41 / 48
4章 論理と感情を合わせる方法 編
ハーレムキングは信頼している
しおりを挟む
静寂を取り戻した路地を抜け、王たるオレは再び夜の街路へと歩みを進めた。
そう遠くない建物の影、その角を曲がった先——
「王様っ!」
サラの声が響いた。
すぐさま駆け寄ってくる足音。
少し息が上がっている。やはり心配していたようだ。
その隣にはアレッタもいて、険しい表情のまま視線を巡らせていた。
「大丈夫でしたか……!? って、無傷!? 服も髪も乱れてないし、まったく、やっぱり一人で突っ走るんですから!」
「ふはははっ! 心配してくれたか! だが安心せよ! 王は戦いにおいて、常に勝利する生き物なのだ! 苦戦など、あり得ん! 髪が乱れることも衣服が汚れることもない!」
「……この調子だと、ほんとに大丈夫そうね。良かった……」
サラは胸に手を当てて、ほっと息をついた。
その隣でアレッタが腕を組み、じとっとした目でオレを睨んでくる。
「で……何があったのよ? あんたが行ってからも何回も爆発音が聞こえたし、黒煙が上がり続けけたわよ」
「教えてやりたいのは山々だが、オレには何のことだかさっぱりわからなかった! だから、詳細は明日にでも公開されるだろう! オレが唯一知るのは、この“モノ”が“禁忌の何か”である、ということだけだ」
オレは懐から、あの小さな石の触媒を取り出した。
異様な怪しさが残る、冷たい石。
「これ、魔力の波長が滅茶苦茶……! 正常な術式には使えませんよ」
サラが目を凝らしてそれを見つめる。やはり彼女は気づく力を持っている。
「あたしには見てもまったく意味がわからないわ。でも……なんか、嫌な感じ」
アレッタも眉をひそめながら呟く。
「ふむ、やはりか。ならば——これは“信頼する者”に託すとしよう」
オレは石をくるりと指先で回すと、ひときわ堂々と、サラへ差し出した。
「サラ、君に託す! これはどうやら代物のようだ。神聖魔法に通じる君ならば、真の意味を探れるかもしれん!」
「え、ええ!? 私が!? ……まぁ、はい、頑張ってみますけど……!」
「ふふん、さすがは頼もしき初期ヒロイン枠! 王の選定眼に狂いなし!」
「もう、そういう言い方やめてくださいってば……」
サラは困ったように頬を掻きながらも、大切そうにその石を懐にしまった。
その様子をじっと見ていたアレッタが、ふいにため息混じりに言った。
「……あの石、ヤバそうじゃない? ちゃんと詳しく訳を聞かせなさいよね」
「ふははははっ! オレは“王として当然のこと”をしただけだ!」
「あんたって人は……」
アレッタは呆れて頭を抱えていた。その姿すら様になる!
月光の下、三人の影が並んでいた。
かすかに吹いた風が、オレのマントを揺らす。
この街でまた、何かが始まろうとしている。
だが——この夜は、確かに守られた。
王として、オレとして、全てを受け止めて進む!
そう遠くない建物の影、その角を曲がった先——
「王様っ!」
サラの声が響いた。
すぐさま駆け寄ってくる足音。
少し息が上がっている。やはり心配していたようだ。
その隣にはアレッタもいて、険しい表情のまま視線を巡らせていた。
「大丈夫でしたか……!? って、無傷!? 服も髪も乱れてないし、まったく、やっぱり一人で突っ走るんですから!」
「ふはははっ! 心配してくれたか! だが安心せよ! 王は戦いにおいて、常に勝利する生き物なのだ! 苦戦など、あり得ん! 髪が乱れることも衣服が汚れることもない!」
「……この調子だと、ほんとに大丈夫そうね。良かった……」
サラは胸に手を当てて、ほっと息をついた。
その隣でアレッタが腕を組み、じとっとした目でオレを睨んでくる。
「で……何があったのよ? あんたが行ってからも何回も爆発音が聞こえたし、黒煙が上がり続けけたわよ」
「教えてやりたいのは山々だが、オレには何のことだかさっぱりわからなかった! だから、詳細は明日にでも公開されるだろう! オレが唯一知るのは、この“モノ”が“禁忌の何か”である、ということだけだ」
オレは懐から、あの小さな石の触媒を取り出した。
異様な怪しさが残る、冷たい石。
「これ、魔力の波長が滅茶苦茶……! 正常な術式には使えませんよ」
サラが目を凝らしてそれを見つめる。やはり彼女は気づく力を持っている。
「あたしには見てもまったく意味がわからないわ。でも……なんか、嫌な感じ」
アレッタも眉をひそめながら呟く。
「ふむ、やはりか。ならば——これは“信頼する者”に託すとしよう」
オレは石をくるりと指先で回すと、ひときわ堂々と、サラへ差し出した。
「サラ、君に託す! これはどうやら代物のようだ。神聖魔法に通じる君ならば、真の意味を探れるかもしれん!」
「え、ええ!? 私が!? ……まぁ、はい、頑張ってみますけど……!」
「ふふん、さすがは頼もしき初期ヒロイン枠! 王の選定眼に狂いなし!」
「もう、そういう言い方やめてくださいってば……」
サラは困ったように頬を掻きながらも、大切そうにその石を懐にしまった。
その様子をじっと見ていたアレッタが、ふいにため息混じりに言った。
「……あの石、ヤバそうじゃない? ちゃんと詳しく訳を聞かせなさいよね」
「ふははははっ! オレは“王として当然のこと”をしただけだ!」
「あんたって人は……」
アレッタは呆れて頭を抱えていた。その姿すら様になる!
月光の下、三人の影が並んでいた。
かすかに吹いた風が、オレのマントを揺らす。
この街でまた、何かが始まろうとしている。
だが——この夜は、確かに守られた。
王として、オレとして、全てを受け止めて進む!
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる