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「私が、何をしたと?」
「メロディ様の教科書を破ったり、メロディ様の物を池やごみ箱に捨てただろ。幾ら俺のことを愛していたからってお前がそんなことをする奴だとは思わなかった。お前と婚約破棄して正解だったよ」
ハロルドが蔑むように私を睨みつけてくる。
「変な勘違いしないでください。私はあなたなど愛していません。ですから私はメロディ様を虐めてなどいません」
「証人がいる。メロディ様を虐めるようにお前に言われたとこの者たちが証言した」
ハロルドの元へ三人の令嬢がやって来た。
私を嘲笑するその三人はあの三バカ令嬢だ。
私をダシにメロディを虐めようとしていたけど私の協力は得られず、結果的に自分でやって嘘の証言をしたのか。お粗末だな。
実行した三バカもそんな嘘を真に受けたハロルドも。
「そんな捏造を信じるなんて本当にどうしようもないボンクラですね、ハロルド卿は」
「リスティル様、真実を仰ってください。ヘザーズ公爵家の権力を使って私たちにメロディ様を虐めるようにご指示されたではありませんか」
「潔く事実を認めてください」
「私たち全てを告白するつもりです。あなたの言いなりにはなりませんわ」
さも自分たちは私に脅された被害者であるかのように装う三バカ。これで勝ったつもりなのかしら。
「あなた達が私をダシにしてメロディ様を虐めようとして、それを止めた私と口論になった場面を複数の生徒が目撃しています。そんなあなた達と私の証言、どちらに有用性があるかしら?それと証言だけでは何の証拠にもなりませんわよ。ハロルド卿、私がメロディ様を虐めたという証拠はあるんですか?」
「そ、それは」
「メロディ様は?」
「‥‥‥調べれば見つかるはずです。あなたは私が嫌いなのでしょう。私があなたからハロルドを奪ったから。それにあなたは元平民の私が王の娘であることが気に入らないのでしょう。あなたには動機が十分あります」
「動機?はっ。ただの被害妄想じゃない。付き合ってられないわ」
「っ。このっ」
ハロルドから離れて私に近づいて来たメロディが手を振り上げた。ぶたれると思ったけどその手が振り下ろされることはなかった。
なぜならレオンがメロディの手を掴んで止めたから。
「あなた達は何をしているんですか?」
「っ。い、痛い、レオン、放して」
腕が真っ青になるぐらいの力でレオンはメロディの手を掴んでいた。
「レオン、メロディ様を放せ」
「言われなくてもすぐに放しますよ。こんな汚らわしい物、いつまでも触れているわけないでしょう」
そう言ってレオンは物を投げ捨てるようにメロディを放した。
「きゃっ」
後ろに転倒したメロディの元にハロルドが慌てて駆け寄る。
「義姉さん、大丈夫ですか。すみません、駆け付けるのが遅くなってしまい」
今にも泣きそうな顔で、まるでひびの入ったガラスに触れるように慎重にレオンは私を抱き寄せた。その体が震えていた。
「目撃していた生徒から話を聞いた時は血の気が引きました。あなたを失っては、俺は生きていけません」
「‥…レオン」
私の肩が湿っている。レオンが泣いているのだ。
「レオン、メロディ様に暴力を振るうなんて、許されることじゃないぞ」
レオンの背後から怒るハロルドの声が聞こえる。私を階段から突き落としておいて何を言っているんだか。
「義姉さんを階段から突き落としておいて何を言っているんですか?この件は覚悟しておいてくださいね。あなたを義姉さん殺人未遂で貴族裁判にかけます」
「何を、馬鹿なことを」
「馬鹿はあなたでしょう。階段から突き落とせば死ぬ可能性だってありました」
「メ、メロディ様が泣いていて、理由を聞いたらリスティルに虐められていると聞いて、頭に血が上って、それで」
「だから階段から突き落とした?本当に虐めているとは限らないのに?何も調べずに?その件も裁判にかけさせていただきます。あなた方も逃しませんよ」
レオンは階段の踊り場にいた三バカに視線を向けた。ビクッと震えているのはレオンが放つ殺気が怖かったのと今更ながらに自分たちのついた嘘の重大さに気づいたのだろう。
伯爵家が公爵家に罪を擦り付けることの意味を行動を起こす前に考えるべきだったのだ。今となっては後の祭りだが。
「もちろん、メロディ様あなたも」
「えっ?どうして私まで?」
「無関係なわけないでしょう。あなたの発言がもとで起きたことです」
「私は彼女たちに聞いて」
そう言ってメロディは三バカに視線を向けた。
