世界の終わりにキミと

やすらぎ

「へえ、近くにこんなスーパーがあるんですね。

すごく便利。」


ヒカルは、入口のところで買い物かごをカートにセットしながら、店内を覗き込んだ。


「いつも、仕事行く前に菜々と二人で買い物に来てんねん。

なあ、菜々。」



「ごめんね。

色々と迷惑かけて。

ホントは働いてない私がこういうことは全部やらなきゃいけないんやけど。」


菜々は申し訳なさそうに兄に向かって言った。


「おいおい、何を言うてんねん。

お前らしないなあ。

どんどんこき使ったってくれや。

さあ、買い物するど。」

渚がそう言って店内に入っていくと


「はーい」


ヒカルは笑って返事をして、菜々と後に付いていった。



朝昼兼用の食事の材料、夕食の材料

明日明後日の分まで買い揃えたために、大量の荷物になってしまうと、渚が二袋、ヒカルが一袋を手に持ち、ヒカルの腕に手を添えるようにして菜々がその後を歩いて帰宅した。



「それじゃあ、作るか。」



「ヒカルさん

いつも兄がご飯を作ってくれてるんです。」


キッチンに入る渚を見つめるヒカルに、菜々が申し訳なさそうに言った。


「あの、ワタシも手伝います。」



「いいよ、ヒカルちゃん。

菜々の相手をしてやって。」



「はい。

ホントは料理が苦手なんです…」

ヒカルは、申し訳なさそうに言った。



「そんなん、記憶ないんやし、料理も出来てたやつも忘れてんとちゃう？」


渚はそう言ったが、ヒカルはバツが悪そうな顔をして首を横に振った。