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「殿下、姫様。全員捕らえました」
私とガルムお兄様、リヴィお兄様、アンネお義姉様とトワ様の前にオレストの騎士が五人の元貴族子息を縄にかけて転がした。
コブラ・カタブラ。ジョセフ・マダータ。ジム・マッケン。ジョン・マレフィセント。エイベル・アッカーマンだ。
みんなここに来るまでに色々あったのだろう。貴族の子息らしく綺麗に整えられた顔は原形を留めぬほどに腫れ、ジョセフに関しては手首から先がなかった。
「くそ!何で俺達がこんな目に」
地面に横たえられたままのジョセフがそう叫んだ。
「戦力を集めることを許したが、逃げることは赦してはいない」
ジョセフを見下ろしたガルムお兄様が冷ややかに言った。
「俺は逃げようとなどしていない」
「そうか?だが副騎士団長から通報があったぞ。お前が逃げようとしているから捕らえてくれと」
「何だと?」
驚愕し、次に怒りが湧いたのかジョセフは顔を憎しみで歪めた。
「騎士のくせにアイツは国を売ったんだ!売国奴だ!そんな奴の言葉を信じたのか?オレストとは愚か者の集まりだな」
「黙れ、痴れ者が!」
地面に横たわる五人の元貴族の隣に万が一の為に立っていたオレストの騎士が鞘でジョセフの背中を殴った。
「俺もな、その副騎士団長がお前の首と引き換えに助命を乞うたのならお前達と同じ扱いをしただろうな。だがな、あの男は国と運命を共にすると言って聞かぬのだ。惜しい人材だから部下に命じて必死に説得してオレストに連れて帰ろうと思っているのだが、説得を初めて五時間以上は経つが、いまだに色よい返事を貰えない。さて、どうしたものか」
「惜しい人材だと?あの男の剣の腕は俺よりも下だぞ!お前の目は節穴か」
「お前が節穴だ!」
そう言ってガルムお兄様はジョセフの顔を蹴っ飛ばした。衝撃で歯が一本飛んで行ったが、気にする者はいない。
「お前達は所詮、クレバーの学友だからという理由で今の地位に着いただけの無能共だ」
「なっ」
「我々をどこまでも愚弄しないでいただきたい」
絶句するジョセフに変わって今度は宰相のコブラが反論した。彼の顔が怒りに満ちている。だが、どんなに怒りを向けられても所詮は争い事から遠い、箱入りお坊ちゃま。ガルムお兄様にはそよ風程度のものだ。
「私たちの実力があってこそだ!実力がないものが上層部などにいけるはずがない」
「それが可能になっちまうほどこの国はとっくにイカれているということだな」
ジョセフとコブラは必死にガルムお兄様に食らいつこうとしてくるが残りの三人はここにくるまで余程衝撃を受けたのか、生気のない目をしている。最早、反抗する気力も残っていないようだ。
「コブラ、ジョセフ、ジム、ジョン、エイベル。お前達五人は既に貴族籍から除名されている」
「なっ!」
「そんなはずはない。何かの間違いだ」
そう、コブラとジョセフが訴えた後、今まで黙っていた三人が私とガルムお兄様を見た。
「・・・・・ゆ、ゆるしてくれ」
か細い声でジムが言う。
「王妃様、本当に申し訳ないことをしたと思う。これからは気を付けるから、だからゆるしてください」
「動くな」
私に縋ろうとしたエイベルをオレストの騎士が抑え込む。
「見苦しい」
そうアンネお義姉様は吐き捨てた。そんなアンネお義姉様の肩を抱きながらリヴィお兄様も「まだ自分の立場が分かっていないんじゃないか?」と嘲笑した。
「既に貴族籍から剥奪されたお前達が王族であるマリアに許しを請うなど、許されるべきことではない。言葉をかけることすら許されぬというのに。立場が何も分かっていない。ガルム、さっさと終わらせて帰ろう。これ以上は不快になるだけだ」
