77 / 169
第1章
第77話《シマちゃんの審査開始》
しおりを挟む
ひなの審査に関しては、しつこい遅延行為+投げやりな告白+キスを嫌がった事で、如実にシマちゃんとの点数差がついたかのように思われたが、何故か観客の一部?は一連の流れにやたら盛り上がっていた。
『こ、これは上質な寝取られシチュだぁああ!』
『キス直前に本命αの名前を悲しそうにつぶやいていたこともポイントが高いでござるな!!』
『いや~いいもの見せてもらったぜwww』
『遅延行為には心底イラつかせられたけどなw』
『バッカお前、あの遅延行為があったからこそ、殊更NTRが映えたんじゃねぇか!』
『相手役の男もモブおじとしての迫力があったし、あれはあれで俺は評価する…!』
『ま、俺的にシチュエーションとしては満点だったよ!!』
(えぇ…。一体どういう感性してるんだあの人達…。まぁいいものを見せて貰ったってのは俺もそう思うけど。)
正直、ひなに恨みがある俺からするとさっきのキスは心が晴れるような展開だったが、何の恨みも無いはずの一部の男性客が盛り上がっている理由がイマイチよく分からない。
寝取られ~とかなんとか聞こえてきた気がするが、まさかそれが高評価ポイントになったのか?
それとも、いちゃいちゃカップルばかり見せられた後に本命と上手くいかずに好みじゃない相手と半ば無理やりくっつけられてしまったから、同情票でも集まっているのだろうか。
まぁなんにせよ、告白成功のボーナスが10000点も入って、さらに観客の中にもひなの事を支持する層がいるとなると、コンテストの勝敗的にはまだまだ決着はついていないってことになる。
(流石にそう何でもかんでも上手くはいかないか。まぁ、ひとまずは、ひなが一泡噴いたところで良しとしよう。…勝負はこれからだ。)
「い、いや~熱烈な告白タイムでしたね…!…ということで、今度こそ以上を持ちまして愛野ひな様の審査を終了したいと思います…!」
ひなの審査邪魔をしないために再度舞台袖に控えていた司会が気まずそうな顔で締めのアナウンスをする。
紆余曲折は経たものの、ようやくひなの審査も終わり、これで残るはシマちゃんただ一人になった。
◇◇◇
「さて、それでは大変長らくお待たせしておりました、エントリーナンバー1番江永シマ様によるプロポーズが始まります…!シマ様、どうぞこちらに登壇していただければと思います!」
司会の突然丁寧になったアナウンスと共にシマちゃんがステージに上がり、悠然とした面持ちで観客に手を振ると、観客席から大きな拍手が送られた。
『来た来た!シマちゃんの出番だ!!』
『もう今日は見れないかと思った~!』
『シマたんの審査、楽しみだなぁ!』
『頑張れー!シマちゃん!』
『え、楽しみかぁ?推しが本命に告白する所を見せられるんだぜ…』
『なー。ガチ恋からしてみれば地獄の審査だわ…』
『どうせシマちゃんもイケメンに告白するんだろうな…。』
『これ以上可愛いΩの子に彼氏が出来る所なんて見とうない~!』
『うっうっ…。もうシマたんのおむらいちゅ食べれないよぉ…』
観客の声を聞くと、シマちゃんの満を持しての登場に歓喜するファンと、シマちゃんにも彼氏が出来る事を危惧して嘆いているファンに真っ二つに割れていた。
(なるほど…、これは本命の男性に告白なんて間違っても出来ないよな…。)
特にシマちゃんはメイド喫茶の店員(多分エース)だから、彼氏バレしたら客足的にも少しまずい立場でもあるわけだ。
俺みたいな小さいΩ相手だと、一発で彼氏じゃないって分かるから友達としてはうってつけだったのだろう。
「え~シマ様はこちらの都合のルール変更により、相手役をエキストラから本命へと変更する準備をしたいという事でしたが、本命とは一体誰をご指名になられるのでしょうか?また、彼とはどういったご関係かについても教えていただければと思います。」
「はい♪」
司会がシマちゃんに対してインタビューをすると、彼は快く返事をして、ゆっくりとステージの中央の前方に歩み出る。
そして、ひな同様胸の所で祈るように指を組んで美しい笑みを浮かべながら言葉を発した。
「彼とは運命の出会いだったんです…。最初は暴力的な男達にも果敢に一人で立ち向かっている所を目撃した所から始まって…それから何度か会う機会があったんですけど、実際に話してみたらびっくりするくらい気が合うし、優しいし、何気にハイスペックだし、『あぁ、この人となら一生付き合っていけそうだな。』って心から思ったんですよね。」
(あれ、なんか、物凄く美化されてるけど、これって俺の事だよな…?)
