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第三章:最強種と
その51 突然の雨の出来事
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「静かな場所だな、こういうところでキャンプをしてみてえぜ」
「お庭もそんな感じですけどね。でもベヒーモスさんが居るから安心してできるかも」
<わぉん>
麓の町から山を登っていると、眼下に見える地上が段々と遠くなっていく。その代わりに静かな森の中へと入っていき、キャンプに最適な場所として心を躍らせる。
<ゴガァ!>
……まあ、魔物は居るので父ベヒーモスが居なければ安全にとはいかなさそうだけども。
しかし、ベヒーモスの力が使えるのでサリアと二人でも撃退できそうだなと、シュールな目をしたキツネっぽい魔物をやり過ごしながらそんなことを考える。魔物と契約し、力を得るとはまたファンタジーな話だ。
「今日は夜までかかりそうだな」
「明日の仕事はそれほど多くないから寝る時間はありそうですけど。……あら、雨?」
「おっと、そりゃ大変だ。おーい父ベヒーモス! コンテナに入るか!」
<いや、このままで問題ない。たまには雨にあたるのも悪くない>
いいのか。
本人がいいと言っているのでとりあえずヘッドライトをつけ、ワイパーを動かすとコヒーモスがワイパーと一緒に頭を動かしはじめ、やがて目を回して寝台へと転がって行った。
<きゅーん……!?>
「ふふ、可愛い」
「子供ながらって感じだな。とりあえず山道だしゆっくり進むか」
切り開かれているだけで道と呼ぶには微妙な場所を登っていく。
稀に急な坂もあるが、トラックの馬力なら余裕だ。ただ、横転しないとはいえハンドル操作は気を付けないと、崖に落ちたらどうなるかまでは保証できない。
<む、ヒサトラ前方に人影があるぞ>
「なんだって?」
こんな山の中で、と一瞬考えたが登山とか冒険者なら有り得るかと思いなおす。
少し進むと木の下に三人組の男女が項垂れているのが見え、エンジン音に気づいた男が顔を上げてこちらを見る。なにごとか分からないが、とりあえず近くまで行って声をかけてみた。
「どうした? 立往生か?」
「に、人間……? このでかいのは一体……。い、いや、それよりすまない、ポーションみたいなものを持っていないか?」
「ケガ人がいるみてえだな。この雨じゃキツイだろ、コンテナを開けてやるから乗りな」
「え?」
「ベヒーモス、すこしずれてくれ」
<承知した>
「え? ベヒーモス……? え?」
俺は運転席から降りるとコンテナの操作をして開いて、冒険者らしき三人を招き入れる。
みるとケガをしているのは弓を持った女の子のようで、太ももから出血していた。結構深いなこりゃ……!
「痛々しいな……。ポーションはないが俺達はこのまま近くの町まで行くつもりだ。そこなら手当できるだろ?」
「あ、ああ。いいのか?」
「かまわねえよ。ほら、そっちの兄ちゃん、女の子をこっちのソファに寝かせろ」
「助かる……!」
「サリア、悪いが助手席の救急箱を頼む」
「はい!」
サリアには一通り説明しているのでこのあたりの連携はばっちりだ。
とりあえず化膿が怖いのでダッシュボードから出した救急箱を取り出して消毒液を振りかける。
「うう……」
「なにを……?」
「我慢しろ。こいつは消毒液だ、化膿を抑える効果があるんだ。あとはこいつを使ってくれ」
毛布を男に渡すと、コンテナの灯りをつけてから再び運転席へ戻り先ほどより少し速度を上げて山道を進む。
「なにがあったんでしょうか?」
「魔物と戦って負傷したってのが一番わかりやすいが、無理に聞くこともねえだろ。さっさと病院に連れて行けばいいさ」
サリアがそうですねと微笑み、たまにコンテナの様子を伺ってくれていた。
あのケガなら俺達を騙しているとは思いにくい。
魔物は父ベヒーモスのおかげでまったく遭遇しないため上がって来た山道を今度は緩やかに下っていく。
彼らを拾ってから30分ほどしたところで町へ到着した。
「おお、陛下からおふれのあった『とらっく』というやつか?」
「そうです。というか後ろにケガ人が乗っているんで、先に降ろしていいですか?」
「なんと!? ここではなんだし町へ入るといい!」
話の分かる門番さんがすぐに招き入れてくれたのですぐに屋根のあるところに止めてから冒険者三人を降ろしてやると、医療院とかいう病院に近い施設へ運ばれた。
サリアの話だと魔法で治療するから傷は残らないそうなので一安心である。
男二人がお礼をと言ってきたが、早く連れて行ってやれってことで退散させた。連れて来ただけだし、礼なんていらねえよな?
