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第1章
19.武器の鋭さ
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「さすが。あんな馬鹿女に取り入ってまで権力を欲する野心家なだけあるわな」
カーディルがもの言いたげな顔でこちらを見ていたのは気づいていた。その場で口を開かなかったのはアシュベルに聞かれたくないからだろう。
だからアシュベルの見送りを断り、馬車に向かう途中の曲がり角からカーディルが現れたことには驚かなかった。
カーディルは女嫌いだとアイルが言っていた。
アシュベルはまだメロディに直接的な被害を受けているわけではなかったので女性恐怖症にはなっていなかったがこっちは今の段階で女嫌いのようだ。
敵意を向けられることにも悪意ある言葉を投げかけられることにも驚かない。ある程度は予想していたことだ。不愉快ではあるけど。
「王女様の理不尽な命令にも黙って従う。媚売りは得意と見える」
アイルの命令で髪を茶髪に染めていることを言うのだろう。
どうして私がそんなことをしているのか皇族である彼には理解できないのだろう。だって彼は自国では最高権力を持っている一族だもの。
「アシュベルとモーガン侯爵家に借りを作って何を企んでいる?」
私に文句が言いたかったわけではなくちゃんと本題があったのね。
モーガン侯爵家はついで。彼が一番心配しているのはアシュベルか。私がアシュベルを良からぬことに利用しようとしているのではないかと心配している。
意外と優しいのね。
「公女と言えど王族に逆らうのは簡単ではありません。帝国の第一皇子である殿下には分からないでしょうが。王女は自分の我を通す人です。手段を選ばずに。そして陛下はそんな王女に甘い方です。くだらないことで王族の心証を悪くするよりも適当に従っていた方がこちらに利があります。けれど、王家がどのような気まぐれを起こすか分かりません」
私の言葉をカーディルは信じられないという顔で聞いている。
「お前は公爵家だ。幾ら王家と言えど気まぐれでどうこできるものではない」
「果たしてそうでしょうか」
そう思えるのはカーディルが常識的な人間であり、最高位の家に生まれた人間だからだ。
「私の父は野心家で権力が大好きな人です。王家に気に入られるためならどのような無理難題も聞くでしょう」
自分が犠牲にならない限りは。私一人の犠牲で王家に気に入られるのなら安いものだと考えるでしょう。
「公爵家をどうにかできる力が王家にあります」
貴族は反感を抱くかもしれない。けれど、それさえも黙らせる力がある。愚かな貴族が愚かな王家に力を貸して独裁政権を築く例がないわけでなはい。
この世界でも私がいた前世での歴史にも刻まれている。
「私は自分の命が大事です。保身が大事です。だからその為に動きます。皇族であるあなたに理解を求めるつもりはありません。ですが全ての悪意から私を守ってくれるわけでもないあなたに非難されたくはありません」
私はこの会話はこれで終わりだと言わんばかりに踵を返した。
「誰でも己が持っている武器の鋭さを知るべきです」
会話を強制終了させた私をカーディルは止めようとはしなかった。
カーディルがもの言いたげな顔でこちらを見ていたのは気づいていた。その場で口を開かなかったのはアシュベルに聞かれたくないからだろう。
だからアシュベルの見送りを断り、馬車に向かう途中の曲がり角からカーディルが現れたことには驚かなかった。
カーディルは女嫌いだとアイルが言っていた。
アシュベルはまだメロディに直接的な被害を受けているわけではなかったので女性恐怖症にはなっていなかったがこっちは今の段階で女嫌いのようだ。
敵意を向けられることにも悪意ある言葉を投げかけられることにも驚かない。ある程度は予想していたことだ。不愉快ではあるけど。
「王女様の理不尽な命令にも黙って従う。媚売りは得意と見える」
アイルの命令で髪を茶髪に染めていることを言うのだろう。
どうして私がそんなことをしているのか皇族である彼には理解できないのだろう。だって彼は自国では最高権力を持っている一族だもの。
「アシュベルとモーガン侯爵家に借りを作って何を企んでいる?」
私に文句が言いたかったわけではなくちゃんと本題があったのね。
モーガン侯爵家はついで。彼が一番心配しているのはアシュベルか。私がアシュベルを良からぬことに利用しようとしているのではないかと心配している。
意外と優しいのね。
「公女と言えど王族に逆らうのは簡単ではありません。帝国の第一皇子である殿下には分からないでしょうが。王女は自分の我を通す人です。手段を選ばずに。そして陛下はそんな王女に甘い方です。くだらないことで王族の心証を悪くするよりも適当に従っていた方がこちらに利があります。けれど、王家がどのような気まぐれを起こすか分かりません」
私の言葉をカーディルは信じられないという顔で聞いている。
「お前は公爵家だ。幾ら王家と言えど気まぐれでどうこできるものではない」
「果たしてそうでしょうか」
そう思えるのはカーディルが常識的な人間であり、最高位の家に生まれた人間だからだ。
「私の父は野心家で権力が大好きな人です。王家に気に入られるためならどのような無理難題も聞くでしょう」
自分が犠牲にならない限りは。私一人の犠牲で王家に気に入られるのなら安いものだと考えるでしょう。
「公爵家をどうにかできる力が王家にあります」
貴族は反感を抱くかもしれない。けれど、それさえも黙らせる力がある。愚かな貴族が愚かな王家に力を貸して独裁政権を築く例がないわけでなはい。
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「私は自分の命が大事です。保身が大事です。だからその為に動きます。皇族であるあなたに理解を求めるつもりはありません。ですが全ての悪意から私を守ってくれるわけでもないあなたに非難されたくはありません」
私はこの会話はこれで終わりだと言わんばかりに踵を返した。
「誰でも己が持っている武器の鋭さを知るべきです」
会話を強制終了させた私をカーディルは止めようとはしなかった。
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