カミサンオメガは番運がなさすぎる

ミミナガ

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(番外編)元、番たちのその後

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 本当はボクが八峯乃海石榴ヤツヲノツバキミコトの生贄になるはずだった。
 でもあの方は嫁も眷属も招くつもりはないと言った。だからきっと稲荷イナリ様にボクを眷属にするようお願いしてくれたんだ。
 ボクは稲荷イナリ様の狛狐こまぎつねだけど八峯乃海石榴ヤツヲノツバキミコトのお役に立てることがあるならばボクにできることは何でもしよう。

**********************
「我が嫁に対する不敬の言い訳は立つのだろうな?」
「申し開きのしようもございません。」

 ボクは八峯乃海石榴ヤツヲノツバキミコトが消滅することを防ぎたかった。
 でも生贄を受け入れて欲しかったわけではない。
 許せなかった。
 ボクはこの方の生贄になれなかったのに。
 山に潜む「陰の力」は縁切りだと知っていたのでカタセミツルにぶつけた。
 ところが縁を切るどころか再び結ばれてしまった。

 稲荷イナリ様に叱られてしまった。
 そして本来なら主人である稲荷イナリ様のめいでしか使ってはいけないボクの能力を八峯乃海石榴ヤツヲノツバキミコトに一度だけ使うようにと神同士で話し合われた。

 ボクの能力は「遠見とおみ」。距離が離れていても、時間が離れていても見たいものを見ることができる。
 ただし過去ははっきりと見られるが、未来は制限が多くあまり見ることはできない。

「ではおミツの過去のつがいどもを湯に写せ。おミツが許しても我は許さぬ。神の祟りをくれてやろう。」
椿ツバキ様、会ったこともない者をどうやって見るんじゃ?」

 いつも神社にいるカピバラが神と馴れ馴れしく会話する。

「我はおミツと再び縁が繋がった。そこから縁を辿ればよい。」

 そう言って八峯乃海石榴ヤツヲノツバキミコトはボクの能力を導いて温泉の表面に男の姿を写し出した。

 1人目の男の過去と未来を写し出す。
 男はカタセミツルとつがいを解消したあと、何人ものオメガと関係を持つが「運命のつがい」のフェロモンを忘れることができず一生喪失感を抱えて過ごすこととなる。

 2人目の男は浮気相手にも伴侶がいて、その相手がヤクザだった。
 どうなったかはお察しである。
 将来的には親とは縁を切られ、その上組織から足を洗えなくなっていた。

 3人目の男は運命のつがいと籍を入れ一緒に暮らし始めたものの家事はできない、浪費が激しい、仕事に理解のないオメガだったので一年も経たずに離婚をしてつがい解消。
 運命のつがいと離れたことで男は酒に溺れるようになり仕事にも支障が出て、のちのち地方の部署に異動することになる。

「なんじゃ。椿ツバキ様が手を掛けるまでもなく全員不幸になっておりますな。」
「カタセミツルは疫病神と契約でもしているのでは?」
「いや、おミツと"縁を結んで"不幸になったのではなく、"縁が切れた"から不幸になったが正しいな。」

 カタセミツルの持っている「縁の力」は非常に強く、周りの人にも良い縁をもたらすらしい。
 この元つがいたちも婚姻関係を続けていれば人との結び付きがより強固になっていただろう。
しかし⋯

「やはりおミツのえんを調整していて良かったな。」
「つまり椿ツバキ様の勝手で何人もの若者が不幸になったんじゃな。」
「人間が不幸になろうが我に関係ないだろう?人間で関心があるのはおミツのみだ。」

 本当に神様というのは傲慢で自分勝手だ。
 ただ、それが許されるから神なのだ。
 今回のことで本当ならボクは八峯乃海石榴ヤツヲノツバキミコトに消されていてもおかしくなかった。
 もしそうなったとしても稲荷イナリ様は気にもかけないだろう。
 稲荷イナリ様にとってボクは全国に大勢いる狛狐こまぎつねの中の一人にすぎないのだから。

「何もしないのはつまらないから
 "毛髪の縁"を切ってやろう。」
「鬼ですか。」
「神だが?」

 10年後、ボクはカタセミツルの元つがいたちの毛髪の具合を見るために、再び遠見とおみの力を使うよう呼び出されることになる。

終わり
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