18 / 67
第2章第二話 氷姫登場
しおりを挟む
第2章第二話 氷姫登場
三十名強で、ゾロゾロと歩いて行った。南城壁第三十番砦へ。
最初は駆け足だったのだが、女生徒たちは、すぐにスタミナが切れてしまった。
当初いた場所から、南城壁第三十番砦までは、千五百メートルは、あるからだ。
三十名強のうち、二組と三組が約半分を占める。彼女たちの名前は、知らない。
一組は、毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫と、彼女たちの取り巻きたち。それに、副委員長のエメラルディアに、東方人系のルックスのシルキアだ。
いじめられっ子のシルキアが、なぜ救援部隊に志願したのかは、不明だ。
念のため、小声で尋ねてみた。
「南城壁は危険かもしれないけど、だいじょうぶ?」
「べつに、あなたに助けてもらおうなんて、思ってないからね!」
いつものように、ツンツンしていた。
最初に声をかけたのは、入学後、最初の授業日の休み時間だった。
日本人のようなルックスだったので、声をかけた。日本語で。
「あたし東方語なんて、話せないわ。なぜなら、王都生まれの王都育ちだから」
冷たく、そう答えた。シルキアが。王国の公用語である中央語で。
次の日、紙に「五十嵐 十吉郎」と書いて持って行った。
紙を見せながら、尋ねた。
「読める漢字は?」
「読めないわよ! あたしの母は王都生まれの王都育ちで、父とは一度も会ったことがないんだからね!」
それ以降、何回か声をかけたが、いつもツンツンしている。トッキロに対して。
本当に嫌がっているのかもしれないと思い、たまにしか声をかけないようにしている。
シルキアも含めてだが、一組の面々は、どの程度の魔法力があるのか、正直心配だ。
水魔法で役にたちそうなのは、エメラルディアくらいだろうか。
一方、二組と三組の女生徒たちは、一定の魔法力があるはずだ。ウオーター・ボールの水補給くらいなら、充分にできるはずだ。
たしかに助かった。ウオーター・ボールの水補給は。
戦いながら、水魔法で水の補給をするのは、大変だからだ。
一度に二つの魔法の実行は、できないことはない。
だが、集中力が乱れると、どちらも失敗してしまう。
まだ異世界に来て三ヶ月ほどだ。魔法の修行は、まだ道半ばなのだ。
魔法力については、異世界転移魔方陣を使えたほどだから、普通の異世界人よりも、はるかに大きな魔法力を持っていた。
けれども、異世界転移を一回しただけで、魔法力がだいぶ減少したようだ。
だから、日本に帰れない。
もう一回異世界転移するための魔法力を貯めるには、どうすればいいのか。
それを探るために、王立魔法学園南校に入学した。先月の七月一日に。
それなのに、入学後約一ヶ月で、魔王軍と戦うことになってしまった。
第三十番砦が、見えてきた。
絶句した。女生徒たちが。
「何十匹いるのよ!」
毒薔薇姫が仰天した。
アース・ドラゴンの群れが、第三十番砦に群がっていた。
第三十番砦は、石造りの三階建てだ。屋上までの高さは、十メートルほどか。
石造りの砦には、各階の上部に、明かり取りの窓があるようだ。横長の細い窓なので、アース・ドラゴンはもちろん、人間も侵入できないほどの細さだ。
その細い窓に、アース・ドラゴンは、捕食用の長い舌を入れている。
各階とも。
そのため、砦の外壁にビッシリと、アース・ドラゴンが張り付いている。
三階の明かり取り窓に捕食舌を入れている複数のアース・ドラゴンは、前の手を壁に掛け、後ろ足だけで立っている状態だ。
その後方から、二階の明かり取り窓に、捕食舌を伸ばしているアース・ドラゴンが何匹もいる。
よく見ると、一階にあるドアが、破壊されている。
そのドアは、アース・ドラゴンには小さすぎて、侵入できない。
そこで複数のアース・ドラゴンが、ドアからも捕食用の長い舌を入れている。
さらに、砦の屋上にも、数匹のアース・ドラゴンがいる。
どうやら、天井窓から捕食舌を入れているようだ。
そのときだった。
兵士の絶叫が聞こえた。天井窓から。
一人の兵士が、屋上のアース・ドラゴンに捕らえられた。
長い舌で絡め取られたあと、空中に放り投げ出された。
重力を使って、丸呑みするためだ。
そのときだった。
「氷結!」
そう、叫ぶのが聞こえた。少女の声だ。
その瞬間、凍りついた。アース・ドラゴンの捕食用の長い舌が。
兵士が天井窓から階下に転落した。アース・ドラゴンに喰われることなく。
だが、次の瞬間だった。
別のアース・ドラゴンが、空中に放り投げた。一人の甲冑騎士を。
その騎士が叫んだ。長剣を振り抜いて。
「氷結!」
アース・ドラゴンの頭部が凍った。
甲冑騎士が、屋上に着地した。
彼女が、氷結魔法剣の使い手、氷姫に違いない。
だが氷姫は、屋上でアース・ドラゴンの群れに包囲された。たった一人で。
三十名強で、ゾロゾロと歩いて行った。南城壁第三十番砦へ。
最初は駆け足だったのだが、女生徒たちは、すぐにスタミナが切れてしまった。
当初いた場所から、南城壁第三十番砦までは、千五百メートルは、あるからだ。
三十名強のうち、二組と三組が約半分を占める。彼女たちの名前は、知らない。
一組は、毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫と、彼女たちの取り巻きたち。それに、副委員長のエメラルディアに、東方人系のルックスのシルキアだ。
いじめられっ子のシルキアが、なぜ救援部隊に志願したのかは、不明だ。
念のため、小声で尋ねてみた。
「南城壁は危険かもしれないけど、だいじょうぶ?」
「べつに、あなたに助けてもらおうなんて、思ってないからね!」
いつものように、ツンツンしていた。
最初に声をかけたのは、入学後、最初の授業日の休み時間だった。
日本人のようなルックスだったので、声をかけた。日本語で。
「あたし東方語なんて、話せないわ。なぜなら、王都生まれの王都育ちだから」
冷たく、そう答えた。シルキアが。王国の公用語である中央語で。
次の日、紙に「五十嵐 十吉郎」と書いて持って行った。
紙を見せながら、尋ねた。
「読める漢字は?」
「読めないわよ! あたしの母は王都生まれの王都育ちで、父とは一度も会ったことがないんだからね!」
それ以降、何回か声をかけたが、いつもツンツンしている。トッキロに対して。
本当に嫌がっているのかもしれないと思い、たまにしか声をかけないようにしている。
シルキアも含めてだが、一組の面々は、どの程度の魔法力があるのか、正直心配だ。
水魔法で役にたちそうなのは、エメラルディアくらいだろうか。
一方、二組と三組の女生徒たちは、一定の魔法力があるはずだ。ウオーター・ボールの水補給くらいなら、充分にできるはずだ。
たしかに助かった。ウオーター・ボールの水補給は。
戦いながら、水魔法で水の補給をするのは、大変だからだ。
一度に二つの魔法の実行は、できないことはない。
だが、集中力が乱れると、どちらも失敗してしまう。
まだ異世界に来て三ヶ月ほどだ。魔法の修行は、まだ道半ばなのだ。
魔法力については、異世界転移魔方陣を使えたほどだから、普通の異世界人よりも、はるかに大きな魔法力を持っていた。
けれども、異世界転移を一回しただけで、魔法力がだいぶ減少したようだ。
だから、日本に帰れない。
もう一回異世界転移するための魔法力を貯めるには、どうすればいいのか。
それを探るために、王立魔法学園南校に入学した。先月の七月一日に。
それなのに、入学後約一ヶ月で、魔王軍と戦うことになってしまった。
第三十番砦が、見えてきた。
絶句した。女生徒たちが。
「何十匹いるのよ!」
毒薔薇姫が仰天した。
アース・ドラゴンの群れが、第三十番砦に群がっていた。
第三十番砦は、石造りの三階建てだ。屋上までの高さは、十メートルほどか。
石造りの砦には、各階の上部に、明かり取りの窓があるようだ。横長の細い窓なので、アース・ドラゴンはもちろん、人間も侵入できないほどの細さだ。
その細い窓に、アース・ドラゴンは、捕食用の長い舌を入れている。
各階とも。
そのため、砦の外壁にビッシリと、アース・ドラゴンが張り付いている。
三階の明かり取り窓に捕食舌を入れている複数のアース・ドラゴンは、前の手を壁に掛け、後ろ足だけで立っている状態だ。
その後方から、二階の明かり取り窓に、捕食舌を伸ばしているアース・ドラゴンが何匹もいる。
よく見ると、一階にあるドアが、破壊されている。
そのドアは、アース・ドラゴンには小さすぎて、侵入できない。
そこで複数のアース・ドラゴンが、ドアからも捕食用の長い舌を入れている。
さらに、砦の屋上にも、数匹のアース・ドラゴンがいる。
どうやら、天井窓から捕食舌を入れているようだ。
そのときだった。
兵士の絶叫が聞こえた。天井窓から。
一人の兵士が、屋上のアース・ドラゴンに捕らえられた。
長い舌で絡め取られたあと、空中に放り投げ出された。
重力を使って、丸呑みするためだ。
そのときだった。
「氷結!」
そう、叫ぶのが聞こえた。少女の声だ。
その瞬間、凍りついた。アース・ドラゴンの捕食用の長い舌が。
兵士が天井窓から階下に転落した。アース・ドラゴンに喰われることなく。
だが、次の瞬間だった。
別のアース・ドラゴンが、空中に放り投げた。一人の甲冑騎士を。
その騎士が叫んだ。長剣を振り抜いて。
「氷結!」
アース・ドラゴンの頭部が凍った。
甲冑騎士が、屋上に着地した。
彼女が、氷結魔法剣の使い手、氷姫に違いない。
だが氷姫は、屋上でアース・ドラゴンの群れに包囲された。たった一人で。
37
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。
そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。
しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!
命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。
そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。
――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる