鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

一進一退

自分に回ってきたボールは確実に決め合うまどかと恵美梨。

焦りが出た方が負ける…

両監督の木本と藤井はそう感じつつ試合を見守った。

だが、焦りを感じていたのは恵美梨の方だった。
まどかのスパイクは自分が知るレベルのものではなく、いつの間にこのような…と、迫り来る焦燥感と戦っていた。

まどかと恵美梨は中学時代、同じチームに所属し、地元でも有名な天才少女としてその名を知らしめていた。

中学一年から二年の途中まではまどかの方が上で、恵美梨は後塵を拝していたが、そこから身長の伸びもあって、急激に恵美梨は上達。
身長の伸びが止まってしまったまどかをあっさりと逆転したのだった。

勿論、本人の弛まぬ努力の賜物でここまでのし上がってきたが、それでも、まどかの才能についてはいつも畏れを抱いていた。

そして、今
その畏れていた事が現実として自身にのしかかってきているのだ。

技術に加え、力強さを兼ね備えたまどかの攻撃は、あまりにも強力で、百戦錬磨の紅陽の選手達をもってしても封じ込める事は不可能だった。

そんな中、恵美梨は自分に上がったボールは確実に決め、得点を重ねっていった。

まどかもまた、どんな体勢からも力強い球を打ち抜き、取りこぼしをしなかった。

そのプレッシャーに影響されたのか、紅陽側が第3セット後半にミスを連発
結局このセットは鐘ヶ岡が25-22で取り、セットカウントを2-1とした。