シマちゃんが柔らかな表情で(おそらく)俺の事を脚色して話しているのを聞いて、シマちゃんのファンや観客達は殊更おおいに嘆き始める。
『ああ…これはもう本命彼氏確定演出ですな…』
『終わった…俺らの恋が…。』
『結局シマたんも勝ち組αを選んでしまうのでござろうか…』
『うう…萎えそう…。』
『あーはいはい、頼りになって優しいスパダリα自慢ね…。』
『いいよねぇΩ様は。無条件でカッコイイ彼氏が出来て。』
『ちょっと、あんた達言い過ぎ!シマ様は悪くないじゃん!』
『でもさぁ、流石にもう飽きたってこの流れ。出場者皆揃ってスパダリαにプロポーズしてんじゃん。ま、一人失敗した人いるけどwww』
『そ、それはそうだけど…。』
『審査を通してマウント取られてんだよ、あたし達βは。』
『うう…。そうなのかなぁ、シマ様…。』
中には今まで出場者たちによるα自慢?が続いた事へのヘイトをシマちゃんに向けてしまう客もいて、聞いていて耳が痛い。
(あ、もしかしてシマちゃん、ここで一見αに告白するような雰囲気を匂わせて好感度を下げておいて、実際にはΩの俺に告白するというオチにする事で好感度を上げる作戦なのかな?)
『こ、これは上質な寝取られシチュだぁああ!』
『キス直前に本命αの名前を悲しそうにつぶやいていたこともポイントが高いでござるな!!』
『いや~いいもの見せてもらったぜwww』
『遅延行為には心底イラつかせられたけどなw』
『バッカお前、あの遅延行為があったからこそ、殊更NTRが映えたんじゃねぇか!』
『相手役の男もモブおじとしての迫力があったし、あれはあれで俺は評価する…!』
『ま、俺的にシチュエーションとしては満点だったよ!!』
(えぇ…。一体どういう感性してるんだあの人達…。まぁいいものを見せて貰ったってのは俺もそう思うけど。)
正直、ひなに恨みがある俺からするとさっきのキスは心が晴れるような展開だったが、何の恨みも無いはずの一部の男性客が盛り上がっている理由がイマイチよく分からない。
寝取られ~とかなんとか聞こえてきた気がするが、まさかそれが高評価ポイントになったのか?
