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(閑話)神が生まれた日
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神は生まれて消滅まで神である。
始まりは猟師の思い付きだった。
山奥の椿の木の群生地に持っていた小刀を依代として狩りの無事を祈った。
するとたまたま怪我もなく大猟だったために多くの供物と感謝を捧げると小刀に神が宿った。
生まれたばかりの小さな神は力も弱く、毎回祈りに応えることはできなかったが猟師は信心深かったので熱心に祈りを捧げた。
ある時、村に日照りが続き猟師は神に雨乞いをした。
神に雨を降らせる力はなかったのだが、たまたま雨が降った。
村の人々は神に感謝し、祠を建てた。
信仰心により力を付けてきた神の元に別の神が訪れた。
「私は神々を管理している宇迦之御魂大神です。稲荷と呼んで下さい。生まれたばかりの小さき神よ。そなたに"八峯乃海石榴"の名を与えましょう。」
名を与えられた神は自我を持った。
そして椿の木に囲まれた祠を中心に小さな社が建てられ「椿神社」と呼ばれるようになった。
数年後、再び日照りが続き人々は雨乞いをした。しかしなかなか雨が降らない。1人2人と犠牲者が出始めた頃、人々は身寄りのない子供を生贄として神に捧げることにした。
生贄にされた人間は神の伴侶か眷属にしなければならない。それは面倒だったので八峯乃海石榴は放置するつもりだった。
しかしたまたまやってきた稲荷が生贄を気に入り、自分の眷属にして雨を降らせた。
生贄は稲荷の狛狐となり天と名付けられた。
そしてなぜか狛狐は八峯乃海石榴が稲荷に頼んだことにより眷属になったと思い込んで懐かれてしまった。
特に訂正はしなかった。
しばらくして椿神社に年頃の娘が参拝に訪れ「想い人と結ばれますように」と祈った。そのころの八峯乃海石榴には参拝に来た人に"少し良いことが起こる"程度の力を持っていた。
元々お互いに恋仲だった娘と想い人は無事結ばれ、その噂を聞きつけた娘たちが山奥にも関わらず参拝に訪れ、椿神社は縁結びの神社として信仰を集めていった。
八峯乃海石榴は徐々に力をつけ、気まぐれに人々の願いを叶えた。
ある日、夜中にひっそりと参拝に訪れる娘がいた。
娘は良い所の出で、親から望まぬ縁談を持ちかけられていたので縁切りを神に祈った。
縁を切るのは縁を結ぶよりも簡単だった。
縁切りを叶えられた娘により噂は広がり、縁切りを願う参拝者も次第に増えていった。
しばらくして気付いたことだが、縁結びは「陽の力」で澄んでいて美しく、縁切りは「陰の力」で淀んで醜かった。
「陰の力」は八峯乃海石榴の好みではなかったので浄化することにした。
まずは「陰の力」を神社の外に追い出し、再び入ってこられないように結界を張った。
この結界は縁切りを望む参拝者も拒んだ。
次にこの地が温泉の湧き出る地形だったことを利用して社の裏に湯を導き「陰の力」を浄化できる神の力を注いだ。
その湯が心身ともに癒せることに気が付いた人々が簡易的な湯殿を作った。
それから長い間、人々の信仰が少しずつ薄れていくまで椿神社は神の湯殿に入れる聖地として祀られていったのである。
そして山に放った「陰の力」は山に立ち入った人々や山に住む動物たちに取り憑いたが、温泉に入ることによって浄化されるということを繰り返した。
「陰の力」を全て浄化するにはまだまだ長い時間を必要としていたが、確実に「陰の力」は消えていった。
しかし「陰の力」が弱くなったと言っても力が増す夜に取り憑かれるのは危険だったため、夜に山に立ち入ることは禁忌として人々に周知されるようになった。
始まりは猟師の思い付きだった。
山奥の椿の木の群生地に持っていた小刀を依代として狩りの無事を祈った。
するとたまたま怪我もなく大猟だったために多くの供物と感謝を捧げると小刀に神が宿った。
生まれたばかりの小さな神は力も弱く、毎回祈りに応えることはできなかったが猟師は信心深かったので熱心に祈りを捧げた。
ある時、村に日照りが続き猟師は神に雨乞いをした。
神に雨を降らせる力はなかったのだが、たまたま雨が降った。
村の人々は神に感謝し、祠を建てた。
信仰心により力を付けてきた神の元に別の神が訪れた。
「私は神々を管理している宇迦之御魂大神です。稲荷と呼んで下さい。生まれたばかりの小さき神よ。そなたに"八峯乃海石榴"の名を与えましょう。」
名を与えられた神は自我を持った。
そして椿の木に囲まれた祠を中心に小さな社が建てられ「椿神社」と呼ばれるようになった。
数年後、再び日照りが続き人々は雨乞いをした。しかしなかなか雨が降らない。1人2人と犠牲者が出始めた頃、人々は身寄りのない子供を生贄として神に捧げることにした。
生贄にされた人間は神の伴侶か眷属にしなければならない。それは面倒だったので八峯乃海石榴は放置するつもりだった。
しかしたまたまやってきた稲荷が生贄を気に入り、自分の眷属にして雨を降らせた。
生贄は稲荷の狛狐となり天と名付けられた。
そしてなぜか狛狐は八峯乃海石榴が稲荷に頼んだことにより眷属になったと思い込んで懐かれてしまった。
特に訂正はしなかった。
しばらくして椿神社に年頃の娘が参拝に訪れ「想い人と結ばれますように」と祈った。そのころの八峯乃海石榴には参拝に来た人に"少し良いことが起こる"程度の力を持っていた。
元々お互いに恋仲だった娘と想い人は無事結ばれ、その噂を聞きつけた娘たちが山奥にも関わらず参拝に訪れ、椿神社は縁結びの神社として信仰を集めていった。
八峯乃海石榴は徐々に力をつけ、気まぐれに人々の願いを叶えた。
ある日、夜中にひっそりと参拝に訪れる娘がいた。
娘は良い所の出で、親から望まぬ縁談を持ちかけられていたので縁切りを神に祈った。
縁を切るのは縁を結ぶよりも簡単だった。
縁切りを叶えられた娘により噂は広がり、縁切りを願う参拝者も次第に増えていった。
しばらくして気付いたことだが、縁結びは「陽の力」で澄んでいて美しく、縁切りは「陰の力」で淀んで醜かった。
「陰の力」は八峯乃海石榴の好みではなかったので浄化することにした。
まずは「陰の力」を神社の外に追い出し、再び入ってこられないように結界を張った。
この結界は縁切りを望む参拝者も拒んだ。
次にこの地が温泉の湧き出る地形だったことを利用して社の裏に湯を導き「陰の力」を浄化できる神の力を注いだ。
その湯が心身ともに癒せることに気が付いた人々が簡易的な湯殿を作った。
それから長い間、人々の信仰が少しずつ薄れていくまで椿神社は神の湯殿に入れる聖地として祀られていったのである。
そして山に放った「陰の力」は山に立ち入った人々や山に住む動物たちに取り憑いたが、温泉に入ることによって浄化されるということを繰り返した。
「陰の力」を全て浄化するにはまだまだ長い時間を必要としていたが、確実に「陰の力」は消えていった。
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