「さてと、雨だしさっさと荷物を配っちまおうぜ」
「ですね。せっかく山に来たのに景色を見れなかったのは残念かな?」
「ま、機会はあるだろ。ベヒーモスもたまには散歩したいだろうし。背中に乗せてくれよ? あれ?」
ずっと黙っているのでどうしたのかと思ってコンテナの方を見ると――
<おお……我の帽子がぐしゃぐしゃに……>
――雨でふやけた帽子を両手で持ったまま項垂れていた。
「そりゃあずっと雨に打たれていればなあ……」
「お洗濯をして乾かせば元通りですよ!」
<うむ……>
<きゅんきゅん>
そんなに気に入っていたのか。
コヒーモスに慰めの言葉をもらう父ベヒーモスに雨合羽でも作ってやるかとちょっと思うのだった。
「お庭もそんな感じですけどね。でもベヒーモスさんが居るから安心してできるかも」
<わぉん>
麓の町から山を登っていると、眼下に見える地上が段々と遠くなっていく。その代わりに静かな森の中へと入っていき、キャンプに最適な場所として心を躍らせる。
<ゴガァ!>
……まあ、魔物は居るので父ベヒーモスが居なければ安全にとはいかなさそうだけども。
しかし、ベヒーモスの力が使えるのでサリアと二人でも撃退できそうだなと、シュールな目をしたキツネっぽい魔物をやり過ごしながらそんなことを考える。魔物と契約し、力を得るとはまたファンタジーな話だ。
「今日は夜までかかりそうだな」
「明日の仕事はそれほど多くないから寝る時間はありそうですけど。……あら、雨?」
「おっと、そりゃ大変だ。おーい父ベヒーモス! コンテナに入るか!」
<いや、このままで問題ない。たまには雨にあたるのも悪くない>
いいのか。
本人がいいと言っているのでとりあえずヘッドライトをつけ、ワイパーを動かすとコヒーモスがワイパーと一緒に頭を動かしはじめ、やがて目を回して寝台へと転がって行った。
<きゅーん……!?>
「ふふ、可愛い」
「子供ながらって感じだな。とりあえず山道だしゆっくり進むか」
切り開かれているだけで道と呼ぶには微妙な場所を登っていく。
稀に急な坂もあるが、トラックの馬力なら余裕だ。ただ、横転しないとはいえハンドル操作は気を付けないと、崖に落ちたらどうなるかまでは保証できない。
<む、ヒサトラ前方に人影があるぞ>
「なんだって?」
こんな山の中で、と一瞬考えたが登山とか冒険者なら有り得るかと思いなおす。
少し進むと木の下に三人組の男女が項垂れているのが見え、エンジン音に気づいた男が顔を上げてこちらを見る。なにごとか分からないが、とりあえず近くまで行って声をかけてみた。
「どうした? 立往生か?」
「に、人間……? このでかいのは一体……。い、いや、それよりすまない、ポーションみたいなものを持っていないか?」
「ケガ人がいるみてえだな。この雨じゃキツイだろ、コンテナを開けてやるから乗りな」
「え?」
「ベヒーモス、すこしずれてくれ」
<承知した>
「え? ベヒーモス……? え?」
俺は運転席から降りるとコンテナの操作をして開いて、冒険者らしき三人を招き入れる。
みるとケガをしているのは弓を持った女の子のようで、太ももから出血していた。結構深いなこりゃ……!
「痛々しいな……。ポーションはないが俺達はこのまま近くの町まで行くつもりだ。そこなら手当できるだろ?」
「あ、ああ。いいのか?」
「かまわねえよ。ほら、そっちの兄ちゃん、女の子をこっちのソファに寝かせろ」
「助かる……!」
「サリア、悪いが助手席の救急箱を頼む」
「はい!」
サリアには一通り説明しているのでこのあたりの連携はばっちりだ。
とりあえず化膿が怖いのでダッシュボードから出した救急箱を取り出して消毒液を振りかける。
「うう……」
「なにを……?」
「我慢しろ。こいつは消毒液だ、化膿を抑える効果があるんだ。あとはこいつを使ってくれ」
毛布を男に渡すと、コンテナの灯りをつけてから再び運転席へ戻り先ほどより少し速度を上げて山道を進む。
「なにがあったんでしょうか?」
「魔物と戦って負傷したってのが一番わかりやすいが、無理に聞くこともねえだろ。さっさと病院に連れて行けばいいさ」
サリアがそうですねと微笑み、たまにコンテナの様子を伺ってくれていた。
あのケガなら俺達を騙しているとは思いにくい。
魔物は父ベヒーモスのおかげでまったく遭遇しないため上がって来た山道を今度は緩やかに下っていく。
彼らを拾ってから30分ほどしたところで町へ到着した。
「おお、陛下からおふれのあった『とらっく』というやつか?」
「そうです。というか後ろにケガ人が乗っているんで、先に降ろしていいですか?」
「なんと!? ここではなんだし町へ入るといい!」
話の分かる門番さんがすぐに招き入れてくれたのですぐに屋根のあるところに止めてから冒険者三人を降ろしてやると、医療院とかいう病院に近い施設へ運ばれた。
サリアの話だと魔法で治療するから傷は残らないそうなので一安心である。
男二人がお礼をと言ってきたが、早く連れて行ってやれってことで退散させた。連れて来ただけだし、礼なんていらねえよな?
「さてと、雨だしさっさと荷物を配っちまおうぜ」
「ですね。せっかく山に来たのに景色を見れなかったのは残念かな?」
「ま、機会はあるだろ。ベヒーモスもたまには散歩したいだろうし。背中に乗せてくれよ? あれ?」
ずっと黙っているのでどうしたのかと思ってコンテナの方を見ると――
<おお……我の帽子がぐしゃぐしゃに……>
――雨でふやけた帽子を両手で持ったまま項垂れていた。
「そりゃあずっと雨に打たれていればなあ……」
「お洗濯をして乾かせば元通りですよ!」
<うむ……>
<きゅんきゅん>
そんなに気に入っていたのか。
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