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第二百十六話 骨VS鎧というもの
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ポっと現れたのは宙に浮いた鎧だった。
正確には兜に鎧、小手に具足もあり、一応『立っている』ように見える。
右手と思わしき部分には剣も浮いており、生前は冒険者かなにかだったことを伺わせる。
「リビングアーマー……」
【だな。母上かウルカに引き寄せられたか?】
母さんとゼオラが僕達を庇うため鎧との間に割り込む。母さんが居るので特に怖いということはないけど、どうしてこんなところに……?
【……】
「歩いてきている」
「冷静に言っている場合かステラ!? ……や、やるのか?」
「向こうが攻撃してくるなら母さんがなんとかしてくれると思うけど、どう?」
ゆっくりと歩を進めるリビングアーマーを見てフォルドが冷や汗をかいていた。
僕は母さんに状況を尋ねる。
「特に問題ないけど、リビングアーマーって倒すのが難しいのよね。核とかそういうのじゃなくて『未練がなくなる』まで彷徨うから」
【倒すって表現は違うんだよなあ。ゴーストだから防具を叩いても意味が無いし、神聖系の魔法とか必要だよな】
「そうねえ。リンダが居ればすぐにカタがつくんだけど。さて、どうしようかしら?」
「なら逃げる?」
母さんの言葉に提案を口にすると、ゼオラが代わりに返答をしてくれた。
【こっちを認識したからついてくる。領地に来られてもなあ】
「なるほど……剣士みたいだから、オオグレさんが居ると倒してくれそうなんだけど……」
【呼んだでござるか?】
「でたぁぁぁぁぁ!?」
【おう!? 驚き過ぎでござるよ。やや、あれは宙に浮く鎧……! 面妖な……】
どこからともなく現れたオオグレさん。動いている骨のくせにリビングアーマーにごくりとしていた。
「ござるはついてきてたのー?」
【みなでどこかへ行くのが見えたので追って来たでござるよ。それでヤツは?】
「なんか急に現れたんだ。こっちに向かってくるし、どうしようかなと」
【なるほど】
「師匠は倒せないのか?」
ゆらりと一歩ずつ草を踏みしめるリビングアーマーを見てオオグレさんは顎に指を当てて小さく頷いた。フォルドが倒せないか尋ねていた。
【足を止めることはできるでござるが、倒すのは難しいでござるな】
「やっぱそうなのか……」
母さんと同じ見解を口にしてフォルドが落胆する。オオグレさんの強さはよく知っているのでなんとかしてくれると思ったのだろう。
いつもはひょうきんなオオグレさんだけど、こと戦闘についていは駄目な時はハッキリ駄目だと言うのだ。
【とはいえ、ウルカ殿達に危害を加えられるのを黙ってみるわけにもいかぬ。拙者が食い止めるので皆はお下がりくだされ】
「そうね……私が連れて行くから足止めをお願い。安全なところへ移動させたら戻ってくるから」
【なあに、動けなくなるまで叩くだけでござるよ】
【魔力のぶつけ合いならいけるか……?】
ゼオラがそう言ったのが聞こえたので、僕はオオグレさんの横に立つ。
【む?】
「……魔法、もそうだけど僕があの鎧を触ったらどうなるかも試してみたいかも」
【危ないんじゃないか……?】
「だからオオグレさんが止めている間に触ってみるよ」
「気を付けて」
「うん」
「私がさっと抱きかかえて近づこうかしら?」
ひとまずオオグレさんとボルカノをアンデッドにした僕の力を使えないか試してみることにする。成仏させるのが一番いいと思うんだけど、やりかたが分からない以上、本人に聞くのが一番いい。
なので正気(?)に戻せるならこれもアリかもしれないとの判断だ。
ステラが心配してくれていたので片手をあげて応えた瞬間、リビングアーマーが動いた。
【む……! チィエストォ!】
「リビングアーマーなのに速いわね。もしかすると結構名の売れた戦士だったのかもそれないわ」
「母さんって戦士って言うよね」
「私の時代は騎士か戦士だったもの。冒険者なんて職業はここ百年くらいよ?」
そうらしい。
そんな話をしながら隙を伺っていると――
【……!】
【ぬん……!】
一瞬で五回もの斬撃が繰り出されていた。
オオグレさんの強さはかなりの腕前で間違いないのを知っている。けどあのリビングアーマーはそれと同じレベルの腕をもっていると思っていい。
【ほう、拙者の剣についてくるとはやりおるでござる! ハァッ!】
「お、師匠の技‟ムラハチブ”だ!」
「わふわふ」
フォルドとシルヴァが興奮気味に声をあげる。あの技は急所を狙う八連撃で、全て食らってしまうとその場から動けなくなるほどのダメージを受けるのだ。
リビングアーマーだからダメージはない。けど、怯ませることはできた。
【……!?】
【終わりではないでござるぞ!】
さらに踏み込んで
「よし、今ね……!」
「お願い母さん!」
「いけー!」
オオグレさんの猛攻でそちらにしか意識を使えない状況になった瞬間、母さんが僕を抱えた。アニーが声援を送ってくれた瞬間、景色がブレた。
そして目の前にはリビングアーマーの背中が見えている。
「うへ、速いや!? ……よし!」
【……!】
【向かせぬでござるぞ】
僕達が背後に回ったことに気づいたリビングアーマー。だけどオオグレさんの一撃で鍔迫り合いをせざるを得ない状況に持っていかれた。
そこで鎧にタッチすると、雷に打たれたようにリビングアーマーがびくんと震えた。
「どうだろう……?」
だらりと腕が下がった……下がったって言えるのかな? そんなリビングアーマーを見守ることに。
正確には兜に鎧、小手に具足もあり、一応『立っている』ように見える。
右手と思わしき部分には剣も浮いており、生前は冒険者かなにかだったことを伺わせる。
「リビングアーマー……」
【だな。母上かウルカに引き寄せられたか?】
母さんとゼオラが僕達を庇うため鎧との間に割り込む。母さんが居るので特に怖いということはないけど、どうしてこんなところに……?
