59 / 85
第三章:最強種と
その58 緊急クエスト
しおりを挟む
というわけでやってきたのはドラゴンの棲む山『リキトウ山』。
強そうな名前でいかにも居そうな感じがする。
国に入ってから南に50kmほどの場所に位置するこの山は一応、冒険者達も狩りに利用するため悪路だが道が無いわけではない。
2NDに切り替え急こう配をディーゼルエンジンの底力を見せつけ登っていくと、騎士達がやんややんやと喝采していた。
ダイトはコンテナから降りてトラックの前を歩いてくれており、魔物に対しての牽制と万が一ドラゴンに遭遇した場合に話をしてもらうようにしている。
「っと、そろそろ中腹だな。これ以上は流石にトラックじゃ無理だ」
「道も無くなっちゃいましたしね」
<わふ>
ちょうど転回できそうな場所があったので下山準備をしてトラックから一旦降りる。
ここからはダイトの背中に乗ってドラゴンの巣に行く必要がある。
「ソリッド様は残っていてくださいよ? 流石にドラゴン相手は騎士達も危ないでしょうし」
「まあ勝てなくはないっすけどね、多分? でも、鱗を拾ってくるだけなら問題ないでしょうし、待ちますよ。ベヒーモスの旦那が居れば大事にはならないっす。後、アイオライトを殴って壊せるヒサトラさんなら余裕っすね」
「まあそうだな」
ソリッド様は聞き入れてくれて冒険者3人組と俺、サリアにアロンという組み合わせでさらに登っていく。
ここもアノクタラ山脈と同じで標高が高く、最長で2000mはあるようだ。山脈は3000m級で1700mくらいでアリアの花を見つけた。
「ここは火山じゃないのか」
「普通の山ですね。火山はもっと南に行かないとないんですよ」
「ドラゴンが棲むくらいだからそうだと思ってた」
<ドラゴンも暑い場所を好むやつはそう多くないぞ?>
意外である。
火を吐くから平気かと思っていたが、そうでもないらしいや。
そんなどうでもいい会話をしながら山の7割くらいを登ったところで目的の場所へ到着した。
「……あれが巣か。ここは想像通りなんだな」
<まあ、我もそうだが最強種と言っても生き物に変わりはないから他の動物と似ているところもある。というかあやつは――>
「ダイトさん、隠れられていないですよ」
<……きゅん>
<む、そうか>
岩陰からこっそり覗くと銀色の鱗をし、体を丸めたドラゴンが鼻提灯を浮かべて寝ているのが見えた。木々を集めて作った巣には卵と鱗が落ちていて、これは絶好の機会だ。
「よし、アリー。お前の勇姿はしっかり残しておくから行ってこい。ビリー達は手伝えるんだよな?」
「はい! その魔道具があればあのドラ息子達にぐうの音も出ないくらいの証拠を突き付けられます!」
「行こうアリー、ジミー兄さん」
そう言ってそろりと足を忍ばせて近づいていく3人。
鱗は落ちているものの、巣の中にあるのでそれなりにハードルは高いので見ている俺達もドキドキである。
ちなみにアリーが言っていた魔道具は俺のスマホで、動画の録画機能のことである。
一度試しに撮ってみたので存在を知っている訳だな。
まあ、現地で取って来たかどうかなんてのは監視役もいないし分からないと思うのだが、そこは嘘を吐きたくないと自身で行った。ちなみに鱗自体高価なので買ってもいいらしい。
何故か? 基本生活費しか渡されないのでそれだけ稼ぐ力がある、もしくはドラゴンの巣へ向かってくれる冒険者を雇えるという『財力』を認めてもらえるんだと。
流石に1年やそこらでそんな大金は用意できなかったのでこれがラストチャンスというわけ。
「頑張ってください……!!」
<わふ……!!>
上手いこと鱗を三枚拾うのが見えて歓喜の笑みを浮かべるアリー。
だが、そこで変な虫がドラゴンの鼻提灯に近づいていく。
「あ、まずい!? 早く戻れ!」
「は、はい」
小声で注意喚起をするが遅かった……虫により鼻提灯が今、割られたのだ――
<んあ……? おっと、いかんいかんうっかり昼寝を……な!? 人間だと!>
「わあああ!? 起きた!!」
「急げ!」
<ぬう、岩陰にもいるのか? なにをしに来たのか知らんが、我がテリトリーに入ってきたこと、後悔するがいい!>
