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願い
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向かい側に座らされたまどかに、高山の横に座る佐藤が、笑みを浮かべながら話し出した。
「新田さん、今年のバレー部の状態はどうですか?」
「はい。みんな気合いが入ってて、コンディションも良いです。」
「いや、私が聞きたいのは、県の予選を勝ち抜いて全国大会に出られるかって事ですよ。」
佐藤の顔から笑みが消え、少し言葉尻がキツくなった。
「もちろんそのつもりでやっています!」
カチンときたまどかは、声を荒げてそう答えた。
だが、佐藤はそれに臆する事なく続けた。
「我が鐘ヶ岡学園は古くから女子バレーボール部の名門として、全国大会で二度の優勝の他、輝かしい成績を上げてきました。
しかし、ここ最近は紅陽学院に地区予選の決勝で負け続け、六年連続で全国行きの切符を手にする事が出来ていないのは、新田さんも承知だと思う。」
「…」
「私が聞きたいのはねえ、新田さん
今年こそは紅陽を倒して全国に行けますか?って事なんですよ。」
この言葉に、まどかは感情的になってしまった。
「そんな事やってみなきゃわかりません。
ですが、誰も負けるつもりで苦しい練習をしているわけじゃないんです。
みんなで力を結集して、紅陽を必ず倒して見せます。」
「いやいや、根性論は要らないんですよ、新田さん」
「はっ?」
「新田さんには関係ない話だがね、今、日本は少子化に拍車がかかって、子供の数が減り続けている。
我々のような私立高校は生徒集めに四苦八苦しているのが現状なんですよ。
どこの学校も共学にして生徒数の確保に躍起になっているが、ウチは理事長の方針で男子に門戸を開放しない事になっているんです。
そんな中で生徒を集めるには、一流大学への進学率を上げるか、スポーツで立派な成績を上げるしかない。
進学率の方は頑張ってはいるが、一朝一夕で劇的に変わるものでもない。
だとすれば、スポーツで結果を出す…これしか道はないんですよ。
ウチの学園で一番可能性があるのがバレー部だというのは誰も疑いのないところでね
こういった事情もあって、どうしても勝ってもらわないと我々も困るんですよ、非常にね」
長々と佐藤の演説を聞いたまどかは、呆れた表情で
「そんな話は私達には何の関係もないじゃないですか。
練習がありますので、失礼します!」
と、吐き捨てるように言って立ち上がった。
「新田さん、待って下さい。
私の話を少しだけ聞いてもらえますか。」
さっきからずっと黙っていた高山がここでようやく口を開いた。
「新田さん、今年のバレー部の状態はどうですか?」
「はい。みんな気合いが入ってて、コンディションも良いです。」
「いや、私が聞きたいのは、県の予選を勝ち抜いて全国大会に出られるかって事ですよ。」
佐藤の顔から笑みが消え、少し言葉尻がキツくなった。
「もちろんそのつもりでやっています!」
カチンときたまどかは、声を荒げてそう答えた。
だが、佐藤はそれに臆する事なく続けた。
「我が鐘ヶ岡学園は古くから女子バレーボール部の名門として、全国大会で二度の優勝の他、輝かしい成績を上げてきました。
しかし、ここ最近は紅陽学院に地区予選の決勝で負け続け、六年連続で全国行きの切符を手にする事が出来ていないのは、新田さんも承知だと思う。」
「…」
「私が聞きたいのはねえ、新田さん
今年こそは紅陽を倒して全国に行けますか?って事なんですよ。」
この言葉に、まどかは感情的になってしまった。
「そんな事やってみなきゃわかりません。
ですが、誰も負けるつもりで苦しい練習をしているわけじゃないんです。
みんなで力を結集して、紅陽を必ず倒して見せます。」
「いやいや、根性論は要らないんですよ、新田さん」
「はっ?」
「新田さんには関係ない話だがね、今、日本は少子化に拍車がかかって、子供の数が減り続けている。
我々のような私立高校は生徒集めに四苦八苦しているのが現状なんですよ。
どこの学校も共学にして生徒数の確保に躍起になっているが、ウチは理事長の方針で男子に門戸を開放しない事になっているんです。
そんな中で生徒を集めるには、一流大学への進学率を上げるか、スポーツで立派な成績を上げるしかない。
進学率の方は頑張ってはいるが、一朝一夕で劇的に変わるものでもない。
だとすれば、スポーツで結果を出す…これしか道はないんですよ。
ウチの学園で一番可能性があるのがバレー部だというのは誰も疑いのないところでね
こういった事情もあって、どうしても勝ってもらわないと我々も困るんですよ、非常にね」
長々と佐藤の演説を聞いたまどかは、呆れた表情で
「そんな話は私達には何の関係もないじゃないですか。
練習がありますので、失礼します!」
と、吐き捨てるように言って立ち上がった。
「新田さん、待って下さい。
私の話を少しだけ聞いてもらえますか。」
さっきからずっと黙っていた高山がここでようやく口を開いた。
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