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司令塔
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試合後、学校に戻ってきたバレーボール部員達は、いつものように監督の木本からのダメ出しがあるかと思いきや
「3セット目からはリズム良く攻撃できてたと思う。
ウチの強みは粘り。
繋いで繋いで、最後にまどかが決める。
これが出来たからこそ、勝てたんだよ。
次もこの感覚を忘れないように!」
珍しく、木本は、部員達に向かって、今日の健闘を讃えた。
その後の選手だけのミーティングでは、麻由香と陽菜が前半における、自身の不甲斐ない戦いぶりを恥じ、そして謝罪した。
だが、三年の中心選手である麻由香と陽菜に意見出来る人間は存在せず、全員がその謝罪を受け入れた。
優香も勿論、その一人であった。
そこで解散となり、それぞれが部室に戻っていこうとしたが…
「優香、ごめん
少しだけ練習に付き合ってくれない?」
と、まどかから居残り練習に付き合うよう要請された。
セッターであるまどかは、これまでも度々、まどかにスパイク練習の手伝いを頼まれており、まどかのストイックさに憧れを抱いていた彼女は、いつも二つ返事で応えていた。
しかし、まどかが性転換してからは、その激しすぎる性処理活動の疲労で、肝心のバレーボールの練習が疎かになるという、本末転倒な事に陥り、最近は指名されることがほぼなくなっていたのだ。
体育館に二人きりとなったまどかと優香は、これまで何度もしてきたように、まどかがボールを送り、優香がトスを絶妙な位置に上げ、それを走り込んできたまどかがスパイクするという練習を始めた。
一年生からレギュラーとなり、天才セッターと呼ばれている優香は、まどかの一番欲しい高さにボールを完璧なタイミングで上げていった。
それを気分良く十球ほど打ち込んだまどかは、手でストップするように、優香に合図を送った。
「ちょっと休憩しよ」
「はい。」
まどか用のタオルを取りに行こうとする優香に、大丈夫だと言い、自分の方に手招きをした。
優香は、いつもと違うシチュエーションに、若干の緊張感を持って近づいていったが、そこで、まどかから思わぬ言葉をかけられた。
「優香、イライラさせちゃってごめんね…」
と、いう言葉を。
「えっ、いえ…」
「試合中にさあ、優香がワタシや麻由香、陽菜を見てイラついてるなあって思ってたんだよ。」
「あの、いえ…」
「いいのよ。
アンタが怒るのも無理のないことだから。
それくらいワタシら三人はダメだったからね。」
優香は、まどかの言葉に何も反応出来ず、直立不動で聞くしかなかった。
「3セット目からはリズム良く攻撃できてたと思う。
ウチの強みは粘り。
繋いで繋いで、最後にまどかが決める。
これが出来たからこそ、勝てたんだよ。
次もこの感覚を忘れないように!」
珍しく、木本は、部員達に向かって、今日の健闘を讃えた。
その後の選手だけのミーティングでは、麻由香と陽菜が前半における、自身の不甲斐ない戦いぶりを恥じ、そして謝罪した。
だが、三年の中心選手である麻由香と陽菜に意見出来る人間は存在せず、全員がその謝罪を受け入れた。
優香も勿論、その一人であった。
そこで解散となり、それぞれが部室に戻っていこうとしたが…
「優香、ごめん
少しだけ練習に付き合ってくれない?」
と、まどかから居残り練習に付き合うよう要請された。
セッターであるまどかは、これまでも度々、まどかにスパイク練習の手伝いを頼まれており、まどかのストイックさに憧れを抱いていた彼女は、いつも二つ返事で応えていた。
しかし、まどかが性転換してからは、その激しすぎる性処理活動の疲労で、肝心のバレーボールの練習が疎かになるという、本末転倒な事に陥り、最近は指名されることがほぼなくなっていたのだ。
体育館に二人きりとなったまどかと優香は、これまで何度もしてきたように、まどかがボールを送り、優香がトスを絶妙な位置に上げ、それを走り込んできたまどかがスパイクするという練習を始めた。
一年生からレギュラーとなり、天才セッターと呼ばれている優香は、まどかの一番欲しい高さにボールを完璧なタイミングで上げていった。
それを気分良く十球ほど打ち込んだまどかは、手でストップするように、優香に合図を送った。
「ちょっと休憩しよ」
「はい。」
まどか用のタオルを取りに行こうとする優香に、大丈夫だと言い、自分の方に手招きをした。
優香は、いつもと違うシチュエーションに、若干の緊張感を持って近づいていったが、そこで、まどかから思わぬ言葉をかけられた。
「優香、イライラさせちゃってごめんね…」
と、いう言葉を。
「えっ、いえ…」
「試合中にさあ、優香がワタシや麻由香、陽菜を見てイラついてるなあって思ってたんだよ。」
「あの、いえ…」
「いいのよ。
アンタが怒るのも無理のないことだから。
それくらいワタシら三人はダメだったからね。」
優香は、まどかの言葉に何も反応出来ず、直立不動で聞くしかなかった。
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