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24.聖女アニス
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あの後、ディランたちは出て行き、私は見張りをつけられ、王宮の一室で軟禁状態となった。
部屋の中にはリュウとディランの息がかかった侍女が必ず二人以上はいる。
部屋の中で余計なことをしないように見張り、私のことを逐一報告しているのだろう。
部屋の前には騎士が二人ついている。
完全に詰んだ。
公爵家がどうなったかは知らない。これからどうなるかも。
別に彼らがどうなろうが私の知ったことではない。
それにきっとしらを切り通すだろう。私を犠牲にして。
「ああ、結局こうなるのか」
私は「はは」とから笑いをするが気分が晴れることはない。
死ぬは私一人。
アニスが死ぬまで地下に閉じ込められ、アニスが死んでから彼女の代役になって。そして最後は全部の罪を被って死ぬ。私の人生ってなんだったんだろう。
私の生まれて来た意味ってあったんだろうか。
意味は‥…あったか。
聖女アニスの代役を務めること。神様がそういうつもりで私に命を与えてくれたかは分からないけど、少なくとも公爵家にとってはそうだったのだろう。
もし処刑をされない未来があるとしたらそれは公爵家がしたことと同様、聖女アニスの死をなかったことにして私をその代役にあてがうか。
今までと変わらない生活が送れるだろう。もしそうなったら今度こそ逃亡しよう。今度は計画的に。
もう公爵家にもアニスにも振り回されるのは御免だ。
私は私の人生を生きてみせる。
◇◇◇
~公爵家~
「ちょっと、何よ!どういうこと」
騎士が無遠慮に邸の中に侵入してきた。
「貴様ら、ここは聖女を輩出した名門アドリス公爵家だぞ。誰の許可を得て入ってきている」
「国王陛下の許可に決まってるだろ。その頭は飾りか」
灰色の髪に血のような目をした獣のような騎士。アニスの専属護衛の一人ディランが私たちの前に出て言う。その隣にはもう一人の専属護衛リュウがいた。彼が私たちに見せるように出した紙には御璽が押されていた。
そしてその紙には「聖女詐称の罪により捕縛」と書かれている。
「捕縛‥…」
「あなた」
妻のドリスが顔を青ざめさせ「何とかしてください」と私に縋る。少しは頭を使って欲しい。私にばかり頼るのではなく。彼女こそ「その頭はかざりか」と言ってやりたい。
「聖女の詐称とはどういうことだ?」
あのガラクタ。失敗しやがったな。どこまでも親不孝な奴だ。本当に何の役にも立たない。
「あれは聖女アニスではない。お前たちのもう一人の娘だ。その証拠に彼女の魔力は聖女アニスに遠く及ばない」
「そんなはずはない!」
とにかくしらを切り通そう。大丈夫、替え玉を強要したなんて証拠はないのだから。
知らない間に入れ替わっていたことにすればいい。そうすれば罪に問われるのはあのガラクタのみ。我ながらいい案だ。
「もしあれがアニスでないというのなら誰だというのだ!私の娘はアニス以外いないぞ」
「いいや、あなたにはもう一人娘がいた。アニスとそっくりで、けれど魔力が少ないために地下に追いやられた双子の妹が。名前さえつけられず、一六年もの間、暗い地下に閉じ込められていた哀れな娘が」
「っ」
ここまでばらしていたのか。もっと誤魔化しようがあっただろう。どうして我が家は私以外頭が回らない奴ばかりなんだ。
「あれは聖女として役立たずでしたから。そうか!私たちの知らない間にあいつがアニスに成り代わっていたのか。私たちも騙されたんだ!つまりは被害者だよな」
「そ、そうよ。全てはあの子がやったこと。私たちには何の関係もないわ」
「他人の目から見ても今のアニスと以前のアニスは違う。話し方も性格も。なのに気づけなかったのか?お前たちの目は節穴か?」
「なっ」
若者にそこまで言われる筋合いはない。ここは歴史も深い名門の貴族。それを馬鹿の一つ覚えみたいにひけらかされるも困るんだよな」
「リュウ、埒が明かねぇ。日がくれちまうよ。取り敢えず連行しよう。ああ、おっさん変な気は犯さない方がいい。今はまだ確定ではないので言えないが、暴れて手が付けられないのならその場で処刑もやむなしと陛下からのお達しだ」
にやりと笑ってディランはリュウが持っている訴状、おそらく先ほど言った部分が隠れているのだろう。そこにディランが示した。
部屋の中にはリュウとディランの息がかかった侍女が必ず二人以上はいる。
部屋の中で余計なことをしないように見張り、私のことを逐一報告しているのだろう。
部屋の前には騎士が二人ついている。
完全に詰んだ。
公爵家がどうなったかは知らない。これからどうなるかも。
別に彼らがどうなろうが私の知ったことではない。
それにきっとしらを切り通すだろう。私を犠牲にして。
「ああ、結局こうなるのか」
私は「はは」とから笑いをするが気分が晴れることはない。
死ぬは私一人。
アニスが死ぬまで地下に閉じ込められ、アニスが死んでから彼女の代役になって。そして最後は全部の罪を被って死ぬ。私の人生ってなんだったんだろう。
私の生まれて来た意味ってあったんだろうか。
意味は‥…あったか。
聖女アニスの代役を務めること。神様がそういうつもりで私に命を与えてくれたかは分からないけど、少なくとも公爵家にとってはそうだったのだろう。
もし処刑をされない未来があるとしたらそれは公爵家がしたことと同様、聖女アニスの死をなかったことにして私をその代役にあてがうか。
今までと変わらない生活が送れるだろう。もしそうなったら今度こそ逃亡しよう。今度は計画的に。
もう公爵家にもアニスにも振り回されるのは御免だ。
私は私の人生を生きてみせる。
◇◇◇
~公爵家~
「ちょっと、何よ!どういうこと」
騎士が無遠慮に邸の中に侵入してきた。
「貴様ら、ここは聖女を輩出した名門アドリス公爵家だぞ。誰の許可を得て入ってきている」
「国王陛下の許可に決まってるだろ。その頭は飾りか」
灰色の髪に血のような目をした獣のような騎士。アニスの専属護衛の一人ディランが私たちの前に出て言う。その隣にはもう一人の専属護衛リュウがいた。彼が私たちに見せるように出した紙には御璽が押されていた。
そしてその紙には「聖女詐称の罪により捕縛」と書かれている。
「捕縛‥…」
「あなた」
妻のドリスが顔を青ざめさせ「何とかしてください」と私に縋る。少しは頭を使って欲しい。私にばかり頼るのではなく。彼女こそ「その頭はかざりか」と言ってやりたい。
「聖女の詐称とはどういうことだ?」
あのガラクタ。失敗しやがったな。どこまでも親不孝な奴だ。本当に何の役にも立たない。
「あれは聖女アニスではない。お前たちのもう一人の娘だ。その証拠に彼女の魔力は聖女アニスに遠く及ばない」
「そんなはずはない!」
とにかくしらを切り通そう。大丈夫、替え玉を強要したなんて証拠はないのだから。
知らない間に入れ替わっていたことにすればいい。そうすれば罪に問われるのはあのガラクタのみ。我ながらいい案だ。
「もしあれがアニスでないというのなら誰だというのだ!私の娘はアニス以外いないぞ」
「いいや、あなたにはもう一人娘がいた。アニスとそっくりで、けれど魔力が少ないために地下に追いやられた双子の妹が。名前さえつけられず、一六年もの間、暗い地下に閉じ込められていた哀れな娘が」
「っ」
ここまでばらしていたのか。もっと誤魔化しようがあっただろう。どうして我が家は私以外頭が回らない奴ばかりなんだ。
「あれは聖女として役立たずでしたから。そうか!私たちの知らない間にあいつがアニスに成り代わっていたのか。私たちも騙されたんだ!つまりは被害者だよな」
「そ、そうよ。全てはあの子がやったこと。私たちには何の関係もないわ」
「他人の目から見ても今のアニスと以前のアニスは違う。話し方も性格も。なのに気づけなかったのか?お前たちの目は節穴か?」
「なっ」
若者にそこまで言われる筋合いはない。ここは歴史も深い名門の貴族。それを馬鹿の一つ覚えみたいにひけらかされるも困るんだよな」
「リュウ、埒が明かねぇ。日がくれちまうよ。取り敢えず連行しよう。ああ、おっさん変な気は犯さない方がいい。今はまだ確定ではないので言えないが、暴れて手が付けられないのならその場で処刑もやむなしと陛下からのお達しだ」
にやりと笑ってディランはリュウが持っている訴状、おそらく先ほど言った部分が隠れているのだろう。そこにディランが示した。
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