異世界でトラック運送屋を始めました! ◆お手紙ひとつからベヒーモスまで、なんでもどこにでも安全に運びます! 多分!◆

八神 凪

文字の大きさ
76 / 85
第四章:ひとまずの解決

その75 長寿種の子孫事情

しおりを挟む
 
 「彼はでかいからなあ、長時間はヒサトラ君の庭で対応するのは無理だろう。門の近くに簡易広場をすぐに作るから少し外で待っていてくれるか? テーブルや椅子なんかはこっちで運ばせるから食材だけ頼む」
 
 家に戻ってソリッド様へ謁見しようと思っていたが、シルバードラゴンを遠くから見ていたらしく、すでにウチの前で待機していた。
 いや、凄くありがたいんだけど、それでいいのか?
 ちなみに俺は城に一度も出向いたことが無いのでチャンスだと思ったんだけど叶わなかった。

 「いいのかな?」
 「まあ、手伝ってくれた人には料理を振るまおうぜ」
 <振るまおう……降る、魔王……>
 「不吉なことを言うな」
 <痛っ!?>
 <わんわん!>

 ダイトの髭を引っ張って窘め、アロンも変なことを言うなとばかりに吠えて糾弾していた。こいつもそのうち喋れるようになったら楽しそうだ。
 
 <あ”->
 <♪>

 さて、キャンプの準備でもするかと持ち運びを開始するため一旦トラックのコンテナに乗せていく。ポンチョやプロフィア達はお気に入りのプールや座布団(運転席にあった俺の)をコンテナに積む。
 なにげにポンチョはマンドラゴラのくせに力が強く、三倍くらいあるテーブルを抱えて移動することができる。
 スライム達も5匹で力を合わせれば水の入ったプールを持ち上げて飛び上がれるので侮れい。
 ちなみに見た目は可愛いのでギャップが凄い。

 <わんわん♪>
 「トラポリン……必要か?」
 <うぉふ!>
 「いいじゃない、この子こればっかり好きだし」

 みんなお気に入りの者を持って行っているから自分もと言いたいのだろう。 サリアと協力して積み込みを終えてゆっくりとトラックを外へ回す。

 「つかはええな……」
 
 門の近くに簡易ではあるが柵を形成していくのが見え、町のみんなの能力が高いことを伺わせる。
 中にはギルマスターのファルケンが居たので声をかけてみることにした。

 「おーいファルケンさん!」
 「お? ああ、ヒサトラか。……また、妙なものを拾って来たな」
 「拾ったんじゃねえって。ついて来ただけだし、ちょっと宴会をしたら帰るよ」

 少し離れたところでダイトと談笑しているシルバードラゴンを見てため息を吐くファルケンさんに俺も肩を竦めて口を開く。

 まあ、楽しそうでいいけどなとファルケンさんが作業に戻り程なくして特設会場が設けられた。
 扇状に柵を張り、俺達がそこに座り、広く取られたところにダイトとシルバードラゴンが座り宴会がスタート。

 「しかし歳をとったと言っても現役のようですな」
 <そうだな人間の王よ。ワシらの命は長いからのう、だから卵から子が生まれるのはそう多いことではない。あちこちに仲間は居るが個体としては人間に比べたら少ないかもしれん>
 「エルフ達と似たような感じなんすかねえ」

 寿命が長い種族とはそういうものなのか、子供を作るのはあまり早くなく出来てもひと家族一人くらいなものなのだそうだ。だからシルバードラゴンの息子が嫁を連れてきてつがいになったのは嬉しかったし、卵が産まれて爺さんが張り切り過ぎたのは致し方ないのかもしれない。

 <我もアロンしか作ってないしな>
 「母親はどうしたんだよ」
 <……今は居ない>
 「……」

 今は、という部分でなにかあったのだと思うのだが聞くのははばかられたので適当に焼いた魚を差し出してやる。
 シルバードラゴンにはマグロのいい部分をあぶってやると大層喜んでくれた。

 <む、これは美味いな……肉のような脂だ>
 「爪と牙の礼にしちゃ少ないけどな」
 <構わん。こうやって美味い物を食わせてくれるなら安いもんじゃて!>
 <ここに住んでもいいんじゃないか? なあヒサトラ>
 「俺の居場所を失くしたいのかよ!?」
 「いや、その気があるならウチは構わんぞ」
 「流石にドラゴンはまずいのでは?」

 しかしベヒーモスもSクラスの魔物だと考えれば一頭も二頭も同じだとがははと笑い、俺は呆れながらソリッド様の顔を見る。

 <気持ちはありがたいが、息子夫婦の近くに居たいからな。ではまた会おう!>
 「また来るっすよ!」

 ソリッド様達の用意した料理などをたいらげ、一泊したのちに飛び去って行った。
 騎士達も仲良くなっていたので少々残念そうだったが、またあの調子だとすぐ来るんじゃないか? などと皆で話していた。

 みんなで見送っているとポツリとサリアが呟く。

 「無事に生まれるといいわね……」
 「だな。ドラゴンだし簡単に襲われるってこともないだろうけどな」
 「でも無精卵を狙ってくる人もいるって言ってたし、気を付けて欲しいわよね」

 確かに、と小さくなっていくシルバードラゴンを見てそう思う。
 しかし三頭のドラゴンを相手にしたい人間なんていないとは思うが……

 子ドラゴンが生まれたら見たいなと思いつつ、俺達は薬が出来るまでの間、通常の仕事に戻るのだった。 
しおりを挟む
感想 167

あなたにおすすめの小説

子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾
ファンタジー
 子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。  女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。 「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」 「その願い叶えて差し上げましょう!」 「えっ、いいの?」  転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。 「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」  思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

処理中です...