「ああ」
トワ様の提案を受け入れ、ガルムお兄様は何の感情もこもらない眼で五人を見下ろした。
「お前達の処分は既に決まっている。東の国にはまだ奴隷制度なるものが残っているそうだ。お前達にはこれからそこへ行き、一生を奴隷として過ごせ。我が妹が味わった苦痛の倍の物を貴様らに味会わせてやる」
「ふざけるな!人身売買など王族がしていいことだと思っているのか!」
「慈悲の心はないのか」
「そこまでの罪をした覚えはないぞ」
「こんな暴挙、陛下や父上が許すわけがない!直ぐに援軍を呼んでお前達を殺しにやってくるぞ。覚悟しろ!」
「そうだ!理由もなく戦争を、しかも友好国に仕掛けてくるなど。他国の王族だって正気を疑って、お前達との盟約を結ぼうというものなど居ないだろうな。何せ、こうも簡単に裏切るのだから」
ジョセフ、コブラ、ジム、ジョン、エイベルの順に彼らは言った。
その内容にその場にいた誰もが呆れた。この期に及んで彼らはまだ自分の立場を理解していないのだ。ある意味凄い頭だ。きっとどこを探しても彼らにしか持ちえない、特別な頭なのだろうと私は思った。
「覚悟するのはあなた達のほうよ。クレバー陛下はあなた達が自分を置いて逃げようとしたことを既にご存知よ。それに陛下もシャルロッテも既に牢獄に入っているわ。だって彼らもあなた達と同じで逃げようとしたのだから」
私の言葉に彼らは今度は自分達を置いて逃げようとした二人を責め始めた。自分達がそうしようとしていたことなど棚に上げて。
本当に羨ましいぐらい都合の良い頭だ。
「これ以上は時間の無駄だ。連れて行け」
彼らが逃げようとしなければガルムお兄様が与えた三日間はまだそうやってお花畑に居られたのかもしれない。でも彼らは戦いを放棄して逃げることを選んだ。だから、今日が帝国の最後となる。
ガルムお兄様に命じられた騎士がまだ憎悪の言葉を口にする彼らを牢獄へと連れて行った。
私とガルムお兄様、リヴィお兄様、アンネお義姉様とトワ様の前にオレストの騎士が五人の元貴族子息を縄にかけて転がした。
コブラ・カタブラ。ジョセフ・マダータ。ジム・マッケン。ジョン・マレフィセント。エイベル・アッカーマンだ。
みんなここに来るまでに色々あったのだろう。貴族の子息らしく綺麗に整えられた顔は原形を留めぬほどに腫れ、ジョセフに関しては手首から先がなかった。
「くそ!何で俺達がこんな目に」
地面に横たえられたままのジョセフがそう叫んだ。
「戦力を集めることを許したが、逃げることは赦してはいない」
ジョセフを見下ろしたガルムお兄様が冷ややかに言った。
「俺は逃げようとなどしていない」
「そうか?だが副騎士団長から通報があったぞ。お前が逃げようとしているから捕らえてくれと」
「何だと?」
驚愕し、次に怒りが湧いたのかジョセフは顔を憎しみで歪めた。
「騎士のくせにアイツは国を売ったんだ!売国奴だ!そんな奴の言葉を信じたのか?オレストとは愚か者の集まりだな」
「黙れ、痴れ者が!」
地面に横たわる五人の元貴族の隣に万が一の為に立っていたオレストの騎士が鞘でジョセフの背中を殴った。
「俺もな、その副騎士団長がお前の首と引き換えに助命を乞うたのならお前達と同じ扱いをしただろうな。だがな、あの男は国と運命を共にすると言って聞かぬのだ。惜しい人材だから部下に命じて必死に説得してオレストに連れて帰ろうと思っているのだが、説得を初めて五時間以上は経つが、いまだに色よい返事を貰えない。さて、どうしたものか」
「惜しい人材だと?あの男の剣の腕は俺よりも下だぞ!お前の目は節穴か」
「お前が節穴だ!」
そう言ってガルムお兄様はジョセフの顔を蹴っ飛ばした。衝撃で歯が一本飛んで行ったが、気にする者はいない。
