私がガチなのは内緒である

ありきた

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3章 一線を越えても止まらない

26話 秘密の失敗談

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 つい最近、私と萌恵ちゃんは他言できない類の失敗を経験した。
 時間が経てば二人の間では笑い話になるだろうけど、少なくともいまは他人に漏らすわけにいかない。
 ――大人のおもちゃを買って、まともに使わないまま封印した、ということを。
 事の発端は、単純な興味と好奇心だった。
 聞きかじっただけの知識とはいえ存在は知っていたので、ちょっと気になって大手通販サイトで手頃な値段の商品を見付け、注文に至る。
 家に届いたのは、数日後。私たちは急かされるように開封し、本体や説明書、充電器やパッケージなどを見て瞳を輝かせた。
 待ちきれなくてその日の晩に使おうとしたものの、これがまた悲惨というか、残念な結果になってしまう。
 足の親指ぐらいの楕円形がアソコに軽く触れた瞬間、マンガの表現みたいな勢いで血の気が引いた。
 本来の目的である快感なんて微塵も得られず、吐き気を催すような嫌悪感と背筋も凍る寒気に襲われる。
 萌恵ちゃん以外のなにかが私の大切なところに触れているという感覚は、たとえそれが無機物の道具に過ぎないと分かっていても耐え難い苦痛だ。
 私だけが過敏になりすぎているのかもしれないと思って萌恵ちゃんにも試してもらうと、結果は同じ。すぐさまおもちゃを手放し、「どうしよう、気持ち悪い」といつになく暗い表情でつぶやいた。
 決して商品が悪かったわけではない。
 滑らかな手触りでデザインや色合いもかわいく、USBで充電できるだけでなく電池でも稼働し、なにより価格が良心的。高評価のレビューが多数寄せられていて、大人のおもちゃとしては非の打ちどころがない品だと思う。
 ただ、私たちには合わなかった。
 いまは押入れの奥でひっそりと眠っている。もしかしたら、いつか再び日の目を見るときが来るかもしれない。
 大きな出費ではなかったけどもったいない買い物をしてしまった戒めとして、次の日は家での食事をもやしメニューで統一することに。
 節約の代名詞とも言える食材だけど、味は値段ほど安っぽくない。調理するのが萌恵ちゃんとなればなおさらだ。
 もやしのフルコースはどれもおいしく、特に萌恵ちゃんお手製のタレを絡めたもやし炒めはまさに絶品。
 終わりよければすべてよし。
 となればよかったんだけど……ポジティブになりきれない私は、ローターを買うお金でもやしをどれだけ買えただろうって後悔してしまうのだった。
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