん」
 とか、訳の分からないことを言ってきた。
 このバカ女は何を言っているのは意味不明である。

 「ちょっと、ブリッジ!伯爵家の分際で少し馴れ馴れしいじゃないの」
 「そうよ。少しはギル様の迷惑も考えたら」
 「婚約者でもない殿方に触れるなんて下品だわ」

 侯爵家の令嬢を筆頭にぎゃあぎゃあ喚き散らす
 彼女達は誰が私の子ことを射止めるか、カーティス公爵夫人になるかを競っているのだ。
 そんな令嬢達を見て、私はうんざいりする。

 私の妹、レイラはこんなに喚き散らしたりしない。
 香水をつけていなくてもいつもいい匂いがしている。
 少し公爵令嬢らしからぬ言動もするけれど、そこがまた可愛いと思う。

 同じ令嬢なのにどうしてこうも違うのか。
 レイラの所に行って癒してもらおうと思った時、助け船が出た。

 「あらあら、貴族の令嬢ともあろうものが殿方の前でなんて情けないことなのかしら。
 ピーチクパーチクと囀る小鳥程、煩わしいものはないわね」

 そう言って来たのはアデライーダ・アブト
 伯爵家の令嬢ではあるが王弟の娘ということで誰も何も言えなくなってしまう。
 彼女、愛称はアデラ。
 彼女、アデラは私の従兄であるアーノルド・ブレカの婚約者だ。

 「・・・・アブト伯爵令嬢」

 アデラはにっこりと笑ってはいるが吹雪吹き荒れる山の如く冷めた眼をしていた。
 彼女もアーノルドとの婚約が決まるまでは権力目当ての男性に付きまとわれていたので私の気持ちが分かるのだろう。
 アデラは伯爵家ではあるが、王弟の娘で王家との繋がりが持てる。
 侯爵家や公爵家とは違い、身分だけを見るなら男爵家、子爵家でも何とか嫁げるかもしれないという希望が中途半端に残っているので幅広い縁談が来ていた。

 そんな時、アデラは偶然騎士学校に通っていたアーノルドと出逢い、一目惚れ。
 アデラのモーアタックによりアーノルドとの婚約が決まったのだ。
 それからは縁談は落ち着いたがそれでもまだ身の程知らずの馬鹿野郎がアデラにヘラヘラと笑いながら近づいてくることがあるらしい。
 と、以前アーノルドに愚痴られた。
 最初はアデラの一目惚れだったが、今ではアーノルドの方がアデラにベタ惚れだ。

 因みにアーノルドはデュークの同期なので今は騎士として働いている。
 実力はデュークの次だと言われている。

 「ギル。レイラが怪我をして保健室に行ったそうよ」
 「何だって!」
 「大した怪我ではないそうだけど」
 と、アデラが言い終わる前に私は教室を飛び出した。
 今は授業中だが、先生の都合で自習になっているので問題ない。
 まぁ、喩え自習でなくとも私は構わずレイラの元へ向かっただろうけど。
 途中、何度か人に呼び止められ、同じこと報告して来る連中も居た。

 実際、レイラの怪我は大したことがなかった。
 でも、ダンスのレッスン中に足を何度も踏まれるなんて。
 陰険にも程がある。
 それに、教師は一体何処を見ていたんだ。
 私の可愛い妹の足が何度も踏まれているのに気づかないなんて、間抜にも程がある。




******************


 「あら、ギル様ではありませんか」

 昼休み、私は煩わしい令嬢を避ける為に一人図書室に行った。
 そこで私の可愛い妹の足を何度も踏みつけたジュリア・ミレイユが来た。
 頬を紅色に染め、嬉しそうに私に近づいてくる。
 彼女の周りにいる人間も嬉しそうに私の元へ来た。
 ミレイユ嬢の取り巻きなのだろうけど、彼女達は別にミレイユ嬢が好きで傍にいるわけではない。
 その方が得だからだ。
 それに今だって、ミレイユ嬢の好きを窺った私とお近づきになろうと考えている。
 肉食獣のような目はとても狡猾に煌いていて私の心を冷えさせる。

 「ごきげんよう、ミレイユ嬢」
 「ミレイユ嬢なんて、同じ公爵家ですわ。
 どうぞ、私のことはジュリアとお呼びください」

 人の妹に手を出しておいて何を言っているんだか。

 「私は妹に手を出す人間と仲良くなるつもりはないんでね、

 ピクリとミレイユ嬢の眉毛が上がった。
 周りの令嬢は扇で口元を隠しているが、明らかに嬉しそうにその光景を見ていた。
 これぐらい隠せるようになれよと心底呆れる。

 「何のことでしょうか?
 ああ、初日の口論ですか?でしたら」
 「やだな、そんな程度では私はあなたを嫌いになったりはしないよ。
 したでしょ、今日、ダンスのレッスン中に」

 保健室で私とレイラが会ったこともレイラのことでいろんな人が私にたくさんの情報をくれることを彼女は知らない。
 だから困惑している。
 ダンスのレッスン中に自分がレイラの足を踏みまくったことを何で知っているのかと。

 私は近づいて彼女の耳元で彼女にだけ聞こえるように囁いた。

 「あまり図に乗らないでね」

 それだけで彼女は顔面蒼白だ。

 「ジュリア様っ」
 取り巻き達が慌てて傾くジュリアの体を支えた。
 私はその横を通り過ぎ、図書室を出た。
 折角、一人で優雅な昼を満喫しようと思ったのに不快なモノに出会ったせいで本を読む気が失せてしまった。
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