「お前達は所詮、クレバーの学友だからという理由で今の地位に着いただけの無能共だ」
「なっ」
「我々をどこまでも愚弄しないでいただきたい」
絶句するジョセフに変わって今度は宰相のコブラが反論した。彼の顔が怒りに満ちている。だが、どんなに怒りを向けられても所詮は争い事から遠い、箱入りお坊ちゃま。ガルムお兄様にはそよ風程度のものだ。
「私たちの実力があってこそだ!実力がないものが上層部などにいけるはずがない」
「それが可能になっちまうほどこの国はとっくにイカれているということだな」
ジョセフとコブラは必死にガルムお兄様に食らいつこうとしてくるが残りの三人はここにくるまで余程衝撃を受けたのか、生気のない目をしている。最早、反抗する気力も残っていないようだ。
「コブラ、ジョセフ、ジム、ジョン、エイベル。お前達五人は既に貴族籍から除名されている」
「なっ!」
「そんなはずはない。何かの間違いだ」
そう、コブラとジョセフが訴えた後、今まで黙っていた三人が私とガルムお兄様を見た。
「・・・・・ゆ、ゆるしてくれ」
か細い声でジムが言う。
「王妃様、本当に申し訳ないことをしたと思う。これからは気を付けるから、だからゆるしてください」
「動くな」
私に縋ろうとしたエイベルをオレストの騎士が抑え込む。
「見苦しい」
そうアンネお義姉様は吐き捨てた。そんなアンネお義姉様の肩を抱きながらリヴィお兄様も「まだ自分の立場が分かっていないんじゃないか?」と嘲笑した。
「既に貴族籍から剥奪されたお前達が王族であるマリアに許しを請うなど、許されるべきことではない。言葉をかけることすら許されぬというのに。立場が何も分かっていない。ガルム、さっさと終わらせて帰ろう。これ以上は不快になるだけだ」
「ああ」
トワ様の提案を受け入れ、ガルムお兄様は何の感情もこもらない眼で五人を見下ろした。
「お前達の処分は既に決まっている。東の国にはまだ奴隷制度なるものが残っているそうだ。お前達にはこれからそこへ行き、一生を奴隷として過ごせ。我が妹が味わった苦痛の倍の物を貴様らに味会わせてやる」
「ふざけるな!人身売買など王族がしていいことだと思っているのか!」
「慈悲の心はないのか」
「そこまでの罪をした覚えはないぞ」
「こんな暴挙、陛下や父上が許すわけがない!直ぐに援軍を呼んでお前達を殺しにやってくるぞ。覚悟しろ!」
「そうだ!理由もなく戦争を、しかも友好国に仕掛けてくるなど。他国の王族だって正気を疑って、お前達との盟約を結ぼうというものなど居ないだろうな。何せ、こうも簡単に裏切るのだから」
ジョセフ、コブラ、ジム、ジョン、エイベルの順に彼らは言った。
その内容にその場にいた誰もが呆れた。この期に及んで彼らはまだ自分の立場を理解していないのだ。ある意味凄い頭だ。きっとどこを探しても彼らにしか持ちえない、特別な頭なのだろうと私は思った。
「覚悟するのはあなた達のほうよ。クレバー陛下はあなた達が自分を置いて逃げようとしたことを既にご存知よ。それに陛下もシャルロッテも既に牢獄に入っているわ。だって彼らもあなた達と同じで逃げようとしたのだから」
私の言葉に彼らは今度は自分達を置いて逃げようとした二人を責め始めた。自分達がそうしようとしていたことなど棚に上げて。
本当に羨ましいぐらい都合の良い頭だ。
「これ以上は時間の無駄だ。連れて行け」
彼らが逃げようとしなければガルムお兄様が与えた三日間はまだそうやってお花畑に居られたのかもしれない。でも彼らは戦いを放棄して逃げることを選んだ。だから、今日が帝国の最後となる。
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