イジメられっ子は悪役令嬢( ; ; )イジメっ子はヒロイン∑(゚Д゚)じゃあ仕方がないっ!性格が悪くても(⌒▽⌒)

音無砂月

文字の大きさ
17 / 26
メイン

Ⅳ.悪役令嬢よりも悪役が似合うヒロイン

しおりを挟む
 「デューク」

 花の乙女の祭りが終わるまでは私達は邸へは帰れない。
 教会での共同生活となっているが家族ならば訪ねて来ても問題はないので、衣装などを相談しに家族がよく来ているし、その為の部屋もある。
 勿論、針子を呼んでいろいろ手直ししたり、花の乙女をきっかけに仲良くなった令嬢に衣装のことで意見を貰ったりもする。

 私の家族は明日来ることになっている。

 今は祈りの舞の練習が終了し、気分転換に護衛のデュークと一緒に滅多に入ることのない教会の中を散策していた。
 その際にデュークを呼び止めた者が居た。

 デュークの同期であり友人であるディランを護衛に引き連れたメアリーだ。

 メアリーは喜色を浮かべてデュークに近づいた。
 その後ろを護衛らしく辺りを警戒しながらついて行くディランの顏は呆れと、メアリーに呼び止められたことを憐れんでいるような表情をしていた。

 彼女の護衛はなかなか大変のようだ。

 メアリーは同じ花の乙女であり公爵令嬢である私を完全に無視してデュークの前に立った。
 そんな貴族なら有り得ない態度に驚いて固まったデュークにメアリーは言う。

 「私、あなたのことを探していたのよ」
 「何か御用でしょうか?」
 「ええ。あなたと一緒にお茶でもしようかと思って」

 断られるとは一切思っていないメアリーにデュークは眉間に皺を寄せきっぱりと言った。

 「申し訳ありませんが、今は任務中ですので」
 「あら。そんなのいいじゃない。私が許すわ」
 「そういうわけにはいきません」
 「随分、お堅いのね」

 『はい』と言わないデュークにメアリーの苛立ちが募る。

 「私にはカーティス公爵令嬢の護衛があります。
 それを放置するわけにはいきません。
 たとえ教会の中とは言え何が起こるかは分からないのですから」
 「あら、お優しいのね」

 にっこりと笑ったメアリーは縦ロールにしている金色の髪を指に絡めて遊びながら初めて私の方を見た。
 彼女は私を小ばかにするように鼻で笑った。

 「仮に不埒ものが侵入して、この女を害そうとしたとしても何も問題ないじゃない。
 死んだところで誰も困らないわよ。寧ろみんな大喜びするんじゃないの?
 だって、レイラ・カーティスは私と違ってこの世界の邪魔者じゃない」

 私はあまりにも身勝手な物言いに唖然とし、ディランは男爵家の令嬢が公爵家の令嬢に堂々と喧嘩を売っている状況に驚き、口を開けたまま固まっている。
 デュークは怒りをその目に宿していた。

 「あなたは何を言っている?」
 「何よ、本当のことじゃない」
 「これ以上、あなたと話していたくなどない。
 不愉快だ。失礼する。
 行こう、レイラ」
 「え、ええ」

 私の手を引いてデュークは歩き出した。
 その姿に今度はメアリーが唖然とした。

 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!
 何で私ではなくその女を選ぶのよ。
 そんな性格が悪くて、性根の曲がった人間」

 アンタに言われたくない!

 と、私は令嬢らしくない怒鳴り声を上げそうになったのをグッと堪えた。

 デュークもディランもこの女は何を言っているんだという表情をしている。

 「行こう、デューク」

 今度は私がデュークの手を引いて歩き出した。
 光星は昔から人の話を聞く人ではなかった。
 聞かなくても問題はなかったのだ。
 全てが自分の思う通りに行くから。
 その傾向がメアリー・ブロウにも表れている。

 「デューク、私がお茶に誘っているのだから言うことを聞きなさい。
 アンタみたいな平民に声をかける貴族なんて私ぐらいなのよ。
 光栄に思うべきじゃないの?」

 ぎゃんぎゃん後ろの方で叫んでいるが私は無視をしてデュークを引っ張って行った。

 「ちょっと」
 あとを追おうとしたメアリーの前に出てディランが邪魔をした。

 「どきなさい」
 「それはできない」
 「私の進行を妨げて良いと思っているの?」
 「これはあんたの為でもあると思うぞ」
 「何ですって」

 目くじらを立てて怒るメアリーにディランは溜息をつきたいのをグッと堪えた。

 「男爵家の令嬢が公爵家の令嬢に対する態度じゃないな、あれは。
 公爵家なら男爵家を潰すの何て訳ないと思うぞ」

 まぁ、わざわざそんなことをしなくても潰れるだろうというのは黙っておいた。

 「何でヒロインの私が悪役令嬢なんかに潰されないといけないのよ。
 家の断絶なら私じゃなくてあっちでしょ」

 世間知らずでは通じない。
 夢見がちな少女では通らない発言
 それらに絶句するディランを見たメアリーは何を勘違いしたのか「アンタもようやく現実が分かったのね」なんて
おかしな発言をしてきた。

 「もう一つ言っておくけどデュークはモテるし、カーティス公爵令嬢のお気に入りだ。
 次期殿とも仲が良いし、騎士団長のお気に入り。
 わざわざのアンタが声をかけなくても将来の展望が明るいアイツには様々な人間から縁談が舞い込んでいるよ。
 それこそ、上流貴族からだってたくさんな。
 アイツは見た目も良いしな」

 早く花の乙女、終わらないかな。
 こんな女の護衛なんてもう二度と御免だ。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた

ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。  シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。 そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。 恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。 気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない

miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。 断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。 家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。 いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。 「僕の心は君だけの物だ」 あれ? どうしてこうなった!? ※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。 ※ご都合主義の展開があるかもです。 ※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。

処理中です...