10 / 16
9
しおりを挟む
「メロディ様、ご自分の発言に責任が持てますか?」
「えっ?責任も何も私は本当のことしか言っていないけど」
本気で分からないという顔をしている。
「左様でございますか。さすがはメロディ様ですね。人の婚約者を欲しがるだけある。義弟を連れているだけというのにそのような発想ができるとは感心致します。私にはできない発想ですわ」
「ひどい」
どこが?
「私が元平民だからと馬鹿にしているんですね。どうしてそんな醜い心根なの」
「貴様」
「レオン、落ち着いて」
メロディは目に涙を浮かべながら言う。
「私は折角あなたとお友達になってあげようと思っていたのに」
何で上から目線なのよ。別に頼んでないけど。
「リスティル、メロディ様を貶すのは婚約者である俺が許さないぞ。彼女の出生をみんなの前で貶すなど最低な行為だ。お前と婚約を破棄して良かったと心から思うよ」
「ほぅ」
レオンから物凄い殺気が漂ってくる。
「ハロルド卿、義姉さんを呼び捨てにするのは止めて頂きたい。あなたと義姉さんは既に婚約関係ではありません。赤の他人です」
“赤の他人”という言葉をレオンは強調して更にハロルドに詰め寄る。
「す、すまない」
仮にも騎士が一般人に気圧されるとか情けないとは思わないよ。今のレオンは戦場帰りの騎士ですらも顔を引き攣らせてしまいそうなほど恐ろしい顔をしている。
「あなたと義姉さんの婚約が破棄されたことはヘザーズ公爵家にとって僥倖でした。俺の大切な義姉さんが不幸になる未来を回避できたのですから。その点においてはあなたをご所望くださったメロディ様とあっさりと義姉さんからメロディ様に乗り換えたあなたの英断には感謝します。それでは俺たちはこれで失礼します。行きましょう、義姉さん」
「え、ええ」
レオンは私の腰を抱き寄せ、ひょいっとメロディに背を向けさせた。
「ちょっと待ってよ。まだお茶会は始まってもいないのよ。なのに帰るなんて失礼じゃない」
メロディが一歩前に出てきて憤慨する。
さっき流した涙はどこにいった?
変わり身が早いわね。女優になれるんじゃないかしら。
「先に無礼を働いたのはそっちですよ。だいたいどういう神経しているんですか?陛下を引っ張り出して婚約者を奪っておいて友達になれると?あなたみたいな人が?義姉さんとあなたでは住む世界が違うんですよ」
「無礼なんて働いていないわ!それに今までは住む世界が違っていたかもしれないけどこれからは同じ世界に住むのよ」
メロディはレオンに対して勝ち誇ったような笑みを見せる。
「あなたも今のうちに態度を変えておいて方が良いわよ。私は陛下の娘なんだから」
メロディの言葉をレオンは鼻で笑った。
「あなたは自分の立場を学ばれた方がよろしいでしょう。それでは俺たちは失礼します。お茶会への招待も結構です」
「レオン、待てよ」
ハロルドがレオンの腕を掴んだけどレオンは振り払った。
「この件は公爵家から正式に抗議させていただきます」
「えっ?責任も何も私は本当のことしか言っていないけど」
本気で分からないという顔をしている。
「左様でございますか。さすがはメロディ様ですね。人の婚約者を欲しがるだけある。義弟を連れているだけというのにそのような発想ができるとは感心致します。私にはできない発想ですわ」
「ひどい」
どこが?
