悪役令嬢だから知っているヒロインが幸せになれる条件【8/26完結】

音無砂月

文字の大きさ
9 / 16

8.作られる悪役令嬢

しおりを挟む
「まぁ、来てくださってのね。リスティル」
お茶会に行くとメロディは嬉しそうに私の元へ駆け寄り、その後ろをハロルドがついて来る。そして私以外に招待された招待客は困惑していた。
そうだろう。
お披露目こそしていないが私の婚約者がメロディの婚約者になっていることは既に周知の事実。
メロディがハロルドを欲しがり、陛下に願い出た。陛下はそれを受理、ヘザーズ公爵家は王命を盾に取られハロルドとの婚約を破棄。という噂が出回っていた。
王妃と父が中心となって流してくれた噂だ。
王家にとって打撃の強い噂だけど既にメロディの存在が醜聞であり、今更傷が一つ増えたところで問題がないことと馬鹿二人のせいでヘザーズ公爵家に背を向かれることの方が王家にとって不利であることが理由で王妃が積極的に動いてくれた。
王妃も苦労が絶えないな。
「メロディ様、この度はご招待いただきありがとうございます。メロディ様、以前にも言ったはずですが私の名前を呼び捨てにするのはお止めくださいと」
「いいじゃない。私たちお友達なんだから」
そう言ってメロディは私の腕に抱き着く。
その不作法さに周囲は眉間に皴を寄せていたがメロディは気づかない。
後ろに控えていたレオンが動く気配がしたので私は彼を制した。
何となくだけどメロディがあるいはメロディにそう命じたであろう王の思惑が分かった。
流れている噂をかき消す為にも私とメロディは仲が良いと思わせたいのだろう。そしてヘザーズ公爵家はメロディの後ろ盾になったと上手くいけば周囲は勘違いしてくれるかもしれない。
それがどれだけヘザーズ公爵家を侮辱している行為か気づきもせずに。
王という地位を得て、傲慢になり過ぎではないだろうか。
「お友達になったと思う程面識はありませんよ、メロディ様」
「もぉう、リスティルは固いわね」
そういう問題じゃないだろ。人の婚約者を奪っておいて本気で友達になれると思っているのだろうか。
「あら?後ろの方はどなた?」
メロディがレオンの存在に気づいた。パーティーの時もいたんだけど、その時彼女はハロルドに夢中だったから気づかなかったんだろう。
「義弟のレオンです」
「レオン・ヘザーズです」
レオンは不作法にならない程度で礼をした。
王の妾子ということで最低限の礼儀は払うが礼を尽くすつもりはないという彼の意思表示だろう。
「メロディよ。よろしくね、レオン」
呼び捨てにされたレオンの眉がぴくりと動く。不快だったのだろう。そしてそれは彼だけではない。私もそうだけど、レオンは見た目が良いから令嬢にモテるのだ。ぽっと出の妾子がレオンに親し気にするのは令嬢たちからしたら気に食わないのは当然だ。
あわよくばを狙っている令嬢は多いんだから。
「それにしてもリスティルって、ハロルドと言いレオンと言い、見目の良い男を侍らせるのが好きね」
「「!?」」
にっこりと悪気なく言われた言葉に私もレオンも思わず固まってしまった。
「メロディ様、今の発言はちょっと」
さすがのハロルドも割って入る。メロディは「どうしたの?」と呑気にハロルドに聞いている。
本当に何も分かっていないのか、天然を装っているだけか。判断するには材料が少なすぎるけど私たちとメロディの関係はこれではっきりしたわね。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

転生悪役令嬢の母でございます

里見しおん
ファンタジー
転生悪役令嬢レミーリア・ヴェリーンを育てたお母様のお話です。 創作リハビリ中です!

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】貴女にヒロインが務まるかしら?

芹澤紗凪
ファンタジー
※一幕完結済。またご要望などあれば再開するかもしれません 乙女ゲームの悪役令嬢に転生した元・大女優の主人公。 同じく転生者である腹黒ヒロインの策略を知り、破滅を回避するため、そして女優のプライドを懸け、その完璧な演技力で『真のヒロイン』に成り変わる物語。

悪役令嬢だけど、私としては推しが見れたら十分なんですが?

榎夜
恋愛
私は『花の王子様』という乙女ゲームに転生した しかも、悪役令嬢に。 いや、私の推しってさ、隠しキャラなのよね。 だから勝手にイチャついてて欲しいんだけど...... ※題名変えました。なんか話と合ってないよねってずっと思ってて

【完結】貴方たちはお呼びではありませんわ。攻略いたしません!

宇水涼麻
ファンタジー
アンナリセルはあわてんぼうで死にそうになった。その時、前世を思い出した。 前世でプレーしたゲームに酷似した世界であると感じたアンナリセルは自分自身と推しキャラを守るため、攻略対象者と距離を置くことを願う。 そんな彼女の願いは叶うのか? 毎日朝方更新予定です。

これぞほんとの悪役令嬢サマ!?〜掃討はすみやかに〜

黒鴉そら
ファンタジー
貴族の中の貴族と呼ばれるレイス家の令嬢、エリザベス。彼女は第一王子であるクリスの婚約者である。 ある時、クリス王子は平民の女生徒であるルナと仲良くなる。ルナは玉の輿を狙い、王子へ豊満な胸を当て、可愛らしい顔で誘惑する。エリザベスとクリス王子の仲を引き裂き、自分こそが王妃になるのだと企んでいたが……エリザベス様はそう簡単に平民にやられるような性格をしていなかった。 座右の銘は”先手必勝”の悪役令嬢サマ! 前・中・後編の短編です。今日中に全話投稿します。

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

処理中です...