鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

桃園の誓い

就寝時間となり、皆疲れていたのか、早々に寝てしまった。

しかし、バレー部のトップ3、まどか、麻由香、陽菜の三人は、部屋を抜け出し、トレーニングルームに集まっていた。


ここに呼び出したのは陽菜で、まどかと麻由香は、呼び出された理由を当然わかった上で、ここにやってきていた。

まどかはともかく、これまでキツイ言い方でまどかの怠慢を責めてきた麻由香は、今となっては180度状況が変わってしまい、元気をなくし、肩を落として項垂れるだけだった。

当然、発言するのは陽菜からであった。


「まどかにも来てもらったけど、私が話をしたいのは、麻由香

アンタよ。」

麻由香は、声を発する事が出来ず、ただ頷くだけだった。


「言いたい事は、わかってると思うけど。


麻由香、アンタ一体どういうつもりなの？

毎晩、ここで何してんのよ！
私にもわかるように説明してくんない？」



「それは…」


麻由香は泣きそうな表情となり、チラッとまどかの方を見て、すぐにまた俯いた。


「まあ、いいわ。
何をしてるかなんて、わかりきった事だから。

まどかの弱みにつけ込んで、自分の欲求不満の解消をしたんでしょ？

それって監督とやってる事一緒じゃん。」



「ごめんなさい…」


「ウチらは、鐘ヶ岡が低迷期を脱するための最後の希望だって言われてたの忘れた？

まどかがこんな体になったのも、プレッシャーを感じてたからなんだよ。

わかる？

それをアンタや監督は、自分の欲求のために利用した。

だから、許せないの！

もし、ウチが地区予選で負けるような事があったら…

私は、麻由香、アンタのことを一生許さない。」


バレーの実力があり、仲も良かった三人が、崩壊の危機を迎えている。

まどかが手に入れた超人的な能力が、そのきっかけになるとは、皮肉なものとしか言えなかった。

たしかに、麻由香は、自身の欲求に負け、毎夜まどかを求めて、この部屋に連れ込んでいる。
それは、事実だ。

しかし、全部を自分のせいにされるのは違うと感じた麻由香は、思わず反論した。


「でも、まどかがスゴイ力を手に入れたとはいえ、紅陽に勝つのは至難の業よ。

実際に練習試合でも負けたじゃない…」


「麻由香、アンタを殴りたいわ。

やれるだけの事をやって、それでも勝てなかったら、それはそれで仕方ないわ。

私も諦めるわ。

でも、アンタがらやってる事は、まどかのコンディションをめちゃくちゃにして、単に足を引っ張っている。

そうじゃない？

何か言い訳出来る？

出来るなら言ってみなさいよ！」


陽菜の怒りは収まるどころか、益々ヒートアップしていき、収拾が付かなくなってしまっていた。