「うるさっ!?」
鋭い咆哮を上げるドラゴンにアリー達が耳を抑えてしゃがみ込む。ここにいる俺達でもうるさいと感じるので近いあいつらはさらにキツイはずだ。
このままでは殺られると、俺はダイトの背を叩いて踊り出る。
「こっちにも居るぜ!」
<む! そっちにも! って、貴様――>
銀色のドラゴンの気を逸らすため、ダイトの背に乗ってバットを振って威嚇する俺。
首をこちらにもたげて目を見開いたドラゴンは驚いたように口を開く。
<貴様……ベヒーモスではないか! おお、元気そうだな!>
<やはりシルバードラゴン、お前だったか。呑気に寝ておるからそうではないかと思ったわ。だから卵を盗まれるんだぞ?>
<ぬっはっは! 無精卵などくれてやっても構わんわい。有精卵ならかみ殺してやるがな? しかし……人間と一緒とはどういう風の吹き回しだ?>
「……随分親しげだな……ダイト、知り合いか?」
俺以外のみんなも驚いた顔をして両者を見比べていた。
すると、ダイトがドヤ顔で言う。
<うむ、この山を見てもしやと思ったがこいつは我の旧知の間柄であるシルバードラゴンだ>
「知り合い……」
どうやら最強種同士、世間は狭いってことらしい。
だけどシルバードラゴンが俺達を見て目を細める――
強そうな名前でいかにも居そうな感じがする。
国に入ってから南に50kmほどの場所に位置するこの山は一応、冒険者達も狩りに利用するため悪路だが道が無いわけではない。
2NDに切り替え急こう配をディーゼルエンジンの底力を見せつけ登っていくと、騎士達がやんややんやと喝采していた。
ダイトはコンテナから降りてトラックの前を歩いてくれており、魔物に対しての牽制と万が一ドラゴンに遭遇した場合に話をしてもらうようにしている。
「っと、そろそろ中腹だな。これ以上は流石にトラックじゃ無理だ」
「道も無くなっちゃいましたしね」
<わふ>
ちょうど転回できそうな場所があったので下山準備をしてトラックから一旦降りる。
ここからはダイトの背中に乗ってドラゴンの巣に行く必要がある。
「ソリッド様は残っていてくださいよ? 流石にドラゴン相手は騎士達も危ないでしょうし」
「まあ勝てなくはないっすけどね、多分? でも、鱗を拾ってくるだけなら問題ないでしょうし、待ちますよ。ベヒーモスの旦那が居れば大事にはならないっす。後、アイオライトを殴って壊せるヒサトラさんなら余裕っすね」
「まあそうだな」
ソリッド様は聞き入れてくれて冒険者3人組と俺、サリアにアロンという組み合わせでさらに登っていく。
ここもアノクタラ山脈と同じで標高が高く、最長で2000mはあるようだ。山脈は3000m級で1700mくらいでアリアの花を見つけた。
「ここは火山じゃないのか」
「普通の山ですね。火山はもっと南に行かないとないんですよ」
「ドラゴンが棲むくらいだからそうだと思ってた」
<ドラゴンも暑い場所を好むやつはそう多くないぞ?>
意外である。
火を吐くから平気かと思っていたが、そうでもないらしいや。
そんなどうでもいい会話をしながら山の7割くらいを登ったところで目的の場所へ到着した。
「……あれが巣か。ここは想像通りなんだな」
<まあ、我もそうだが最強種と言っても生き物に変わりはないから他の動物と似ているところもある。というかあやつは――>
「ダイトさん、隠れられていないですよ」
<……きゅん>
<む、そうか>
岩陰からこっそり覗くと銀色の鱗をし、体を丸めたドラゴンが鼻提灯を浮かべて寝ているのが見えた。木々を集めて作った巣には卵と鱗が落ちていて、これは絶好の機会だ。
「よし、アリー。お前の勇姿はしっかり残しておくから行ってこい。ビリー達は手伝えるんだよな?」
「はい! その魔道具があればあのドラ息子達にぐうの音も出ないくらいの証拠を突き付けられます!」
「行こうアリー、ジミー兄さん」
そう言ってそろりと足を忍ばせて近づいていく3人。
鱗は落ちているものの、巣の中にあるのでそれなりにハードルは高いので見ている俺達もドキドキである。
