鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン

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「あっ!」


佐藤は、思わず、声を出してしまった。


この日、初めて、まどかのスパイクが紅陽のブロックに止められてしまったからだった。


「高山先生、止められちゃいましたよ。

マズイんじゃないですか、コレ。


しかも、相手の古川さんは段々良くなってきている。

ウチとは全く対照的じゃないですか。」


佐藤の問いかけに、高山は何も答えず、腕組みをして、まどかの一挙手一投足をじっと見つめるだけだった。



「ちょっと、聞いていますか?
高山先生」


無反応の高山に、佐藤は少しイラッとした口調で言った。


「…
校長…」


「はい?

どうかしましたか?」



「木本監督とすぐにコンタクトを取れませんか。」



「木本監督と?

バカな…

今、試合中ですよ。
無理に決まってます。」



佐藤がそう言うと、高山は持っていた鞄から、手帳とペンを取り出し、何やら書き出した。


「何を書いてるんですか?」



「…」


高山は無視して、しばらく書き続けていたが、終わったのか、懐にそのペンを仕舞い込んだ。


そして、手帳から紙を破り、切り取ると、その紙切れを持って立ち上がった。


「校長、ちょっと行ってきます。」


高山は、佐藤にそう告げ、前に歩いていった。


「高山先生…」


人をかき分け、なんとかベンチの近くまでたどり着いた高山は、部長の山口を捕まえ、さっき何かを書いていたメモを手渡した。


山口は、二度三度頷き、高山と言葉を交わしていた。


(一体何の…)


佐藤は、首を傾げながら、不安そうにその様子を見つめるのだった。
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