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旧友
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「どういう事なの?
まどか…
さっきいた人が言ってた話って…
事実なの?」
「うん…
全部事実よ…
中学の時から全然身長が伸びなくて、壁にぶつかっていたワタシは、大学の先生から飛躍的に運動能力を伸ばすという薬を服用しないかって言われたの。
勿論、ドーピングの類いじゃなくて、決して怪しい薬じゃないからって。
私はスタミナでも付くのかと思い、悩んだ挙句、その薬を服用したの。」
「まどか…
なんで、そんなものを?」
「あなたに勝ちたかった…
どんなに努力しても、もう、私は恵美梨には絶対に追いつけない。
でも、バレーボールは団体スポーツだし、チームワークさえあればなんとかなる…
そう考えないでもなかったけど、実際には私の考えは甘々で…
団体競技だからこそ、個の力がより大事になってくる。
この一年あまりの間、私はずっと焦ってて…
そんなときにもらった提案だったから、一度は拒否したけど、結局は服用してしまったの。」
「それで、運動能力は上がったの?
いや、上がってたわね。
練習試合のときのまどかを見て、驚いたもん。」
「でも、体に副作用が出ちゃって…
バレーどころじゃなくなってしまったんだよね…
精神的にも限界が来てたし…
私はさっきの高山先生に言って、これ以上あの薬を服用した状態でバレーを続けず、対戦相手の学校に謝罪して、さっさと引退しようと思ったの。
紅陽とは、まだ戦ってないから、私が辞めたらそれで済む話なんだけど…
でも、恵美梨とは小さい時から友達で、練習試合のときに焦らせちゃったと思ったんで、あなただけには直接謝りたいと思って…
ここまで来ちゃったの。」
「まどか…
もう、いいよ。
アンタの気持ちはよくわかるわ。
中学時代の私はずっとそうだったもん。
今のまどかと同じで、天才と呼ばれたまどかにコンプレックスを抱いてて、焦ってばかりいたから。」
「…」
「まどか
ところで、副作用ってどんなの?
そんなに酷いの?」
「うん…」
「体に変調が来てるの?
どの辺り?」
「あの、ここでは見せらんない…
ごめん…」
「そっか。
見せたくなかったら全然構わないよ。
あ、そうだ。
ウチに寄ってきなよ。
気が利かなくてごめん。」
「えっ…」
「すぐそこだし。
たしかにこんなところで立ち話するような内容じゃないもんね。」
恵美梨が少し笑って言うと、まどかも口元を若干緩めた。
まどかは恵美梨に言われるがまま、後についていき、彼女の家にお邪魔したのだった。
その光景を、遥か遠くの車の中から見つめていた高山は、一度深く頷き、車を発進させ、その場から消えた。
まどか…
さっきいた人が言ってた話って…
事実なの?」
「うん…
全部事実よ…
中学の時から全然身長が伸びなくて、壁にぶつかっていたワタシは、大学の先生から飛躍的に運動能力を伸ばすという薬を服用しないかって言われたの。
勿論、ドーピングの類いじゃなくて、決して怪しい薬じゃないからって。
私はスタミナでも付くのかと思い、悩んだ挙句、その薬を服用したの。」
「まどか…
なんで、そんなものを?」
「あなたに勝ちたかった…
どんなに努力しても、もう、私は恵美梨には絶対に追いつけない。
でも、バレーボールは団体スポーツだし、チームワークさえあればなんとかなる…
そう考えないでもなかったけど、実際には私の考えは甘々で…
団体競技だからこそ、個の力がより大事になってくる。
この一年あまりの間、私はずっと焦ってて…
そんなときにもらった提案だったから、一度は拒否したけど、結局は服用してしまったの。」
「それで、運動能力は上がったの?
いや、上がってたわね。
練習試合のときのまどかを見て、驚いたもん。」
「でも、体に副作用が出ちゃって…
バレーどころじゃなくなってしまったんだよね…
精神的にも限界が来てたし…
私はさっきの高山先生に言って、これ以上あの薬を服用した状態でバレーを続けず、対戦相手の学校に謝罪して、さっさと引退しようと思ったの。
紅陽とは、まだ戦ってないから、私が辞めたらそれで済む話なんだけど…
でも、恵美梨とは小さい時から友達で、練習試合のときに焦らせちゃったと思ったんで、あなただけには直接謝りたいと思って…
ここまで来ちゃったの。」
「まどか…
もう、いいよ。
アンタの気持ちはよくわかるわ。
中学時代の私はずっとそうだったもん。
今のまどかと同じで、天才と呼ばれたまどかにコンプレックスを抱いてて、焦ってばかりいたから。」
「…」
「まどか
ところで、副作用ってどんなの?
そんなに酷いの?」
「うん…」
「体に変調が来てるの?
どの辺り?」
「あの、ここでは見せらんない…
ごめん…」
「そっか。
見せたくなかったら全然構わないよ。
あ、そうだ。
ウチに寄ってきなよ。
気が利かなくてごめん。」
「えっ…」
「すぐそこだし。
たしかにこんなところで立ち話するような内容じゃないもんね。」
恵美梨が少し笑って言うと、まどかも口元を若干緩めた。
まどかは恵美梨に言われるがまま、後についていき、彼女の家にお邪魔したのだった。
その光景を、遥か遠くの車の中から見つめていた高山は、一度深く頷き、車を発進させ、その場から消えた。
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