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第二章:異世界を駆ける
その26 生活基盤を変えていこう!
しおりを挟むサーディス領から約450kmの場所に位置する王都。
100キロのスピードはソリッド様と後ろの騎士が悲鳴を上げたので、70キロ程度の速度で真っすぐ突き進んだ結果、6時間ちょっとで到着した。
馬車って早くても時速10キロくらいのはずだから、1日以上かかる道を6時間で移動したのである。
「も、もう到着した、のか?」
「あれが王都ですね、立派な城壁じゃないですか」
「うむ、ありがとう。ゴブリンやら魔物が多いとやはり防衛が必要だ。そこに金は糸目をつけん」
「さすがでございます、陛下」
面白い人だがしっかり国のことを考えているようだ。ちなみにこの国に村は存在しないらしく、必ず町と言えるレベルまで発展させてから防衛できるようにするのだとか。
人間関係が中々大変そうではあるが、そういう場合は移住してもらえばいいとのこと。まあ、そこじゃなきゃ絶対ダメってことはあまりないだろうしな。
「うーむ、もう一往復して残りの騎士と馬車を回収しても本来帰る時間より早いんじゃないか?」
「はは、恐らくそうですね。街道の道が広いし、速度を上げてもそれほど問題になりませんから。向こうの世界だとこうはいきません」
「なるほどなあ。まあ、とりあえず後から帰ってくる者達はゆっくり戻ってきてもらうとして、私たちは城へ行くとしようか」
「分かりました」
街の入り口となる門までトラックを近づけていくと当然だが槍を持った衛兵がバタバタと迫ってくる。
だが、シートベルトを外して窓から顔を出したソリッド様が手を振って笑いかけた。
「おおーい、私だ! 門を開けてくれ、城までこれを移動させる」
「へ、陛下!? エレノーラ様のところへ行ったのでは?」
「おお、結婚式は終わった。妹も元気そうだった」
「それはなにより……どうぞ!」
衛兵が道を開けてくれ、ゆっくりとアクセルを踏む。
両脇で敬礼している衛兵の顔が驚きに変わるのが見えたが、恐らくコンテナの騎士達に驚いているようで、背後から声が聞こえてくる。
「これすげぇぞ! 6時間くらいで帰って来た!」
「うぇぇぇい!」
「楽ちんすぎて怖い。正直欲しい」
「そこ乗れんのか!? いいなあ、楽しそうだ」
うん、遊具ではないぞ。
そのまま町へ入ると、他の町と同様に注目を集める。ソリッド様が窓から顔を出して手を振るのでさらに注目を浴びるが幸い道を塞ぐようなことは無かったので大通りを走っていくと目の前に大きな城が見えた。
「おお……城だ……。でけぇし結構向こうにあるな」
「なんだかんだで広いからな。運送業をするなら家とトラックを止めるスペース、それと店を用意せねばならんな。城に庭に作るか」
「やめてください。安全面もやばいし、恐れ多くて誰も依頼に来ないかと……」
「むう」
不満気にしないで欲しい。
「普通に町中でいいですよ。トラックの取り回しができると一番いいですかね。ロティリア領でもそうですけど、道が狭いとやっぱりトラックは活かせないですから」
「いつも他の町についたら入り口に置いて宅配していますもんね」
サリアの言葉に頷くとソリッドさんは顎に手を当てて町をじっと見つめていた。
なにか思うところがあるのだろうか?
そんな感じでしばし無言のまま進むと、やがて城へ。
全員が降りたのを確認したところで、俺とサリアは再びトラックへ乗り込もうとしたところで、
「む、寄っていかんか? まだ時間はあるだろう」
「あー、トライドさん達も送って行かないといけませんしね。今から帰ったら夜ですけど、翌日送らないといけませんし」
サーディス領からロティリア領は半日かかるし、早い方がいいだろう。
ソリッド様は残念そうに口を尖らせるが、すぐに笑顔になり握手を求めてきた。
「では、話し合いは次だな。いつ来ても過ごせる準備はしておくから、尋ねて来てくれ。城の者には伝えておく」
「ありがとうございます。必ず声をかけさせていただきます」
「ヒサトラさん、楽しかったよ! 魔物がびびって近づいてこないのは面白かった」
「つーか速すぎるな! 陛下の移動は全部これにしてくれ。そして載せてくれ」
騎士達も笑いかけてくれながらそんなことを言う。
受け入れてくれるのはありがたいことだと俺はトラックを再び町の外へと走らせ、トライドさん達の下へと戻るのだった。
「いい人達ですよね」
「だな。王都に移り住んでも、楽しくやれるといいな」
◆ ◇ ◆
「……行ってしまいましたね陛下」
「むう、もう少しゆっくりしていけばいいのだがな。近くでじっくり見たかった」
「後ろの荷台部分は快適でしたよ。少し揺れますけど、結婚式の時のように椅子を固定しておけば景色も眺めつつ旅ができるかと」
「まあ、荷物運びが主だからそこはヒサトラ君に任せよう。しかしどうやっても金が稼げる金の卵だな……」
騎士が冷静に判断してソリッドへトラックの使い道について進言すると、彼は肩を竦めながら口元に笑みを浮かべた。
「彼のためにも治療薬を探しましょう陛下。恩を売っておいて損はない相手かと」
「当然だ! それに、彼自身も面白そうな男だしな。よし、トラックを置ける土地と店を用意するぞ、広ければ広い方がいい。大通り寄り……いや、町の入り口がいいのか……?」
「仕事が多そうだし、やはり入り口付近でしょう。一つ専用の土地があっても――」
城へ入りながら王と騎士達はああでもないと意見を出し合う。
これから忙しくなるぞ、とソリッドは肩を回しながらほくそ笑むのだった。
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