それとも、いちゃいちゃカップルばかり見せられた後に本命と上手くいかずに好みじゃない相手と半ば無理やりくっつけられてしまったから、同情票でも集まっているのだろうか。
まぁなんにせよ、告白成功のボーナスが10000点も入って、さらに観客の中にもひなの事を支持する層がいるとなると、コンテストの勝敗的にはまだまだ決着はついていないってことになる。
(流石にそう何でもかんでも上手くはいかないか。まぁ、ひとまずは、ひなが一泡噴いたところで良しとしよう。…勝負はこれからだ。)
「い、いや~熱烈な告白タイムでしたね…!…ということで、今度こそ以上を持ちまして愛野ひな様の審査を終了したいと思います…!」
ひなの審査邪魔をしないために再度舞台袖に控えていた司会が気まずそうな顔で締めのアナウンスをする。
紆余曲折は経たものの、ようやくひなの審査も終わり、これで残るはシマちゃんただ一人になった。
◇◇◇
「さて、それでは大変長らくお待たせしておりました、エントリーナンバー1番江永シマ様によるプロポーズが始まります…!シマ様、どうぞこちらに登壇していただければと思います!」
司会の突然丁寧になったアナウンスと共にシマちゃんがステージに上がり、悠然とした面持ちで観客に手を振ると、観客席から大きな拍手が送られた。
『来た来た!シマちゃんの出番だ!!』
『もう今日は見れないかと思った~!』
『シマたんの審査、楽しみだなぁ!』
『頑張れー!シマちゃん!』
『え、楽しみかぁ?推しが本命に告白する所を見せられるんだぜ…』
『なー。ガチ恋からしてみれば地獄の審査だわ…』
『どうせシマちゃんもイケメンに告白するんだろうな…。』
『これ以上可愛いΩの子に彼氏が出来る所なんて見とうない~!』
『うっうっ…。もうシマたんのおむらいちゅ食べれないよぉ…』
観客の声を聞くと、シマちゃんの満を持しての登場に歓喜するファンと、シマちゃんにも彼氏が出来る事を危惧して嘆いているファンに真っ二つに割れていた。
(なるほど…、これは本命の男性に告白なんて間違っても出来ないよな…。)
特にシマちゃんはメイド喫茶の店員(多分エース)だから、彼氏バレしたら客足的にも少しまずい立場でもあるわけだ。
俺みたいな小さいΩ相手だと、一発で彼氏じゃないって分かるから友達としてはうってつけだったのだろう。
「え~シマ様はこちらの都合のルール変更により、相手役をエキストラから本命へと変更する準備をしたいという事でしたが、本命とは一体誰をご指名になられるのでしょうか?また、彼とはどういったご関係かについても教えていただければと思います。」
「はい♪」
司会がシマちゃんに対してインタビューをすると、彼は快く返事をして、ゆっくりとステージの中央の前方に歩み出る。
そして、ひな同様胸の所で祈るように指を組んで美しい笑みを浮かべながら言葉を発した。
「彼とは運命の出会いだったんです…。最初は暴力的な男達にも果敢に一人で立ち向かっている所を目撃した所から始まって…それから何度か会う機会があったんですけど、実際に話してみたらびっくりするくらい気が合うし、優しいし、何気にハイスペックだし、『あぁ、この人となら一生付き合っていけそうだな。』って心から思ったんですよね。」
(あれ、なんか、物凄く美化されてるけど、これって俺の事だよな…?)
シマちゃんが柔らかな表情で(おそらく)俺の事を脚色して話しているのを聞いて、シマちゃんのファンや観客達は殊更おおいに嘆き始める。
『ああ…これはもう本命彼氏確定演出ですな…』
『終わった…俺らの恋が…。』
『結局シマたんも勝ち組αを選んでしまうのでござろうか…』
『うう…萎えそう…。』
『あーはいはい、頼りになって優しいスパダリα自慢ね…。』
『いいよねぇΩ様は。無条件でカッコイイ彼氏が出来て。』
『ちょっと、あんた達言い過ぎ!シマ様は悪くないじゃん!』
『でもさぁ、流石にもう飽きたってこの流れ。出場者皆揃ってスパダリαにプロポーズしてんじゃん。ま、一人失敗した人いるけどwww』
『そ、それはそうだけど…。』
『審査を通してマウント取られてんだよ、あたし達βは。』
『うう…。そうなのかなぁ、シマ様…。』
中には今まで出場者たちによるα自慢?が続いた事へのヘイトをシマちゃんに向けてしまう客もいて、聞いていて耳が痛い。
(あ、もしかしてシマちゃん、ここで一見αに告白するような雰囲気を匂わせて好感度を下げておいて、実際にはΩの俺に告白するというオチにする事で好感度を上げる作戦なのかな?)
2,173
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる