Rich&Lich ~不死の王になれなかった僕は『英霊使役』と『金運』でスローライフを満喫する~

八神 凪

文字の大きさ
176 / 245

第百七十五話 アンデッド達とご挨拶というもの

しおりを挟む
「今日も張り切って家を建てるよー」
「わんわん!」
「クルルル!」
「こけー!」

 さて、いよいよ住人が増えた翌日。僕は日課をこなすため家の前に動物達とやる気を溜めていた。
 朝食は昨日買ったパン屋さんのパンで、これからあれがここでも買えるようになるのかと嬉しくなるくらい美味しかった。

「今日はジェニファーも僕達と行くのかい?」
「コケ」

 首を振る。
 どうやら挨拶だけしてまたどこかへ行ってしまった。まあ村内なら好きにしてもらって構わないけど。

【また牧場の方じゃないか? 最近あそこで遊んでいるみたいだ】
「そうだね。他にニワトリも居るし、今まで僕達しか遊び相手が居なかったもんね」

 元々、フォルドの親父さんところで卵を産むために飼われていたのでアニーが連れて来なければひよこを産んでそのまま老衰という流れだったに違いない。
 幸い、タイガやシルヴァといった肉食動物と仲が良いので天敵にも狙われずすんでいる。

【ま、飽きたら戻ってくるだろ。やっぱステラやアニーが居ないからかな。お前は仕事ばかりだし、邪魔をしたくないのかもしれないぜ】
「あー」

 ゼオラの言葉にそうかもと頷く。ジェニファーは賢いのでそういう面もありそうだ。
 それはともかく騎士さんの家を造ろうと背伸びをした後フォルテの背に乗る。ふかふかだ。

「クルルル♪」
「ブラッシング効果は高いなあ」
【石化の能力なのにな】
「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」
「おや?」

 そんな平和な朝にひときわ大きな悲鳴が聞こえて来た。あの声はスピカさんだ。
 何事かとフォルテを走らせて現場へと急行。

「スピカさんどうしました!」
「あ、ああ……ウルカ様! あ、あれ……が、骸骨……!」
「ん?」

 現場は池のほとりだった。
 水を汲みに来たスピカさんがとある場所を指さして震えていた。

 なんとそこには――

「オオグレさん!?」
【……ん? この声はウルカ殿……。ふあああ】
「いやあああああ動いて喋ってるぅぅ!!?」
「クルルル!?」

 スピカさんがその場でへたり込んでフォルテの首にしがみ付いた。そういえば工房なんかを作るのに夢中で忘れていたよ。

「ごめんなさいスピカさん。このスケルトンは僕の眷属でオオグレさんというんだ」
【おや、これは美しい女性。拙者、オオグレと申す。このような姿で申し訳ないが、アンデッドなので許して欲しい。おっと】
「手がとれたぁぁぁ!?」
「クルルルル……!?」
「わ、わふん……」

 左手に酒瓶を持ち、右手で挨拶をしようとしたオオグレさんの手首がとれてスピカさんはパニックだ。
 フォルテの首が心配になってきたのでオオグレさんに離れるように指示する。

「ほら、バスレさんの時もそうだけどスケルトンは一般人にはきついんだよ。自己紹介だけにしておこう?」
【むう、仕方ないでござる】
「うおおお! スピカどうしたぁぁぁぁ!」
「おや」

 そこへ工房から飛び出してきたグラフさんが長いハンマーを持って駆けつけて来た。

【おお、こちらも新顔でござるな】
「動くスケルトン……!!!!?」

 気さくな挨拶をするオオグレさんにずっこけるグラフさん。まあ慣れないと仕方ないよね。

「た、倒さねえと……!」
【おう!? 鈍器はダメでござる!?】
「グラフさん、グラフさん。かくかくしかじかで」
「眷属……」

 とりあえず振り上げたハンマーを下ろしてもらい、手首をくっつけているオオグレさんを紹介した。

「なるほどなあ。ウルカ様はヴァンパイアハーフなのか。それでアンデッドを使役できるんだな」
「そうそう。話が早くて助かるよ」
【おーい、ウルカ。どうした? 家は建てんのか?】
「「うわあああああああ!? ど、ドラゴン!?」」
「クルルル!?」
「うおふ!?」

 今度はボルカノが現れ、グラフさんがシルヴァの首に抱き着いた。ここで止まっていたので呼びに来てくれたようだ。

「ごめんごめん。ボルカノにも新しい住人を紹介しておくね!」
【ふむ、そういえば知らない顔が数人いたな】
「あらまあでかいのがいるねえ」
「こりゃ凄い。ドラゴンか」

 そこへパン屋の夫婦がやってきて説明をする。歳をとっているからか、オオグレさんにあまり動じなかった。

「よろしく頼むわい。騎士にドラゴンにスケルトンとは、若いころならワクワクする村じゃな」
「あんた才能がなくて冒険者を諦めたクチだもんね」
「へえ、そうなんだ?」
「うむ。若いころはそんなもんだ! グラフだってそうだからここへ来たんだろう」
「ま、まあ。親父がすげえのは知っているけど、オレはオレだけでなにかできないかってよ」
【わかるでござる。拙者も剣の道を究めるため修行の旅に出たでござるからな】
「それで死んでたら世話ねえよ!?」
【はっはっは! それでも満足できる人生だったでござるよ。今は骨生に変わったし、楽しいでござる】
【我も最後の戦いすら楽しめていたな。リンダはここに来ないのだろうか】

 と、なんだか集まって、あの頃はとかこれからは、みたいなそういう話になった。
 そこでスピカさんが立ち上がり、目を丸くしてボルカノを見上げた。

「な、なんだかすごい村にきちゃったかも……」
「多分すぐに慣れるよ! ほら、スピカさんもフォルテの背中を撫でて落ち着いてさ」
「あ、モフモフだ」
「クルル♪」
「ふふ、可愛いかも。ま、なんとかやっていけそうかも? スケルトンには驚いたけど」
「うん! なにかあったら言ってね。僕が領主だし」
「ありがとうウルカ様」

 僕は笑顔のスピカさんと握手をする。

【拙者はオオグレ。よろしく頼……あ、また落ちたでござる。いかんいかん】
「手首がとれたぁぁぁぁぁ!?」

 ……まあ、賑やかになるのはいいことだよね。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...