鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

収穫

試合が終わった。

結局、その後に紅陽が2セットを連取し、セットカウント3-2で辛勝したのである。


両校が健闘を讃え合いながらタッチをしたが、その表情は対照的で、負けた鐘ヶ岡には笑顔が見られ、勝った紅陽は誰一人笑みをこぼす者はなく、悲壮感すら漂っていた。


木本は、結局まどかを隠さず、全力で行かせた事に多少の後悔はあったが、あの紅陽にあと一歩まで迫ったという自信が選手達についた事で、決してマイナスではなかったと確信した。


対する藤井はノーマークだった地区予選に、鐘ヶ岡が脅威となり得る存在だということがはっきりした為、至急に対策を打たなければならなくなった。




鐘ヶ岡の躍進はさらなる副産物も生んだ。

地元テレビ局が紅陽の密着取材をしていたのだが、取材スタッフ達にまどかの存在が知られてしまったのだ。

中学時代はそれなりにメディア露出があり、今も根強いファンを持つまどかであったが、鐘ヶ岡学園の低迷もあって、一般層の認知度は大幅に下がっていた。

それが、練習試合とはいえ、王者である紅陽と互角の戦いを見せ、まどか自身はこの試合で恵美梨よりも活躍していた。


一気に注目を集めるようになったまどかであったが、元々はメディアなどに取り上げられる事を良しとしておらず、またカラダの秘密の事もあり、動揺の色を隠せなかった。