4 / 67
第三話 アース・ドラゴンがやってきた
しおりを挟む
第三話 アース・ドラゴンがやってきた
「遠距離攻撃、開始!」
退役百人隊長フユレウスが、大声でそう命じた。
弓兵が、矢を放った。外壁の上から。
歓声をあげた。数名の女生徒が。
矢があたったからだ。アース・ドラゴンの一匹に。
だが、跳ね返った。矢が。アース・ドラゴンの背中にあたったのに。
だいぶ、皮が硬いようだ。
歓声は、失望のため息に変わった。
「頭を狙え!」
弓兵が、今度は頭部にあてた。
だが、跳ね返った。矢が。
アース・ドラゴンは、頭部も固いようだ。
フユレウスが、女生徒たちに視線を向けた。
「生徒諸君らも、魔法で攻撃せよ!」
「ムリよ! 矢だって跳ね返すんだから」
「そんなことはない。アース・ドラゴンといえども、しょせんは野獣。火炎魔法ならば、撃退できるはずだ」
「そんなこと言われても……」
毒薔薇姫が、口ごもった。
おそらく彼女は、火炎魔法を使えない。
王立魔法学園南校は、平民でも受験できるため、倍率が高い。毎回、百倍を超える。
だが、多額の賄賂を払った者は、裏口入学できる。毒薔薇姫は、裏口入学組のはずだ。
この異世界では、基本魔法は四種類だ。風、水、土、火だ。この順に、魔法の難易度が上がる。
そのため、魔法の試験では、不正が横行している。教師に賄賂さえ払えば、不正も見逃してもらえる。
南校の生徒で、誰もが本当に使えるのは、風魔法だけだろう。
風魔法は基本中の基本のため、攻撃には使えないと思われている。
攻撃に使うには、土魔法と組み合わせる方法が一般的だ。砂粒を風で敵の目に吹き付けるのだ。
風魔法は、それくらいしか使い道がないと、思われている。
そのときだった。
まじめそうな少女が、声をあげた。勇気を振り絞った顔で。
「みんな、ファイアー・ボールで攻撃するわよ」
彼女は、クラス委員長のアミーアだ。
「なにが、みんなだよ! 勝手に仕切ってんじゃねえ!」
人相の悪い美少女が、かすれ声で文句を言った。
彼女は、通称、サソリ姫。南区の繁華街を牛耳る犯罪組織サソリ団のボスが、実の父だと噂されている。不良少女グループを率いて、まじめな少女たちをいつもいじめている。
毒薔薇姫、毒蛇姫に次ぐクラスでナンバー・スリーの地位だ。
「ファイアー・ボール攻撃したいなら、あんただけでやれよ!」
たぶんサソリ姫も、本物の火炎魔法は使えない。
「わ、わかったわよ」
アミーアが、外壁から身を乗り出し、下を見た。
魔法詠唱を始めた。
十秒以上魔法詠唱を続けると、テニスボールほどの大きさの火球が出現した。
「燃やし尽くせ、魔法の火球、ファイアー・ボール!」
そう叫んだ。
その直後、高速でファイアー・ボールが落下した。
あたった。アース・ドラゴンの背中に。
だが平然と、アース・ドラゴンは登り続けた。外壁を。一歩ずつ。
女生徒たちが泣き叫んだ。
「アミーアの火炎魔法でも効かないなんて!」
一組では、魔法の成績は毒薔薇姫が一位だ。二位は毒蛇姫で、三位がサソリ姫だ。
もちろん、すべて賄賂の力によるものだ。
本当の魔法力クラス一位は、アミーアだと、みんな思っているのだ。
だがそのアミーアでも、通用しなかった。
絶望で、少女たちは再び泣き叫び始めた。
「遠距離攻撃、開始!」
退役百人隊長フユレウスが、大声でそう命じた。
弓兵が、矢を放った。外壁の上から。
歓声をあげた。数名の女生徒が。
矢があたったからだ。アース・ドラゴンの一匹に。
だが、跳ね返った。矢が。アース・ドラゴンの背中にあたったのに。
だいぶ、皮が硬いようだ。
歓声は、失望のため息に変わった。
「頭を狙え!」
弓兵が、今度は頭部にあてた。
だが、跳ね返った。矢が。
アース・ドラゴンは、頭部も固いようだ。
フユレウスが、女生徒たちに視線を向けた。
「生徒諸君らも、魔法で攻撃せよ!」
「ムリよ! 矢だって跳ね返すんだから」
「そんなことはない。アース・ドラゴンといえども、しょせんは野獣。火炎魔法ならば、撃退できるはずだ」
「そんなこと言われても……」
毒薔薇姫が、口ごもった。
おそらく彼女は、火炎魔法を使えない。
王立魔法学園南校は、平民でも受験できるため、倍率が高い。毎回、百倍を超える。
だが、多額の賄賂を払った者は、裏口入学できる。毒薔薇姫は、裏口入学組のはずだ。
この異世界では、基本魔法は四種類だ。風、水、土、火だ。この順に、魔法の難易度が上がる。
そのため、魔法の試験では、不正が横行している。教師に賄賂さえ払えば、不正も見逃してもらえる。
南校の生徒で、誰もが本当に使えるのは、風魔法だけだろう。
風魔法は基本中の基本のため、攻撃には使えないと思われている。
攻撃に使うには、土魔法と組み合わせる方法が一般的だ。砂粒を風で敵の目に吹き付けるのだ。
風魔法は、それくらいしか使い道がないと、思われている。
そのときだった。
まじめそうな少女が、声をあげた。勇気を振り絞った顔で。
「みんな、ファイアー・ボールで攻撃するわよ」
彼女は、クラス委員長のアミーアだ。
「なにが、みんなだよ! 勝手に仕切ってんじゃねえ!」
人相の悪い美少女が、かすれ声で文句を言った。
彼女は、通称、サソリ姫。南区の繁華街を牛耳る犯罪組織サソリ団のボスが、実の父だと噂されている。不良少女グループを率いて、まじめな少女たちをいつもいじめている。
毒薔薇姫、毒蛇姫に次ぐクラスでナンバー・スリーの地位だ。
「ファイアー・ボール攻撃したいなら、あんただけでやれよ!」
たぶんサソリ姫も、本物の火炎魔法は使えない。
「わ、わかったわよ」
アミーアが、外壁から身を乗り出し、下を見た。
魔法詠唱を始めた。
十秒以上魔法詠唱を続けると、テニスボールほどの大きさの火球が出現した。
「燃やし尽くせ、魔法の火球、ファイアー・ボール!」
そう叫んだ。
その直後、高速でファイアー・ボールが落下した。
あたった。アース・ドラゴンの背中に。
だが平然と、アース・ドラゴンは登り続けた。外壁を。一歩ずつ。
女生徒たちが泣き叫んだ。
「アミーアの火炎魔法でも効かないなんて!」
一組では、魔法の成績は毒薔薇姫が一位だ。二位は毒蛇姫で、三位がサソリ姫だ。
もちろん、すべて賄賂の力によるものだ。
本当の魔法力クラス一位は、アミーアだと、みんな思っているのだ。
だがそのアミーアでも、通用しなかった。
絶望で、少女たちは再び泣き叫び始めた。
45
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。
そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。
しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!
命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。
そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。
――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる