鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン

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天秤棒

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「この前、みんなの前で話した通り、私は、運動能力を上げる為に性転換をしたの。」


「はい」


「そのおかけで強い球をスパイク出来るようになった。
でも、薬の副作用で、異常性欲っていうものになってて、その解消の為に麻由香や陽菜を犠牲にしてしまったの。」


「…」


「優香にとったら、自分が全てを賭けて臨んでる大会に、弛んだ選手がいるのは、腹が立って仕方がない事だと思うんだけど…

悪いのは全て私なの。

だから、あの二人を責めないであげて。」


「いえ…私は…」


「優香と私は、もう二年も一緒にプレイしてるんだよ。
あなたが考えている事を瞬時に理解出来ないと、良いバレーボールは出来ない。

でも、あなたの才能と努力のおかげで、私らの気持ちは一つになれたと思う。

だから、今日、あなたが私、麻由香、陽菜に対して腹を立てているって事は、すぐにわかったわ。」


「…」



「ごめんね。優香
あなたに、そんな思いさせて。

それだけを言いたくて、疲れてるのに残ってもらったの。」


「キャプテン…」


目の前に立つまどかに、そう声をかけられると、優香は、涙をポロポロこぼしながら、顔を手で覆った。


「どうしたの…優香…」


「うっ…すいません…

謝らなきゃいけないのは私の方です…

中学…のとき、ホントは紅陽に行こうと…思ってたんですけど…

まだ高一なのに大活躍してるキャプテンを見て…憧れて…

鐘ヶ岡に進路を…変えたんです。」



「そうだったんだ…

ありがとう。」


「それなのに…先輩方を信じられずに…
自分だけイライラしちゃって…

本当にすみませんでした…」


もう、優香の涙は止まる事を知らず、肩を震わせながら大泣きした。

まどかは近づいていって、優香をそっと抱きしめ、背中を優しくポンポンした。


「もう、みんな食堂に行っちゃってるよ。

私らも早く着替えに行こ。」


まどかは、優香の肩に手を置き、部室に行くよう促した。
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