ちなみにアリーが言っていた魔道具は俺のスマホで、動画の録画機能のことである。
一度試しに撮ってみたので存在を知っている訳だな。
まあ、現地で取って来たかどうかなんてのは監視役もいないし分からないと思うのだが、そこは嘘を吐きたくないと自身で行った。ちなみに鱗自体高価なので買ってもいいらしい。
何故か? 基本生活費しか渡されないのでそれだけ稼ぐ力がある、もしくはドラゴンの巣へ向かってくれる冒険者を雇えるという『財力』を認めてもらえるんだと。
流石に1年やそこらでそんな大金は用意できなかったのでこれがラストチャンスというわけ。
「頑張ってください……!!」
<わふ……!!>
上手いこと鱗を三枚拾うのが見えて歓喜の笑みを浮かべるアリー。
だが、そこで変な虫がドラゴンの鼻提灯に近づいていく。
「あ、まずい!? 早く戻れ!」
「は、はい」
小声で注意喚起をするが遅かった……虫により鼻提灯が今、割られたのだ――
<んあ……? おっと、いかんいかんうっかり昼寝を……な!? 人間だと!>
「わあああ!? 起きた!!」
「急げ!」
<ぬう、岩陰にもいるのか? なにをしに来たのか知らんが、我がテリトリーに入ってきたこと、後悔するがいい!>
「うるさっ!?」
鋭い咆哮を上げるドラゴンにアリー達が耳を抑えてしゃがみ込む。ここにいる俺達でもうるさいと感じるので近いあいつらはさらにキツイはずだ。
このままでは殺られると、俺はダイトの背を叩いて踊り出る。
「こっちにも居るぜ!」
<む! そっちにも! って、貴様――>
銀色のドラゴンの気を逸らすため、ダイトの背に乗ってバットを振って威嚇する俺。
首をこちらにもたげて目を見開いたドラゴンは驚いたように口を開く。
<貴様……ベヒーモスではないか! おお、元気そうだな!>
<やはりシルバードラゴン、お前だったか。呑気に寝ておるからそうではないかと思ったわ。だから卵を盗まれるんだぞ?>
<ぬっはっは! 無精卵などくれてやっても構わんわい。有精卵ならかみ殺してやるがな? しかし……人間と一緒とはどういう風の吹き回しだ?>
「……随分親しげだな……ダイト、知り合いか?」
俺以外のみんなも驚いた顔をして両者を見比べていた。
すると、ダイトがドヤ顔で言う。
<うむ、この山を見てもしやと思ったがこいつは我の旧知の間柄であるシルバードラゴンだ>
「知り合い……」
どうやら最強種同士、世間は狭いってことらしい。
だけどシルバードラゴンが俺達を見て目を細める――
11
あなたにおすすめの小説
子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~
九頭七尾
ファンタジー
子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。
女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。
「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」
「その願い叶えて差し上げましょう!」
「えっ、いいの?」
転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。
「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」
思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。
妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。
貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。
しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。
小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる