鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

死闘の末に

「もう…ここまで来たら、まどかにすべてを賭けるしかない。」

監督の木本は、もはや、自分がすべきことは一切ないと考え、コート上のまどかをはじめとする選手達を祈るような目で見つめるだけだった。

佐藤校長も高山もその思いは同じで、緊張感に包まれながら、最終セットの攻防を見つめていた。


古川恵美梨、新田まどか共に、ここに来て最高の状態となっており、面白いようにスパイクを叩きこんだ。

つまり、サーブのボールをレシーブし、セッターに回すと、セッターから上げられたボールを両チームのエースアタッカーが完璧に決めるという構図になっており、どちらも差を付けられず、拮抗した最終セットとなった。


そして、両チームの監督が予想していた通り、14－14のデュースとなり、どちらかが2点差を付けるまで終わらない、いわゆるデスマッチに移行した。


「あーっ、もう

こんな展開、心臓に悪すぎますよ。」

佐藤は泣きそうな顔で高山に言ったが、当の高山は涼しい顔をして、ニヤッと笑った。

「これは名勝負ですよ。

まさか高校生の女子バレーで、ここまで力強くて拮抗した試合が見られるなんて、思ってもみませんでした。

しかも、私が開発した薬で、こういう状況を作り出せたことについては、科学者冥利に尽きますよ。」


高山の第三者的な発言は、佐藤をイラつかせ、殴ってやりたい心境に陥らせた。