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「ではハロルドは私と婚約を破棄し、新たにメロディ様と婚約をなさりたいということでよろしいですね」
「ああ。君とは上手くやっていけそうだったのに残念だけど陛下の命令とあらば仕方がない」
全く仕方がないという顔をしていないけど。
それどころか嬉しそうにすら見える。
メロディは確かに可愛い。それに王家と繋がりを持てば自分の出世にも影響してくるから余計にこの機を逃したくはないのだろう。
ただメロディが王家に仲間入りするかは微妙だけど。
なぜか陛下もハロルドも既にメロディが王女であるかのように話を進めているけど。
「陛下、メロディ様との婚約の件前向きに検討させていただきます」
「そうか、そうか。さすがはハロルドだな。それで、リスティル嬢はどうなさるおつもりかな?」
そんなに睨まないでよ。
今は確かに公爵令嬢で多少揉まれてきたけど中身は軟弱な一般人なんだから。
「家同士で結ばれた婚約です。私の独断ではお答えしかねます。一度持ち帰り父に相談してみます」
「そうか。良い答えを期待している」
「それではこれで失礼させていただきます」
私は陛下に断りを入れてから退出した。
薄暗い廊下を歩き、人の気配が完全に消えて初めて一息付けた。
「リスティル。あっ、リスティルで良いですよね」
にっこりと笑いながらメロディが前から歩いて来た。
月明かりに照らされながら笑う姿はヒロインらしくとても可愛いが私の頭では警報が鳴り響いていた。この女に深く関わるなと。
悪役令嬢として自分のバッドエンドに繋がる可能性があるヒロインに関わり合いになりたくないと思うのは当然のことだけどそれが理由じゃないと思う。
「いいえ、メロディ様。それほど親しくはないので呼び捨てにしないでいただきたいです」
「私と親しくなりたくないんですか?なった方がお得だと思いますよ」
王の娘だから今から媚を売っておけということかしら。
彼女も自分の立場が分かっていないのね。でも、仕方がないわ。王があの様子では勘違いしてしまうのは。けれど王宮に来た時に従者が説明したはずだけど。
恐らくは王妃の命を受けた従者から。
「私ね、昔から運が強いの。ほら、私って可愛い見た目してるでしょう」
それ、自分で言っちゃう?
というか、ヒロインってこんなキャラだった?
「だからね、よく変な男の絡まれるのよね。私に声をかける前に自分の顔を鏡で見て欲しいわ」
そう言ってメロディは憂い顔でため息をつく。まるで自分に釣り合うのはイケメンのみとでも言いたげね。
「結構危ない時も会ったんだけどね、いつも誰かしらが通りかかって助けてくれるの。今回もお母さんが死んじゃって、これからどうしようって思ったのね。路頭に迷うかもって不安はあった。でもね、思い出したの。昔、お父さんのことを聞いたらあの城に住んでいるのよって王宮を指さしていたことを。それで尋ねたら王様が出てきて私を自分の娘だって言うじゃない。こんな素敵なことって普通は起こらないものでしょう。今までもそんな感じでいろんなあり得ないような奇跡が起きて生きて来たの。まるで神様に守られているみたいに」
神様に守られているっていうのはある意味当たっているかも。だって彼女はこの世界のヒロイン。多少キャラが違うような気もするけどその事実に変りはない。
ならこの世界が彼女にとって都合よくできていてもおかしくはない。だからってそれを過信しすぎるのは危険だと思う。
「今回もね、お父様にお願いしたの。ハロルド様が欲しいって」
「‥‥‥」
「そうしたらあっさり許可してくださったのよ」
「彼は私の婚約者ですが」
「でも政略でしょう。将来を共に誓い合うのなら愛がなくちゃ」
「平民ならそれでいいでしょう。けれど、貴族はそういうわけにはいきません。もしあなたが本当に貴族社会で生きたいと望むのなら覚えておきなさい」
「ああ。君とは上手くやっていけそうだったのに残念だけど陛下の命令とあらば仕方がない」
全く仕方がないという顔をしていないけど。
それどころか嬉しそうにすら見える。
メロディは確かに可愛い。それに王家と繋がりを持てば自分の出世にも影響してくるから余計にこの機を逃したくはないのだろう。
ただメロディが王家に仲間入りするかは微妙だけど。
なぜか陛下もハロルドも既にメロディが王女であるかのように話を進めているけど。
「陛下、メロディ様との婚約の件前向きに検討させていただきます」
「そうか、そうか。さすがはハロルドだな。それで、リスティル嬢はどうなさるおつもりかな?」
そんなに睨まないでよ。
今は確かに公爵令嬢で多少揉まれてきたけど中身は軟弱な一般人なんだから。
「家同士で結ばれた婚約です。私の独断ではお答えしかねます。一度持ち帰り父に相談してみます」
「そうか。良い答えを期待している」
「それではこれで失礼させていただきます」
私は陛下に断りを入れてから退出した。
薄暗い廊下を歩き、人の気配が完全に消えて初めて一息付けた。
「リスティル。あっ、リスティルで良いですよね」
にっこりと笑いながらメロディが前から歩いて来た。
月明かりに照らされながら笑う姿はヒロインらしくとても可愛いが私の頭では警報が鳴り響いていた。この女に深く関わるなと。
悪役令嬢として自分のバッドエンドに繋がる可能性があるヒロインに関わり合いになりたくないと思うのは当然のことだけどそれが理由じゃないと思う。
「いいえ、メロディ様。それほど親しくはないので呼び捨てにしないでいただきたいです」
「私と親しくなりたくないんですか?なった方がお得だと思いますよ」
王の娘だから今から媚を売っておけということかしら。
彼女も自分の立場が分かっていないのね。でも、仕方がないわ。王があの様子では勘違いしてしまうのは。けれど王宮に来た時に従者が説明したはずだけど。
恐らくは王妃の命を受けた従者から。
「私ね、昔から運が強いの。ほら、私って可愛い見た目してるでしょう」
それ、自分で言っちゃう?
というか、ヒロインってこんなキャラだった?
「だからね、よく変な男の絡まれるのよね。私に声をかける前に自分の顔を鏡で見て欲しいわ」
そう言ってメロディは憂い顔でため息をつく。まるで自分に釣り合うのはイケメンのみとでも言いたげね。
「結構危ない時も会ったんだけどね、いつも誰かしらが通りかかって助けてくれるの。今回もお母さんが死んじゃって、これからどうしようって思ったのね。路頭に迷うかもって不安はあった。でもね、思い出したの。昔、お父さんのことを聞いたらあの城に住んでいるのよって王宮を指さしていたことを。それで尋ねたら王様が出てきて私を自分の娘だって言うじゃない。こんな素敵なことって普通は起こらないものでしょう。今までもそんな感じでいろんなあり得ないような奇跡が起きて生きて来たの。まるで神様に守られているみたいに」
神様に守られているっていうのはある意味当たっているかも。だって彼女はこの世界のヒロイン。多少キャラが違うような気もするけどその事実に変りはない。
ならこの世界が彼女にとって都合よくできていてもおかしくはない。だからってそれを過信しすぎるのは危険だと思う。
「今回もね、お父様にお願いしたの。ハロルド様が欲しいって」
「‥‥‥」
「そうしたらあっさり許可してくださったのよ」
「彼は私の婚約者ですが」
「でも政略でしょう。将来を共に誓い合うのなら愛がなくちゃ」
「平民ならそれでいいでしょう。けれど、貴族はそういうわけにはいきません。もしあなたが本当に貴族社会で生きたいと望むのなら覚えておきなさい」
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