鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン

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「私は鐘ヶ岡大学の薬学部の客員教授をしていましてね、製薬会社との共同研究をしたりして、それなりの成果を上げています。」

高山も、佐藤同様にバレーボールとは直接関係のない話をし始めた為、まどかの苛立ちはピークに達した。

「あの、ホントに練習があるので、失礼します!」

「いやいや、もう少しだけ聞いてくれますか。

本題に入りますのでね


新田さん、我々は最近、或る薬を開発しました。
その薬の効能を簡単に申し上げると、体を元気にするものなんです。

どうでしょう、その薬のモニターになってみる気はありませんか?」


「えっ…」


「失礼だが、新田さん
あなたはスパイカーとしては致命的に背が低い

身長は何センチですか?」


「…171です」


「最高到達点は?」


「301です」

「ほう、それは立派だ。
低い身長を類稀な身体能力で補っているんですね。」

「背が低い事はどうにもなりませんし、練習で打点を上げられるように努力はしています。
特にハンデを感じたことはありません。」

「たしか、紅陽のエースは187センチあるらしいですね

古川さんでしたっけ

あなたと中学の時はライバルだったみたいですけど、まあ、中学の時は技術で誤魔化せたかもしれないが、高校では、上背が無い選手は中々厳しい。」


「よく知ってますね、バレーボールの選手の事を。
だからどうしろと?」

「先ほどから申し上げている通り、私達が開発した薬のモニターになってみませんか?
と、いうことですよ。簡単な話です」


「私にドーピングをしろということですか?」


「そんな不正を未成年に勧めるわけないじゃないですか。

これはあくまで体を元気にしたりする薬で、栄養ドリンクのようなものと思ってくれれば間違いないです。」


「栄養ドリンク?
そんなフツーのものをわざわざ私にモニターになってくれって?
何かあるんですか?」

「いや、理事長からも以前から依頼をされていましてね、この薬の事を。
ただ、これを普通に流通させては、ライバル達の手にも渡ってしまうので意味がない。
どうしても発売前に鐘ヶ岡高校のメンバーに使って欲しかったんです。」

「…」

「こういうものは、国の審査を受けて、安全性や有効性を証明し、許可を得なければならないんです。
そんな事をしてたら今年の予選に間に合わないし、先ほども言ったように、一般流通させてしまっては意味がない。」

まどかは高山の言葉に、少し考える素振りを見せたが、すぐに首を横に振り

「やはり、そんなものに頼る事は出来ません。

失礼します」

立ち上がって頭を下げた。
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