「関係ありません」
「メロディ様の教科書を破ったり、メロディ様の物を池やごみ箱に捨てただろ。幾ら俺のことを愛していたからってお前がそんなことをする奴だとは思わなかった。お前と婚約破棄して正解だったよ」
ハロルドが蔑むように私を睨みつけてくる。
「変な勘違いしないでください。私はあなたなど愛していません。ですから私はメロディ様を虐めてなどいません」
「証人がいる。メロディ様を虐めるようにお前に言われたとこの者たちが証言した」
ハロルドの元へ三人の令嬢がやって来た。
私を嘲笑するその三人はあの三バカ令嬢だ。
私をダシにメロディを虐めようとしていたけど私の協力は得られず、結果的に自分でやって嘘の証言をしたのか。お粗末だな。
実行した三バカもそんな嘘を真に受けたハロルドも。
「そんな捏造を信じるなんて本当にどうしようもないボンクラですね、ハロルド卿は」
「リスティル様、真実を仰ってください。ヘザーズ公爵家の権力を使って私たちにメロディ様を虐めるようにご指示されたではありませんか」
「潔く事実を認めてください」
「私たち全てを告白するつもりです。あなたの言いなりにはなりませんわ」
さも自分たちは私に脅された被害者であるかのように装う三バカ。これで勝ったつもりなのかしら。
「あなた達が私をダシにしてメロディ様を虐めようとして、それを止めた私と口論になった場面を複数の生徒が目撃しています。そんなあなた達と私の証言、どちらに有用性があるかしら?それと証言だけでは何の証拠にもなりませんわよ。ハロルド卿、私がメロディ様を虐めたという証拠はあるんですか?」
「そ、それは」
「メロディ様は?」
「‥‥‥調べれば見つかるはずです。あなたは私が嫌いなのでしょう。私があなたからハロルドを奪ったから。それにあなたは元平民の私が王の娘であることが気に入らないのでしょう。あなたには動機が十分あります」
「動機?はっ。ただの被害妄想じゃない。付き合ってられないわ」
「っ。このっ」
ハロルドから離れて私に近づいて来たメロディが手を振り上げた。ぶたれると思ったけどその手が振り下ろされることはなかった。
なぜならレオンがメロディの手を掴んで止めたから。
「あなた達は何をしているんですか?」
「っ。い、痛い、レオン、放して」
腕が真っ青になるぐらいの力でレオンはメロディの手を掴んでいた。
「レオン、メロディ様を放せ」
「言われなくてもすぐに放しますよ。こんな汚らわしい物、いつまでも触れているわけないでしょう」
そう言ってレオンは物を投げ捨てるようにメロディを放した。
「きゃっ」
後ろに転倒したメロディの元にハロルドが慌てて駆け寄る。
「義姉さん、大丈夫ですか。すみません、駆け付けるのが遅くなってしまい」
今にも泣きそうな顔で、まるでひびの入ったガラスに触れるように慎重にレオンは私を抱き寄せた。その体が震えていた。
「目撃していた生徒から話を聞いた時は血の気が引きました。あなたを失っては、俺は生きていけません」
「‥…レオン」
私の肩が湿っている。レオンが泣いているのだ。
「レオン、メロディ様に暴力を振るうなんて、許されることじゃないぞ」
レオンの背後から怒るハロルドの声が聞こえる。私を階段から突き落としておいて何を言っているんだか。
「義姉さんを階段から突き落としておいて何を言っているんですか?この件は覚悟しておいてくださいね。あなたを義姉さん殺人未遂で貴族裁判にかけます」
「何を、馬鹿なことを」
「馬鹿はあなたでしょう。階段から突き落とせば死ぬ可能性だってありました」
「メ、メロディ様が泣いていて、理由を聞いたらリスティルに虐められていると聞いて、頭に血が上って、それで」
「だから階段から突き落とした?本当に虐めているとは限らないのに?何も調べずに?その件も裁判にかけさせていただきます。あなた方も逃しませんよ」
レオンは階段の踊り場にいた三バカに視線を向けた。ビクッと震えているのはレオンが放つ殺気が怖かったのと今更ながらに自分たちのついた嘘の重大さに気づいたのだろう。
伯爵家が公爵家に罪を擦り付けることの意味を行動を起こす前に考えるべきだったのだ。今となっては後の祭りだが。
「もちろん、メロディ様あなたも」
「えっ?どうして私まで?」
「無関係なわけないでしょう。あなたの発言がもとで起きたことです」
「私は彼女たちに聞いて」
そう言ってメロディは三バカに視線を向けた。
「関係ありません」
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