【……】
「歩いてきている」
「冷静に言っている場合かステラ!? ……や、やるのか?」
「向こうが攻撃してくるなら母さんがなんとかしてくれると思うけど、どう?」
ゆっくりと歩を進めるリビングアーマーを見てフォルドが冷や汗をかいていた。
僕は母さんに状況を尋ねる。
「特に問題ないけど、リビングアーマーって倒すのが難しいのよね。核とかそういうのじゃなくて『未練がなくなる』まで彷徨うから」
【倒すって表現は違うんだよなあ。ゴーストだから防具を叩いても意味が無いし、神聖系の魔法とか必要だよな】
「そうねえ。リンダが居ればすぐにカタがつくんだけど。さて、どうしようかしら?」
「なら逃げる?」
母さんの言葉に提案を口にすると、ゼオラが代わりに返答をしてくれた。
【こっちを認識したからついてくる。領地に来られてもなあ】
「なるほど……剣士みたいだから、オオグレさんが居ると倒してくれそうなんだけど……」
【呼んだでござるか?】
「でたぁぁぁぁぁ!?」
【おう!? 驚き過ぎでござるよ。やや、あれは宙に浮く鎧……! 面妖な……】
どこからともなく現れたオオグレさん。動いている骨のくせにリビングアーマーにごくりとしていた。
「ござるはついてきてたのー?」
【みなでどこかへ行くのが見えたので追って来たでござるよ。それでヤツは?】
「なんか急に現れたんだ。こっちに向かってくるし、どうしようかなと」
【なるほど】
「師匠は倒せないのか?」
ゆらりと一歩ずつ草を踏みしめるリビングアーマーを見てオオグレさんは顎に指を当てて小さく頷いた。フォルドが倒せないか尋ねていた。
【足を止めることはできるでござるが、倒すのは難しいでござるな】
「やっぱそうなのか……」
母さんと同じ見解を口にしてフォルドが落胆する。オオグレさんの強さはよく知っているのでなんとかしてくれると思ったのだろう。
いつもはひょうきんなオオグレさんだけど、こと戦闘についていは駄目な時はハッキリ駄目だと言うのだ。
【とはいえ、ウルカ殿達に危害を加えられるのを黙ってみるわけにもいかぬ。拙者が食い止めるので皆はお下がりくだされ】
「そうね……私が連れて行くから足止めをお願い。安全なところへ移動させたら戻ってくるから」
【なあに、動けなくなるまで叩くだけでござるよ】
【魔力のぶつけ合いならいけるか……?】
ゼオラがそう言ったのが聞こえたので、僕はオオグレさんの横に立つ。
【む?】
「……魔法、もそうだけど僕があの鎧を触ったらどうなるかも試してみたいかも」
【危ないんじゃないか……?】
「だからオオグレさんが止めている間に触ってみるよ」
「気を付けて」
「うん」
「私がさっと抱きかかえて近づこうかしら?」
ひとまずオオグレさんとボルカノをアンデッドにした僕の力を使えないか試してみることにする。成仏させるのが一番いいと思うんだけど、やりかたが分からない以上、本人に聞くのが一番いい。
なので正気(?)に戻せるならこれもアリかもしれないとの判断だ。
ステラが心配してくれていたので片手をあげて応えた瞬間、リビングアーマーが動いた。
【む……! チィエストォ!】
「リビングアーマーなのに速いわね。もしかすると結構名の売れた戦士だったのかもそれないわ」
「母さんって戦士って言うよね」
「私の時代は騎士か戦士だったもの。冒険者なんて職業はここ百年くらいよ?」
そうらしい。
そんな話をしながら隙を伺っていると――
【……!】
【ぬん……!】
一瞬で五回もの斬撃が繰り出されていた。
オオグレさんの強さはかなりの腕前で間違いないのを知っている。けどあのリビングアーマーはそれと同じレベルの腕をもっていると思っていい。
【ほう、拙者の剣についてくるとはやりおるでござる! ハァッ!】
「お、師匠の技‟ムラハチブ”だ!」
「わふわふ」
フォルドとシルヴァが興奮気味に声をあげる。あの技は急所を狙う八連撃で、全て食らってしまうとその場から動けなくなるほどのダメージを受けるのだ。
リビングアーマーだからダメージはない。けど、怯ませることはできた。
【……!?】
【終わりではないでござるぞ!】
さらに踏み込んで
「よし、今ね……!」
「お願い母さん!」
「いけー!」
オオグレさんの猛攻でそちらにしか意識を使えない状況になった瞬間、母さんが僕を抱えた。アニーが声援を送ってくれた瞬間、景色がブレた。
そして目の前にはリビングアーマーの背中が見えている。
「うへ、速いや!? ……よし!」
【……!】
【向かせぬでござるぞ】
僕達が背後に回ったことに気づいたリビングアーマー。だけどオオグレさんの一撃で鍔迫り合いをせざるを得ない状況に持っていかれた。
そこで鎧にタッチすると、雷に打たれたようにリビングアーマーがびくんと震えた。
「どうだろう……?」
だらりと腕が下がった……下がったって言えるのかな? そんなリビングアーマーを見守ることに。
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