私がガチなのは内緒である

ありきた

文字の大きさ
59 / 121
3章 一線を越えても止まらない

6話 新しい味わい方

しおりを挟む
 お風呂上り。ちょっと早めに布団を敷き、萌恵ちゃんが寝転びながらスマホをいじっている。
 萌恵ちゃんの視線を一身に受け、指先で優しく触ってもらえるスマホ。嫉妬せずにはいられない。
 意味不明な対抗心を燃やしつつ、恋人は他ならぬ自分なのだと優越感に浸ってみたりして。
 そんなことはさておき。
 萌恵ちゃんの体って、破壊力抜群だよね。
 いますぐ唇を奪いたくなる可憐な顔。本能のままに揉みたい爆乳。キュッと引き締まったお腹。スラリと長い脚。
 外見はもちろん、声とか匂いとか、どこを取っても素晴らしい。
 具体的に説明すると時間が足りないけど、私にはもったいない自慢の彼女だ。
 悲しいときは慰めてくれるし、嬉しいときは一緒に喜んでくれる。
 でも、優しい萌恵ちゃんから汚物のような扱いを受けてみたい。そんな変態が私。

「えっちだ……」

 萌恵ちゃんの肢体を眺め、恍惚の溜息と共に率直な感想が漏れる。
 扇情的なポーズを取っているわけでもないのに、私の心は劣情で埋め尽くされてしまう。

「ん、なにか言った?」

「ううん、大したことじゃないよ。萌恵ちゃんって、存在そのものがえっちだなって思っただけ」

「え……ごめん、けっこう大したことを言われてる気がするんだけど?」

 確かに。自分の発言を振り返り、大変失礼なことを口走ったと反省する。
 素直に「ごめん」と謝り、頭を下げる。

「でも、嬉しいな~。真菜にとって、魅力的に映ってるってことだもんね。好きな人にそう思ってもらえるんだから、あたしは幸せ者だよ」

 萌恵ちゃんは私を責めるどころか、笑顔を向けてくれた。
 あぁ、抱きたい。抱擁じゃなく、えっちな意味で。

「萌恵ちゃん、えっちしたい」

「あたしもしたいけど、明日は一限目から体育だからね~」

 うっ、そう言えばそうだった。
 私たちは一度始めると時間を忘れて盛り上がってしまうから、どうしても翌日に響く。
 他の授業ならともかく、体育となればさすがにキツい。主に運動音痴な私が。

「じゃあ、密着して寝てもいい?」

「もちろん!」

 就寝にはまだ早いけど、私も寝転んで萌恵ちゃんに体を寄せる。

「大好き」

 目を見てポツリとつぶやき、ギュッと抱き着く。
 すると萌恵ちゃんはスマホを枕元に置いて、私の背中に手を回してくれた。
 これだけでも充分に幸せなのに、耳元で「愛してる」と囁かれて昇天しそうになる。

「あっ! 冷蔵庫のヨーグルト、賞味期限が今日だった! ごめん真菜、ちょっと取ってくる!」

「う、うん」

 萌恵ちゃんの行動は迅速そのもので、瞬く間に布団を離れて台所に移動した。
 布団を壁際に寄せてテーブルを出し、戻ってきた萌恵ちゃんと共にヨーグルトを食べる。
 ほどよい酸味で口をサッパリさせながら、年中発情期のド変態である私は天啓を受けたかのように名案を閃く。

「ねぇ、萌恵ちゃん。もしよかったら、口移しで食べさせてもらえないかな?」

「いいよ~。その代わり、真菜にも同じことしてもらうからね!」

「わ、分かった」

 私がやるのは想定外だったけど、要求を受け入れてもらえてよかった。
 善は急げということで、さっそく萌恵ちゃんに一口分のヨーグルトを口に含んでもらう。
 口を少し開き、ドキドキしながら待機する。

「んっ、ちゅっ」

「ぁむ……んぅっ」

 唇が重なり、萌恵ちゃんの舌と一緒にドロッとした物が入ってくる。
 外気に触れることなく直接運ばれたそれは、先ほど自分で食べていたときの冷たさが失せ、同じ食品とは思えないほど甘く感じられた。
 よく味わってから、慈しむように飲み込む。

「おい、しぃ……っ」

 ヨーグルトをここまでおいしいと思ったのは、未だかつてない。

「そっ、それじゃあ、次は真菜が食べさせてね!」

 想像以上に恥ずかしかったらしく、萌恵ちゃんの顔は真っ赤だ。
 実際、口移しというのは考えていたよりも淫靡な行為だと思う。
 正直に言って躊躇してしまうけど、約束は約束。私もスプーンですくって口に含み、萌恵ちゃんに顔を近付けた。
 口からこぼれないように、空気が入る隙間もないほど唇を密着させる。
 私の舌を受け入れるために開かれた空間に、遠慮なく捻じ込む。
 二人の舌がもぞもぞと動き、目的を果たした後はゆっくりと唇を離す。
 萌恵ちゃんも私と同じく、じっくりと味わっている。

「おいしい! けど、なんというか……この食べ方、すごくえっちだよぅ」

 瞳を輝かせたかと思えば、耳まで真っ赤にして顔を伏せる萌恵ちゃん。
 至極もっともな意見だ。反論はなく、ただひたすらに共感する。

「でも、たまにはいいよね」

「うんっ、またしたい!」

 未だに顔は赤いままだけど、迷いなく元気いっぱいに返事をしてくれた。
 せっかくだから、今度は別の物でも試してみたいな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?

宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。 栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。 その彼女に脅された。 「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」 今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。 でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる! しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ?? 訳が分からない……。それ、俺困るの?

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

高校生なのに娘ができちゃった!?

まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!? そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...