「私が元平民だからと馬鹿にしているんですね。どうしてそんな醜い心根なの」
「貴様」
「レオン、落ち着いて」
メロディは目に涙を浮かべながら言う。
「私は折角あなたとお友達になってあげようと思っていたのに」
何で上から目線なのよ。別に頼んでないけど。
「リスティル、メロディ様を貶すのは婚約者である俺が許さないぞ。彼女の出生をみんなの前で貶すなど最低な行為だ。お前と婚約を破棄して良かったと心から思うよ」
「ほぅ」
レオンから物凄い殺気が漂ってくる。
「ハロルド卿、義姉さんを呼び捨てにするのは止めて頂きたい。あなたと義姉さんは既に婚約関係ではありません。赤の他人です」
“赤の他人”という言葉をレオンは強調して更にハロルドに詰め寄る。
「す、すまない」
仮にも騎士が一般人に気圧されるとか情けないとは思わないよ。今のレオンは戦場帰りの騎士ですらも顔を引き攣らせてしまいそうなほど恐ろしい顔をしている。
「あなたと義姉さんの婚約が破棄されたことはヘザーズ公爵家にとって僥倖でした。俺の大切な義姉さんが不幸になる未来を回避できたのですから。その点においてはあなたをご所望くださったメロディ様とあっさりと義姉さんからメロディ様に乗り換えたあなたの英断には感謝します。それでは俺たちはこれで失礼します。行きましょう、義姉さん」
「え、ええ」
レオンは私の腰を抱き寄せ、ひょいっとメロディに背を向けさせた。
「ちょっと待ってよ。まだお茶会は始まってもいないのよ。なのに帰るなんて失礼じゃない」
メロディが一歩前に出てきて憤慨する。
さっき流した涙はどこにいった?
変わり身が早いわね。女優になれるんじゃないかしら。
「先に無礼を働いたのはそっちですよ。だいたいどういう神経しているんですか?陛下を引っ張り出して婚約者を奪っておいて友達になれると?あなたみたいな人が?義姉さんとあなたでは住む世界が違うんですよ」
「無礼なんて働いていないわ!それに今までは住む世界が違っていたかもしれないけどこれからは同じ世界に住むのよ」
メロディはレオンに対して勝ち誇ったような笑みを見せる。
「あなたも今のうちに態度を変えておいて方が良いわよ。私は陛下の娘なんだから」
メロディの言葉をレオンは鼻で笑った。
「あなたは自分の立場を学ばれた方がよろしいでしょう。それでは俺たちは失礼します。お茶会への招待も結構です」
「レオン、待てよ」
ハロルドがレオンの腕を掴んだけどレオンは振り払った。
「この件は公爵家から正式に抗議させていただきます」
111
あなたにおすすめの小説
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪役令嬢・お助けキャラ・隠しヒロインって、役割過多だと思います。
章槻雅希
ファンタジー
皇国の重鎮セーヴェル公爵令嬢アレクサンドラは学院の卒業記念舞踏会で突然第9皇子から婚約破棄を告げられる。皇子の傍らには見知らぬ少女が寄り添ってこちらを嘲笑うかのような表情で見ていた。
しかし、皇子とは初対面。アレクサンドラには婚約者などいない。いったいこの皇子は何をどう勘違いしているのか。
テンプレな乙女ゲームに転生したアレクサンドラ。どうやらヒロインも転生者らしい。でも、どうやらヒロインは隠しルートには到達できなかったようだ。
だって、出来ていれば断罪イベントなんて起こすはずがないのだから。
今更ながらに悪役令嬢ものにハマり、衝動の余り書き上げたものです。テンプレ設定にテンプレな流れ。n番煎じもいいところな、恐らくどこかで見たような流れになっていると思います。
以前なろうに投稿していたものの修正版。
全8話。『小説家になろう』『Pixiv(別名義)』にも投稿。
アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
これぞほんとの悪役令嬢サマ!?〜掃討はすみやかに〜
黒鴉そら
ファンタジー
貴族の中の貴族と呼ばれるレイス家の令嬢、エリザベス。彼女は第一王子であるクリスの婚約者である。
ある時、クリス王子は平民の女生徒であるルナと仲良くなる。ルナは玉の輿を狙い、王子へ豊満な胸を当て、可愛らしい顔で誘惑する。エリザベスとクリス王子の仲を引き裂き、自分こそが王妃になるのだと企んでいたが……エリザベス様はそう簡単に平民にやられるような性格をしていなかった。
座右の銘は”先手必勝”の悪役令嬢サマ!
前・中・後編の短編です。今日中に全話投稿します。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる