私がガチなのは内緒である

ありきた

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2章 私と萌恵ちゃんは恋仲である

17話 プライベート

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 萌恵ちゃんと付き合い始めてから一ヶ月ほど経ち、五月もそろそろ終わろうとしている。
 当初は恋バナに飢えていたクラスメイトたちだけど、いまとなっては恋人がいる子も多い。
 相手は他のクラスだったり部活の先輩だったり様々。しかし、女子校とはいえ彼氏がいるという話をまったく聞かないあたり、この高校はかなり稀有なのだろう。
 休み時間。萌恵ちゃんが野暮用で席を外しているときに、教卓の周りに集まったグループが興味深いことを話していた。
 盗み聞きは悪趣味だと分かりながらも、とある発言が私の胸に警鐘を鳴らす。
 いわく、付き合っている先輩はフレンドリーで接しやすいけど、プライベートに容赦なく踏み込んでくるのが玉に瑕、とのこと。
 改めて考えてみれば、いままで気にも留めていなかった。
 私と萌恵ちゃんは、一緒に暮らして同じ学校の同じ教室に通い、おはようからおやすみまで、それこそお風呂のときでさえ常に行動を共にしている。
 もしも萌恵ちゃんが内心でプライベートな時間を望んでいるとしたら……。

***

 帰宅して間もなく、萌恵ちゃんの意見を伺うことにした。

「私たちっていつも一緒だけど、萌恵ちゃんは窮屈だったりしない?」

「ん? お風呂とお布団はちょっと狭いけど、楽しくて好きだよ~」

「そうじゃなくて、精神的につらくないかなって。一人の時間なんてトイレのときぐらいだから、人によっては相当なストレスになるし……」

 訂正を加え、ついでにこの質問をするきっかけになった教室でのやり取りを説明した。

「あ~、なるほどね。あたしはまったく気にしてな――って、もしかして真菜は嫌だったりする!? だったらごめんっ、あたし無神経だったかも!」

「ち、違うよ。私もまったく気にしてなかったから、意識せず萌恵ちゃんに負担をかけてたんじゃないかって不安になったの」

 こちらとしては、萌恵ちゃんが相手ならプライベートな時間はおろか自分のプライバシーだってどうでもいい。

「なんだ、よかった~っ。あたしは真菜と一緒の時間が長ければ長いほど嬉しいよ! むしろ離れてる方が心身共につらい!」

 ホッと胸を撫で下ろす萌恵ちゃんを見て、私も深く安堵する。

「私もまったく同じ。萌恵ちゃんが何度も言ってくれたように、私たちって本当に一心同体なんだね」

 長い付き合いがある上にいまは恋人という関係だから、灯台下暗しというか、普通なら初歩的かつ当然のことを見落としがちだ。
 結果的にただの杞憂だったとはいえ、新たに生じた心配事をその日のうちに解決できてよかった。

「あっ、そうだ。朝ごはんのついでにプリンも作っておいたんだけど、いま食べる? 晩ごはんの後でもいいけど」

 萌恵ちゃんの手作りプリンは絶品だ。
 食後のデザートに取っておくのが妥当だという考えが浮かびつつも、想像するだけでよだれが垂れそうな甘味の誘惑に、私はわずかばかりの抵抗も許されない。

「いまから食べたいっ」

 私はゴクリと生唾を飲み、目を輝かせて即答した。
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