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檄
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「麻由香、陽菜」
第3セットに臨むため、コートに向かう二人をまどかが呼び止め、二、三言、会話を交わした。
優香は、少し離れていたので、どんな話をしているのか、全くわからなかったが、麻由香も陽菜も神妙な顔でまどかの話を聞き、小さく頷いていた。
キャプテンとして、弛んだ二人を叱咤してくれたのかもしれない…
優香は、このセットは、まどかを信じてみようと、心に誓った。
まどかのサーブから第3セットが始まった。
拾いにくいボールだったが、相心は器用に拾って繋ぎ、前衛からの強烈なスパイクが鐘ヶ岡に向かって放たれた。
マークがずれてブロックに行けなかったが、麻由香が体勢を崩しながらもレシーブし、何とかボールを上げた。
優香は、ややマイナス方向にふわりとしたトスを上げた。
ボールが床を叩く強烈な音がし、鐘ヶ岡に一点目が入った。
全てが完璧なまどかのバックアタックだった。
優香は、まどかが踏み切ってからジャンプ、そして、ボールを打って着地するまでの動きが、何故かスローで見えた。
ひょっとして、自分は、ゾーンに入っている?
いや、違う…
まどかが放ったバックアタックが、あまりにも完璧で美しかったため、単純に優香が見惚れて心を奪われてしまっただけだった。
これだ!
私が待っていたのは、先輩達のこの姿なのだ!
優香は、全身に鳥肌が立つような感覚に襲われ、メンバーに手を叩きながら声をかけた。
第3セットを25-14で取り、再びリードした鐘ヶ岡は、続く第4セットも25-12で連取し、終わってみれば完勝と言っても言い過ぎではないほどのの結末を迎えた。
まどかが第3セットからハマりだし、麻由香と陽菜も復調した。
優香は、自分だけイライラし、チームの和を乱しそうになった事を反省し、今は皆と勝利を分かち合おうと思った。
「後半のウチの攻撃は完璧でしたね。」
部長の山口は、興奮冷めやらぬ表情で、木本に言った。
「私が就任してから、予選で当たる事、実に三回。
そして、今年で四回目。
全て勝ってはいるが、どれもフルセットに持ち込まれての辛勝だった。
まあ、今日くらいの試合をしたら、褒めてあげてもいいけど。」
いつも辛辣なことしか言わない木本が、珍しく選手達を褒めたのである。
山口は、少し驚いて、木本の顔を覗き込んだが、何故か木本は寂しげな表情で、喜び合うまどか達を見つめていた。
第3セットに臨むため、コートに向かう二人をまどかが呼び止め、二、三言、会話を交わした。
優香は、少し離れていたので、どんな話をしているのか、全くわからなかったが、麻由香も陽菜も神妙な顔でまどかの話を聞き、小さく頷いていた。
キャプテンとして、弛んだ二人を叱咤してくれたのかもしれない…
優香は、このセットは、まどかを信じてみようと、心に誓った。
まどかのサーブから第3セットが始まった。
拾いにくいボールだったが、相心は器用に拾って繋ぎ、前衛からの強烈なスパイクが鐘ヶ岡に向かって放たれた。
マークがずれてブロックに行けなかったが、麻由香が体勢を崩しながらもレシーブし、何とかボールを上げた。
優香は、ややマイナス方向にふわりとしたトスを上げた。
ボールが床を叩く強烈な音がし、鐘ヶ岡に一点目が入った。
全てが完璧なまどかのバックアタックだった。
優香は、まどかが踏み切ってからジャンプ、そして、ボールを打って着地するまでの動きが、何故かスローで見えた。
ひょっとして、自分は、ゾーンに入っている?
いや、違う…
まどかが放ったバックアタックが、あまりにも完璧で美しかったため、単純に優香が見惚れて心を奪われてしまっただけだった。
これだ!
私が待っていたのは、先輩達のこの姿なのだ!
優香は、全身に鳥肌が立つような感覚に襲われ、メンバーに手を叩きながら声をかけた。
第3セットを25-14で取り、再びリードした鐘ヶ岡は、続く第4セットも25-12で連取し、終わってみれば完勝と言っても言い過ぎではないほどのの結末を迎えた。
まどかが第3セットからハマりだし、麻由香と陽菜も復調した。
優香は、自分だけイライラし、チームの和を乱しそうになった事を反省し、今は皆と勝利を分かち合おうと思った。
「後半のウチの攻撃は完璧でしたね。」
部長の山口は、興奮冷めやらぬ表情で、木本に言った。
「私が就任してから、予選で当たる事、実に三回。
そして、今年で四回目。
全て勝ってはいるが、どれもフルセットに持ち込まれての辛勝だった。
まあ、今日くらいの試合をしたら、褒めてあげてもいいけど。」
いつも辛辣なことしか言わない木本が、珍しく選手達を褒めたのである。
山口は、少し驚いて、木本の顔を覗き込んだが、何故か木本は寂しげな表情で、喜び合うまどか達を見つめていた。
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